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ドサ回り系女性バンドを乗せたバンは走る―
湿った窓ガラスに額を押しあて、ボーカルさんが不意にハミングをはじめる。
届かない高音をなぞるような、かつての武器だった歌声。
どうだった、とでもいうように運転席のベースさんを見やる。
けれど、きつくハンドルを握ったベースさんは、
雨に曇るフロントガラスを、無言で睨んだままだ。
希望の象徴だった歌声は、いまはただ車内の沈黙を塗り潰すための逃避にすぎない。
バックミラー越しに、ハンドルを握るベースさんの横顔を盗み見る。
ボーカルさんに気がつかない様子のベースさんは、余裕なくハンドルを強くつかむのみ。
何かを声高に、ボーカルさんが叫び、誰もそれには応じてくれない。
そして、どれほど声を重ねても、その視線は虚空を彷徨い、誰とも交わることはない。
助手席のドラムさんは、あきれ半分に窓の外に視線を移し、耳にイヤホンをねじ込む。
寝たふりを決めこんでしまえば、いつものドラムさんのできあがり。
ギターさんもまた、いつものように、誰にも聞こえないような声で何かをつぶやく。
不協和音
それも、彼女たちの音だ―




