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元勇者パーティーの最強魔導士も隠居後は気ままに過ごすようです  作者: UMA未確認党


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第17話 作戦会議

 ヴァルツは外に出てリコルドから遠眼鏡を借りる。


「ふむ。あそこに魔王軍がいると」


「あぁ支配派の連中だよ。奴ら相当頭が良いらしくなかなか出てこねぇ」


 リコルドがそう報告する。久々の父子の会話だった。


 先の勇者と魔王の決戦の後魔族も複数の派閥に分かれるようになった。その中でも支配派の魔族たちは人間と魔族は対等な関係を築けないと考え、魔族が人間を支配する秩序を目指す勢力である。表向きは友好的な態度を取りながらも腹の中では人間を捕らえ労働力や兵力として利用しようとする。ある意味拡大路線の国家のような組織である。


「しかしあまり刺激しても良いことはないな。睨み合いなのか」


「あぁどっちの兵力も揃っている。わずかな刺激ですぐに戦端が開くぜ」


「これは気が抜けないな。奴らはどこにいる動いているのを見なかったが」


「他のメンバーは寝てるよ。交代制で見張ってんだ。魔族は睡眠がいるかは分からないけどな」


「それは種族によるが……」


 ヴァルツが遠眼鏡を下ろし、目を擦っていると後ろからハリアーが現れる。


「ヴァルツ殿。それで今後の作戦なのですが……ぜひとも先陣の名誉を差し上げたいと思いまして」


「先陣の名誉だァ?親父に真っ先に的になって死ねって言うのか」


 リコルドは明らかに嫌そうな顔をするがヴァルツは乗り気だ。


「良いですぞ?老い先短い老人にそんな名誉を下さるとは」


「いえいえ。その方がこちらとしてもやりやすく」


 ハリアーは頭を下げた。




 ヴァルツは山を下り、魔王軍の陣地に近い所に陣取る。


 そこには仲間たちもついて来ていた。


「それでヴァルツ先生はどう攻める?」


「あちらは敵の領地で地の利を知り尽くしているだろう。戦力が拮抗しているなら一般的に防衛側の方が有利。ハチの巣をつつけば怪我をする」


「ハハハ!私が怪我をするって、ハチの巣にするのはこっちなのに」


「……カレンお姉ちゃん相変わらず自信たっぷり」


 アニスは心配そうに見上げる。


「そんなんじゃお姉ちゃんに怒られちゃうから」


「アイリスの話は良いだろもう。折角小うるさいのが居ないんだから」


「それも言っちゃうよ」


「言うな言うな!」


 カレンは慌ててアニスの口を塞ぐ。彼女は友人のアイリスにも頭が上がらない。


 そのまま下って行くと後ろからサイモンのガシャガシャと言う音が聞こえる。


「もし出てきたらお主が守りの要ぞ」


 サイモンはガシャッと鎧を動かし頷いた。その素顔は決して見えることはなく不気味な雰囲気を醸し出している。身内以外はその正体を知らないだろう。


「サイモン殿。貴方はゆっくりでも良いのですよ」


 ウォリアーは隣のサイモンを気遣った。




 リコルドは最後尾でその様子を見てある意味の安心感を得ていた。かつて学院でヴァルツを師とした時、彼は決して息子を特別扱いしなかった。最初は不満も感じたが教師の腕は一流ですぐに魔法も戦闘も上達した。


 こうした指導の積み重ねだろうか。今までアースに振り回されていた当国のパーティーが今はヴァルツを中心として回り始めている。


 実力でも人格面でも今の自分がかつてのヴァルツに敵うとは思えない。


「流石親父だな……」


 そう感心したのも束の間、奥の草むらが動く。魔族が動いたのだ。ランゴ王国の面々はすぐに反応する。


「これは……」


「かーっ!こんなデカい魔力が動いたから反応しちまったよ。ったくおい!すぐに連中を起こして準備させろ開戦だ!」


 リコルドはそう叫んだ。

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