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第14話 愛 罠

第14話



名プレーヤーの突然の引退。無名選手の突如の台頭…。

立て続けに起こる、アイドル内の内部抗争。


偶然なのだろうか。


普通に起こりうることではある。


でも、破部先生から聞いたあの話…。

才能の売買…。

ストゥーピット寄生…。


私に起こってることが、同じように世の中で起きている?




昨夜も、登校中もそのことで頭がいっぱいだった。


破部先生にもう一度、話を聞いてみよう。






学校ー。




破部先生どこだろう。



職員室にはいなかった。

とは言え、他の先生に破部先生がどこにいるのか聞くのも抵抗がある。



2階の渡り廊下ー。1階の窓越しから破部先生が歩ってる姿が見えた。



いたっ!2階だ。

私は小走りで1階の職員室前の廊下から2階の渡り廊下に向かった。


やっぱりそうだっ。


「破部せん…」



「破部先生ー!!」

女子生徒達が何人か先生の元に駆け寄っていった。



声、かけづらくなっちゃったな…。

新任2日目から人気者だなぁ。



女子生徒たちの中に、ルカの姿があった。



ルカ…。SNS…本当にルカが…。

あとにしよう。

私は、振り返り教室へ戻ろうとした。



「暮井ー!」


破部先生の声。


女子生徒の輪からこちらへ歩いて来ている。


そこから、私なんかのところへ来たらきっと…。





「よう、暮井。昨日はすまなかったな」


「え、いや、こちらこそすみませんでした」


「今日も、放課後時間あるか?」


「あります」


「じゃあ、また屋上で」


「わかりました。それより…女子達がこちら見てますよ」


「わかってる。これも調査の一貫だ」


「調査?」


「あぁ、ストゥーピット寄生のな」


「ストゥーピット…」


「まだ時間あるな、職員室までちょっと付き合えるか?」


「え?一緒に職員室にってことですか?」


「そう、まあ、職員室前までだがな」


私は、ルカ達の嫌な視線が気になったが、一緒に行くことにした。聞きたいことがいっぱいある。


「わかりました。ルカ達、まだ見てますね…」


「ああ、まあ気に食わんだろうな」


「わかっててやっるんですか?」


「そうだ。よし、じゃあ職員室行くぞ」


破部先生と私は1階の職員室へ歩き出した。


「今日、来るの早いな」


「先生に聞きたいことあったし、昨日のニュースが気になって…」


「そーか。もしかして、サッカーの稲吉引退と、天才新人の台頭とかか」


「そうです。昨日、先生が話してたことを思い出して…」


「あれは、才能売買、行われてるだろうな」


「やっぱりそうなんですかね」


「格闘家の朝野も奪われてるな、月光ピエロに。あと、アイドルの内部抗争も怪しいもんだ」


「そんな…。私に起こったことが世の中で起きてるんですね」


「そうだな。ちょっとは、信じられるようになったか?オレの話し」


「うん…私が経験してることだから。そうじゃなきゃ、当たり前に、ただのスポーツ界やアイドル界隈での話題としか思ってなかったと思う」


私と破部先生が歩いている姿を皆がジロジロ見ている。


「君は何かと注目されていて大変だな、暮井」


「え?皆の視線のことですか?破部先生がいるからですよ」


「ふふっ、謙虚だな君は。まあいい。これも調査の一貫だ」


「またそれですか?笑。どんな調査ですか」


「先生の予想通りなら、これでアイツもオレに何か仕掛けてくるだろう」


「アイツ?って誰ですか」


「アイツはアイツだ。それより、渡瀬だが、多分、君に何らかのアクションをしてくるかもしれん、鈴家と一緒に」


「ルカと、鈴家さんが?」


「ああ、何かあればオレに教えろ。いいか、どんな小さなことでもだ、じゃあな暮井」


というと破部先生は職員室へ入っていった。





2年8組、教室ー。



ルカと鈴家さん…。

普通に別々に友達と話してる。

鈴家さんまで名前が出てくるとは…。

確かに、前にトイレで暴言吐かれた時、別人と思えるほどの威圧感だった。

あれが、ストゥーピット寄生された人の姿?


ルカは、確かに最近話しかけてこない。

前は、ほぼ毎日話しかけてきたのに。

最近は、ルカが2年生で成績1位だし、クラス関係なくルカの顔の広さが際立ってる気がする。


ルカは前から人を率いていく力があった。

そんなルカを私は慕っていた。のに…。

ルカが主犯。本当なんだろうか。


「ん?」


私は次の授業の教科書を机から出そうとした。

1番上に手紙があった…。


便箋…?何だろう?



「放課後、第二体育館に来てください。

どうしても、伝えたいことがあります。


中島」



中島って、一年の中島くん?だとしたら、どうしたんだろ。

というより、どうやってここに手紙入れたんだろ。


…何かの罠かな。


でも、罠だとして、中島くんの名前を使ってくるってことは、私が一週間休む前に中島くん達と接してること知ってる人物?

そうだとしても、中島くんの名前を出してくるってことは…中島くんにも被害が…?


破部先生に伝えよう。


いや、もし中島くん本人だったとしたら、他の人に言ったら可哀想だから言えない。

次の休み時間に、中島くんのとこ行って確かめてみるか…


……いや、このまま手紙に従って行ってみよう…。何かわかるかもしれない。





破部先生、ごめんなさい。






放課後ー






第二体育館って、柔道部の道場あるとこよね。

静かだな…今日は柔道部休みなんだ。


道場の扉を開けた。


静まりかえっている。


「誰もいないか…」


ガタンっ!


!


更衣室のほうで音がした。


「誰かいますか?」


ゴソゴソ


「中島くん?いるの?」


道場の中にある更衣室の方に近づいていった。


更衣室の扉の前。




「ニカ」


ビクっ!

後ろから声が聞こえて、振り返った。


「鈴家さん?!」


「よく来たわねぇ。1人で」


「あの手紙、鈴家さん書いたの?」


「手紙?さあね、知らないわ。もしかして手紙かなんかで呼び出されたの?告白されるとか思って期待してきたんじゃないの?自惚れてんじゃないわよ」


「何言ってるの?鈴家さん。どうしてここにいるの?」


「うるせーな。いちいち。テメー、さっそく破部先生手玉にとろうとしてんじゃねーだろうな?」


「破部先生?まさか、そんなことしてないよ」


「今朝も、破部先生と歩ってたじゃねぇかよ。私たちから奪ってよぉ」


「そんな、奪ってなんか」


「奪ってたろうがよ!昨日も放課後教室で2人きりだったの知ってんだよ。どうせチクッてんだろ?みんなから無視されてんの。同情ひいて、イチャついいてんじゃねぇよ!あざといんだよ!あばずれぇ!」


異常な目つき…鈴家さんじゃないみたい…。


「鈴家さん、落ち着いて」


「ふん。あのまま学校休んでりゃ良かったんだよ。テメーは、二度とその生意気な口きけねーよーにしてやんよ」


「鈴家さん!!!気を取り戻して!」


私は心から大声で鈴家さんの心に呼びかけた。思いのほか、鈴家さんは、その声にハッとした顔を見せた。

しかし、その時、更衣室の扉が開いた音がした。


振り替えろうとすると、口とお腹を手で抑えられ更衣室に引きずりこまれた。


「んー!んー!!」


すごい力…!

声が出せない。



更衣室の床に押し倒された。



そこには、鬼龍くんが立っていた。


「鬼龍くん!?」


扉に鍵をかけられた。


鈴家さんと同じような目…。


扉の向こうから、声がきこえてきた。


「じゃあ、あとはお願いねー。好きにしていいわー、それと、最後に写真ねー」


これは…ルカの声??


ニカ

「鬼龍くん、ここからだして!」


鬼龍

「ニカちゃんが悪い。ずっと俺の想いを無視してるからよー!やっと、やっと、願いが叶う」


目が前までの鬼龍くんじゃない…?!

ストゥーピット?


ニカ

「鬼龍くん!気をしっかり持って!!」


鬼龍

「やっと、願いが…」


怖い…!目がおかしい…!








破部先生、助けて…!




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