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日米転生   作者: 照山
season2 第7章 ゲームチェンジャー編 中編
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season2-206 第8話 対峙Ⅳ

2030年10月11日4:40


海上警備行動発令から間もなく、横須賀基地では即応態勢が発令されていた。第9護衛隊のDDG-184「あさかぜ・改」、DDG-185「さわかぜ・改」、DDG-186「はたかぜ・改」、DDG-187「たかかぜ」の4隻に対し、緊急出動命令が下達された。各艦は深夜にもかかわらず、すでに出港準備を完了していた。係留索が外され、航海灯が灯ると同時に、順次横須賀港を離脱していく。埠頭には緊急招集された隊員や整備員が並び、無言のまま艦隊を見送っていた。


4隻は単独行動ではなく、即席の増援部隊として統合され、最大戦速で当該海域へ進出する。目的は明確だった。ハワイ沖で交戦状態に入りつつある第9護衛隊主力の救援。出港後まもなく、各艦のCICでは統合幕僚監部および海上総隊からの最新戦況が共有される。

先遣隊である「なかすかぜ」への被弾、デングリーヅ連邦海軍水上艦隊6隻接近、航空戦力の関与が濃厚補給艦群を護衛しつつ後退中それは単なる警戒事案ではなく、すでに実戦であることを意味していた。増援部隊は即座に戦闘航海態勢へ移行した。全艦で対空戦闘準備が整えられ、VLSの発射可能状態確認、レーダーの最大出力運用、電子戦装置の常時起動が実施される。さらに、航空自衛隊との連携も強化されていた。


百里、横田、入間、松島基地から発進した戦闘機部隊が前進展開を開始し、空中給油機の支援を受けながらハワイ方面へと出発した。グアムから出発した米軍との共有も開始した。一方でハワイ沖の「なかすかぜ」以下3隻はなおも激しい圧力下に置かれていた。第2波と見られる対艦ミサイルが接近し、艦隊は再び迎撃行動を強いられていた。CIWSの弾幕と迎撃ミサイルにより多数は撃墜されるものの、完全な防御には至らない。しかし、幸いなことに「トライデント」ミサイルはまだ使用されていないのが安心材料であったが油断してはならない。


「あまつかぜ」の右舷前部に至近弾が発生し、破片による損傷が拡大。「たちかぜ・改」もレーダー系統に一時的な障害を受け、対空探知能力が低下する。しかし、被弾を受けながらも陣形を維持し、補給艦群を守り続けている点において、その練度の高さが際立っていた一方でデングリーヅ連邦海軍側の圧力は明らかに増していた。


「グアンタナモ」は距離をさらに詰め、ついに25km圏内へ突入。対艦ミサイルによる直接攻撃が可能な距離である。そして空からも、新たな編隊が接近していた。このままでは、護衛艦3隻のみでの防御は限界に達していたその時、CICに新たな通信が入る。


【増援艦は現在、当該海域へ向けて航行中。到着は12日1:00になると思われる。また、20分後に国際同盟にて緊急安保理が開催される】


到着まで1日はかかると思われる。それまで、この3隻は持ちこたえなければならなかったが国際同盟もハワイ沖での一連の事態は、国際同盟側にもほぼ同時に伝わっていた。


多国籍停戦監視団(MCMO)のハワイ地区監視司令部では、03時30分以降の通信断絶とレーダーロストを重大インシデントとして即時認定していた。とりわけ、監視任務に就いていた国際同盟海軍艦艇「UNM-07」との通信途絶は、単なる機器トラブルでは説明がつかないレベルに達していた。さらにその後、日本側から入った「被弾報告」は決定的だった。停戦監視任務に関与している艦艇が攻撃を受けた可能性、そして停戦海域外縁とはいえ、明確な武力行使が発生した事実。これにより、国際同盟は本事案を「停戦体制に対する重大な挑戦」と位置づけた。


監視司令部では即座に三つの行動が取られた。


第一に、残存する監視艦艇および哨戒機に対する緊急安全確保命令である。ハワイ周辺で任務に就いていた各国艦艇は、DMZ外縁部から距離を取りつつも監視を継続するよう再配置された。


第二に、情報統合である。日本および米軍から提供された戦術データリンク情報が統合され、デングリーヅ連邦海軍と見られる艦隊の位置・編成・行動パターンが解析されていく。巡洋艦級2隻、駆逐艦級複数という構成は、UNM-07の最後の通信内容とも一致していた。


第三に、政治判断へのエスカレーションである。国際同盟の緊急理事会が招集され、停戦違反の認定および対応措置が協議され始めた。


会議では各国の立場は一致した。すでに武力行使が発生している以上、「停戦は実質的に破綻している」と主張し、即時の軍事的抑止行動すなわち艦隊派遣や航空戦力の投入を求めた。その一方で慎重派は、現時点では「偶発的衝突の可能性」を完全には排除できないとして、デングリーヅ連邦側への緊急照会と事実確認を優先すべきとした。しかし、その議論に大きな影響を与えたのが、日本側から提供されたデータだった。


火器管制レーダー照射の記録、複数の対艦ミサイル飛翔データ、被弾位置および損害報告これらは、単なる偶発ではなく意図的な攻撃である可能性を強く示していた。結果として、国際同盟は暫定的な統一見解をまとめる。


「停戦体制は重大な危機に直面しており、日本とアメリカだけの問題ではなく国際同盟全体の問題である。デングリーヅ連邦の脅威を排除するほか、キューバ地区、ニュージーランド地区、グリーンランド地区、ハワイ地区の解放作戦を全加盟国で実施する。我々は日米のために戦うことを誓おう」


国際同盟による具体的な軍事対応として以下が決定された。

・周辺海域への追加監視艦艇の派遣

・早期警戒機および哨戒機の増強

・同盟国艦艇に対する自衛的武器使用の容認

・ハワイ地区、ニュージーランド地区、グリーンランド地区、ハワイ地区の解放

・4地区の指導者の身柄拘束


以上の5つが決定した。5月28日に締結されたヴェルス停船条約は5ヶ月持たずにして破られ、国際同盟軍による軍事作戦が11日12:00より始まることになった。

次回もよろしくお願いします!

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