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その286〜その290
水面いっぱいに広がるわたしの死に顔を、はるか上空から見つめている。
鱗の一枚一枚に人の姿が浮かんでいる巨大な魚が、ビルを突き抜けながらゆうゆうと青空を泳いでいる。
彼女がお父さんと呼んでいるものは、筒状になった胴体の上から細い無数の毛がゆらゆらと揺れ、下には昆虫の足のようなものが何本もわしゃわしゃと動いている物体だった。
「イズミさんを知りませんか」という電話が、毎日同じ時間に毎回違う電話番号からかかって来る。
お父さんもお母さんも玄関先で長い間お客さんと談笑しているが、僕にも妹にもお客さんの姿が見えないし声も聞こえない。




