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Lesson.7 『特殊調律について』

 はい、皆さんこんにちは!講師役を務めさせて頂くアイリスです。


 今回はC3に対する調律の中でも普通のシンガーには出来ない特殊な調律についてお話ししようと思います。あ、まず最初に行っておきますけど「私」はシンガーとしては凡才なので、今日お話しする特殊調律は全てできません!


 まず最初はトワの特殊能力、これまでにもあの子が使っていた「再調律(リチューン)」と「混合(ブレンド)」、そしてヴェリザン編で使用した「急速(プレスト)」についてです。これらは本文中でも既に説明がなされていますので、おさらい程度に簡単に説明しますね。

 まず「再調律(リチューン)」。これは既に色が与えられているC3を上書きする形で別の色へと再調律する特殊技法です。トワが言うには、一旦色を消して、再度色を付与するイメージらしいですが、歌によって与えれる色を歌によって消すという矛盾した現象は普通であればあり得ないものです。


 次に「混色(ブレンド)」。適性が低い、もしくは未熟なシンガーの調律で意図せずに色が混じってしまうことがありますが、これと混色(ブレンド)は一見すると同じ現象に見えるかもしれません。

 例えば蒼と碧が半分ずつ混ざり合うと黄色になりますが、一般のシンガーが歌った「黄色」は何の効果も発揮しないただの黄色い水晶でしかありません。ですがトワが混色(ブレンド)すると蒼と碧の効果を併せ持った高性能C3になるんです。

 再調律(リチューン)同様、こちらも普通ではあり得ない調律なので、トワがいかに有能かつユニークな能力の持ち主であるかが判りますよね。ええ、トワは私の自慢の妹なんです!


 そして今回登場した急速(プレスト)。これは歌を圧縮することで一気に調律を終わらせるという力任せの荒技です。調律歌を早口で歌えば普通のシンガーでも似たような事は可能ですが、元の曲よりも調律効果が落ちますからあまり意味のある行為とは言えません。

 トワが言うには歌を歌詞で歌うのではなく、歌に乗せる想いをまとめて短い音に込める……そうですけど、正直私にもあの子が何を言っているのかがわかりませんでした。ただ一つ判るのは急速(プレスト)は調律時間を縮める効果がありますが、トワの命を削りかねない危険な行為でもあるということ、なので私もお父さんも、トワに急速(プレスト)を使わないように言い含めてあったんですが……。



 なおこれらの特殊調律はギルドに所属している最高位ランク、つまり銀河に両手で数えられるぐらいしか存在していないというSランクシンガーであっても行えません。一体トワは何故こんな特殊な調律が出来るのか?それは彼女の出自に関連しているのですが……この謎は間もなく本編で皆さんに明かされることになるでしょう。



 では次に、「普通のシンガー」でも出来る特殊調律です。あ、ここで言う普通は、特例であるトワと比較すると……と言う意味なので、ごく一般的なシンガーには使いこなせないものになります。


 まず一つめは「合一(ユニゾン)」。これは複数名のシンガーがシンクロして歌うことで、本来調律可能なランクよりも高位のC3を調律することが可能になるというものです。

 ただユニゾンは誰にでも出来る訳ではなく、シンガー同士が高いレベルで共鳴できることが条件になります。具体的に言えば2人のシンガーがユニゾンするためには2人が「双子」「親子」「兄弟」「夫婦」「恋人」等の関係であること。ただしいずれかに該当していれば良いわけではなく兄弟より親子、親子より双子の方がユニゾンが成功しやすくなります。つまり、恋人や夫婦によるユニゾンは不可能では無いものの、かなり難易度の高い調律だということになります。

 そしてユニゾンを成し遂げるためにはもう一つ条件があります。それは2人のシンガーランクと調律色が同一であるということ。なので、Cランクの朱を歌う私と、Sランクの碧を歌うトワはいくら絆を深めてもユニゾンは出来ない、ということなんです。


 ちなみにユニゾンを使うシンガーは極めてまれです。なにせ条件がとても厳しいですし、仮に条件をクリアしても1ランク上のC3しか調律出来ないので。

 つまりCランクでユニゾンが出来たとしても、Bランクにしかならないわけですから、ユニゾンが出来る2人を探してくるよりもBランクシンガーに依頼した方が早いって事ですね。そしてシンガーは高ランクになる程人数が少なくなりますから、BランクやAランクの様な希少人材でユニゾンが出来る条件を整えられる人は……銀河を探しても数組いるかどうか、ということなんです。

 えっ2ランク上げられれば……ですか?それはかなり難易度が高いです。なぜならユニゾンに必要な人数が4人になるので……四つ子でもないかぎり、ユニゾンに調整する舞台にすら上がれません。


 そして最後に紹介するもう一つの特殊調律が「輪唱(ラウンド)」です。これは同ランクで同じ色を歌うシンガーが複数いれば――もちろん訓練は必要ですけど――可能な調律方法です。効果はユニゾンと同じく、1ランク上のC3を歌う事が出来るというものですが、これは複数名のシンガーが協力し、長時間を掛けて調律を行う形になります。

 ユニゾンと違い、シンガー間の関係性は必要条件ではありませんから、通常、高位ランクのC3を調律する場合はこのラウンドが用いられます。


 何故ラウンドが必要になるか、ですか?それはSランクやAランクと言った高品質C3はその産出量に比べると調律可能なシンガーの数が絶望的に少ないからです。航宙船の推進装置や、恒星間通信用のC3はシンガー1人では手に負えないものなので、通常は数名のシンガーがチームを組んでラウンドによる調律を行います。そうですね、例えるなら「弱火でじっくり時間を掛けて煮込む」ようなイメージでしょうか?


 あと、ギルドが認定しているシンガーはSランクまでしか存在していませんが、一方でC3にはSSランクの品質が存在しています。このSSランクを調律するためには複数名のSランクシンガーが協力する必要があるのですが、そもそもSランクシンガー全員が揃いでもしない限りラウンドは成立しません。……つまり、実質的にSSランクのC3は「理論上は調律可能」ということになるんです。

 ……まぁ、トワなら独りでもさくっと調律しそうな気はしますけどね。


 さて、では今回はここまでにしておきましょうか。また次回お会いしましょう!


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