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第18話 目覚め

破部ヤマトは、山威の所持していた黒いスタンガンと思われていたものを拾い上げた。



破部

「その販売ツールでは、ソウルフォーマーって名前で売られてますかね?」


山威

「そうです…。ソウルフォーマー」


破部

「アンビヴァレントの開発した武器。使用者の精神と脳に反応して具現化される武器、使用者の中では、通称『ラズファム』と呼ばれている」


ニカ

「ラズファム?」


山威

「私が使ったときは、紫色の小さな光だけだったのに…」


破部

「光の色は、人それぞれで変わる。これはお試し用の1番安いやつですかね、光の放出しかされないが、これでも十分に武器になる」


山威

「や、安いと言っても、けっこうしましたよ?」


ニカ

「スタンガンだと思ってた…」


破部

「聞きたいことは、山ほどあるが、ストゥーピットを除去するのが優先だ。ここにいる鬼竜、そして鈴家と渡瀬、この3人。だとすると、山威先生、もう1つ、ストゥーピットが余ってるはずですが、残ってますか?それとも」


山威

「……残ってません」


破部

「じゃあ、誰に?」


山威

「……暮井です」


ニカ

「え?!そんな?!」


破部

「本当ですか?それ。だいたい、オレは目を見れば寄生者かどうか、おおよそだが、寄生されてる奴の察しがつく。暮井にはそれを全く感じなかった」


山威

「本当です。申し訳ないが…。暮井が一週間ぶりに登校してきた日に、隙をみて…」


ニカ

「なんで、私に…」


破部

「暮井、ちょっとすまない」


破部は振り返り、ニカの目をまじまじと見つめた。


ニカ

「え?え?」


ニカは、目を逸らした。


破部

「目を逸らすな。ストゥーピット寄生者は、瞳の奥に、わずかに異様な光を感じるんだ…」


ニカ

「で、でも…」


破部はニカの瞳をじっと見つめた。


破部

「……やはり、感じない」


破部は山威の方に振り返り、山威の両肩を掴んで再度聞いた。


破部

「山威先生、本当のことを言ってくれ。4つめのストゥーピットは暮井に寄生させたんですよね?!」


山威

「ほ、本当です。嘘なんかついてない」


破部

「そうですか。考えられるのは…暮井には効果がなかった?もしくは…。おい、暮井!ここのところ自分に違和感感じたりはしなかったか?!」


ニカは、しゃがみ込んで両手で顔を覆っていた。


破部

「暮井!大丈夫か?どうした?どこかおかしいのか?!」


ニカ

「あ、い、いえ。何ともないです。そんな、最近、どうでしょう、最近は違和感ばかりですけど…」


山威

「渡瀬、鈴家、鬼竜は、確かに欲を丸出しにして、いままでと違うのがわかったよ。渡瀬、鈴家、鬼竜はなぜか私をさらに慕うようになっていったし…。暮井は全く変わらなかった」


破部

「山威先生、他に何か覚えてることはありますか?暮井にストゥーピット投入したとき」


山威

「そういえば、渡瀬たちとは違って、暮井はその時、ストゥーピット投入直後、胸の辺りがわずかに緑色?に光ったように見えた」


破部

「緑色に光った?」


山威

「まあ、なんとなくですけど、ストゥーピット自体すこし光ってるから、そんなもんだと思っていましたけど…」


破部はニカの方を見た。


ニカは、驚いて目を少し大きく開き、首を横に振って「何のことかわからない」ような仕草をした。


破部の心の声

「ストゥーピットが効かなかった。いや、というより…やはり…」


破部

「とりあえず、ストゥーピット寄生者の浄化を優先する。まずは、そこにいる鬼竜から」


ニカ

「浄化??」


山威

「浄化?ストゥーピット効果を無くすということですか?」


破部 

「そうです。私が、そのラズファムで浄化させます」


山威

「そんなことができるのか」


破部

「できます。ちょっと離れていてください」


山威

「そ、その前に。鬼竜の手足を縛ってしまった…。せめて今のうちに、それだけほどいてやりたい」


破部

「……わかりました」


山威は、鬼竜の足の柔道着の帯をほどいた。


その時、鬼竜は急に目を覚ました。


鬼竜

「うおおーー!なんだったんだ…?すげー痛みがしたと思ったら……ぐっ!なんで、手縛られてんだ?ん?」


山威

「目を覚ましたか。鬼竜」


鬼竜

「山威先生!」


破部

「目覚ましたのか、ちょっとそこで座ってな」


鬼竜

「破部!?破部だと?!なぜお前が!!」


ニカ

「…………鬼竜くん」


鬼竜

「ニカちゃん!!あ、俺。く、くそ、失敗したのか。なんで、なんで邪魔すんだ!破部…、破部、貴様ぉ!就任早々、ニカちゃんと仲良くしやがって…!」


鬼竜の目が赤色に光り、ゆっくりと立ち上がり、怒りを露わにしてきた。


破部

「ちっ、面倒なことになったな。ま、どってことないけど」


鬼竜

「破部うぅぅ!!テメー!何がどうってことねーだぁ!!」


鬼竜が急に破部に突っ込み胸ぐらを掴み、強く引っ張るように、道場の方へ投げ飛ばした。


ニカ

「破部先生!」


破部

「おお〜、すげー力だ。両手縛られてんのに」


破部は軽やかに道場の畳の上に着地した。


ニカ

「鬼竜くん!やめて!!」


破部

「外はもう、こんな暗くなっちゃって。さっさと終わらせないとな」


鬼竜も道場へ出ていった。破部を睨みつける。


破部

「なんだ?俺が憎いのか?元柔道部の新星・桐生ゲンジくん」


鬼竜

「!!!何なんだテメーはぁ!」


山威

「やめろ!鬼竜!俺のせいだ!落ち着け!」


山威もニカも道場に出た。


鬼竜

「俺はコイツが気にくわねぇ!破部!テメーみてーなチャラい女ったらしが、1番嫌ぇなんだよ!」


破部

「よく言えたもんだなぁ。暮井を襲おうとした奴が」


鬼竜

「言うなぁあ!うるせぇ!テメーに、テメーに何がわかるってんだよぉ!」


破部

「まずストゥーピット取り払ってやらねぇとな。桐生、本当のお前ならわかるだろ?自分のしでかしてる愚かさを」


鬼竜

「何言ってんだ?!俺の手下達はどうしたんだよ?!」


破部

「それな。お前の仲間達がここ教えてくれたんだよ」


鬼竜

「んなわけねーだろ!!アイツらには破部をボコボコにしておけって言ってあったんだ!」


破部

「良い仲間を持ったもんだな。アイツらオレに頼んできたんだよ。桐生さんを、助けてくれって」


鬼竜

「助けてだあ?!何、意味わかんねーことを!!!!」


鬼竜は薄暗い中、破部に突っ込んできた。


破部は軽やかに鬼竜の懐に入り、そのまま背負い投げで鬼竜を投げ飛ばした。


鬼竜は畳に強く叩きつけられた。


鬼竜

「うぐおぁっ」


破部

「お前の仲間たちは、言ってたぞ。前の、柔道部のころの桐生さんに戻って欲しいと」


鬼竜

「うるせー!何が柔道部だ!」


破部

「柔道部を憎むな。悪いのは柔道部でも、お前でもない。いま、正気に目覚めさしてやるからな」


ニカと山威は、佇んで二人の争いを見ているしかできなかった。


ニカ

「鬼竜くん、柔道部だったんだ」


山威

「そう…アイツは…」


鬼竜は立ち上がり雄叫びのように叫んだ。


鬼竜

「うおおおおおおおおお!!」


破部は、ポケットから黒い柄(つか)のようなものを取り出した。


破部

「可哀想に。桐生、いま、終わりにしてやるよ。このラズファムで」 







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