表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/61

26:アヤカ、少しだけ弟を心配する

「……アヤカ。賄いの時間には、まだ早いと思うのですが?」


 むくりと起き上がるユスティン。気だるげに髪をかきあげ、妙な色気を漂わせる彼に、ブリギッタが詰め寄って言った。


「団長、アヤカのこと、やっぱり何かわかっていて雇ったの? この子、聖人の姉だっていうじゃない」

「……いきなり、なんの話ですか?」

「だから、アヤカは、異世界から来た聖人の姉なんですって。私も、今さっき聞いたんだけど」


 ブリギッタの説明を聞いたユスティンは、まじまじとアヤカの方を見た。


「だって、今まで別に何も聞かれなかったし。私自身は、聖人じゃないし」

「そう言えば、アヤカは外国から来たと言っていましたね。この国のことも、神殿関連のことも何も知らないようでしたし……」


 ユスティンは、あまり驚いていないようだった。


「なんとなく、アヤカの怪我がすぐに完治した時から、そんな気がしていました。ですが、アヤカが聖人の姉だとすると……神殿側が、どうしてアヤカを保護しなかったのか疑問ですね」

「ああ、追い出されたんだよ。ウモージーとかいう嫌味な男にさ」

「ウモージー? 大神官ウモウジール様のことでしょうか?」

「そう、そんな名前のやつ! そいつが、私は聖人に害をなす存在だとか言って神殿から追い出したんだ」


 この世界に来た日のことを思い出したアヤカは、ウモウジールの心無い対応を思い出して腹を立てた。

 だが、アヤカの言葉を聞いたユスティンの顔は、逆にキラキラと輝き始める。


「そうなんですか。神殿側は、自らアヤカを手放したということですね!」

「ユスティン……なんで、そんなに嬉しそうなの?」

「実は、聖人かもしれないアヤカを騎士団にとどめておくことについて、神殿に相談しようかどうか迷っていました。仮に、神殿側がアヤカをよこせと言ってきたなら、貴重な戦力であるあなたを差し出さなければなりませんから……ですが、大神官が自ら手放した人材であるというのなら、話は別です」

「心配しなくていいよ。ウモージーが、私に神殿に戻って来いと言うことなんてないし。あったとしても、お断りだし……神殿が元の世界への戻り方を知っているのなら、聞きに行きたいけど」


 騎士団として働いてはいるものの、アヤカの目的は元の世界に帰ることである。

 聖人だろうが、そうでなかろうが、関係ない。


「残念ながら……過去に聖人が元の世界へ帰還したという話は残っていません。皆、幽獣との戦いに敗れているか、勝利してもこの世界に留まって結婚しています。聖人の家系の者が、代々大神官になると言われています」

「そっか……でも、その話だとウモージーは?」

「いつの時代か知りませんが。一応、聖人の子孫なんでしょうね……聖人は、代々男性でしたし、複数の妻を持っていたと言いますから。残念ながら、聖人の力は子孫に継承されませんけど」


 アヤカは、シュウジを神殿の奥へと連れて行った美女達のことを思い出した。


(もしや、あれが妻なのか!?)


 母以外の女性に免疫のない弟のことが、少しだけ心配になったアヤカだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ