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:3

ドサ回り系女性バンドを乗せたバンは走る―


湿った窓ガラスに額を押しあて、ボーカルさんが不意にハミングをはじめる。

届かない高音をなぞるような、かつての武器だった歌声。


どうだった、とでもいうように運転席のベースさんを見やる。

けれど、きつくハンドルを握ったベースさんは、

雨に曇るフロントガラスを、無言で睨んだままだ。


希望の象徴だった歌声は、いまはただ車内の沈黙を塗り潰すための逃避にすぎない。


バックミラー越しに、ハンドルを握るベースさんの横顔を盗み見る。


ボーカルさんに気がつかない様子のベースさんは、余裕なくハンドルを強くつかむのみ。


何かを声高に、ボーカルさんが叫び、誰もそれには応じてくれない。

そして、どれほど声を重ねても、その視線は虚空を彷徨い、誰とも交わることはない。


助手席のドラムさんは、あきれ半分に窓の外に視線を移し、耳にイヤホンをねじ込む。

寝たふりを決めこんでしまえば、いつものドラムさんのできあがり。


ギターさんもまた、いつものように、誰にも聞こえないような声で何かをつぶやく。


 不協和音


それも、彼女たちの音だ―





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