20話 ゴブゴブ
主人公のステータスを、防御力と同じになるように、修正しました。(4/21)
修正の漏れ、矛盾点などありましたら、教えていただけると嬉しいです。
これで何度目だろう。
棍棒が、鈍い音を立ててワイルドウルフの頭蓋を打ち抜いた。
黒い獣の体がぐらりと揺れ、そのまま石床へ崩れ落ちる。
立ちのぼった残滓が霊山へ吸い込まれた直後、青白い板が視界いっぱいに弾けた。
【レベルが上がりました】
【ステータス】
名前:霊山 新 Lv04/20 → Lv05/20
種族:ゴースト
HP:16/16 → 18/18
MP:25/25 → 30/30
攻撃力:3 → 4
防御力:3 → 4
俊敏:24 → 29
魔力:20 → 24
熱い。
削れていた感覚が一気に引き戻される。
器そのものがまた少し広がったような感覚。
レベルアップのたびに訪れる、あの全回復だ。
霊山は、憑りついていたゴブリンの手に握らせた棍棒をゆっくり下ろした。
霊山は通路の奥を見た。
2階層のさらに先。
あの重い足音を思い出す。
オークを倒す。
そのために、霊山はレベルアップを目標にして、多くのコボルト、ワイルドウルフ、ゴブリンを倒し続けていた。
魔物の倒し方も板についてきて、
このゴブリンの体で、コボルトは、闇魔法で攻撃をして弱らせてから倒す。
ゴブリンやワイルドウルフは肉弾戦で倒して霊子吸収でMPを戻す。
という方法を生み出していた。
そして、たまに寂しいので、ゴブリンから憑りつきを解除して、ジェスチャーで交流を図ってみたりもした。
最初はゴブリンも混乱していたが、今では結構仲良しで、ゴブリンもジェスチャーで色々伝えようとしてくれる。
どうやら、このゴブリンも強くなって、進化したいらしい。
俺はこのゴブリンを勝手にゴブゴブと名付けて可愛がっている。
仲良くなったからか、憑りついた際の干渉率も魔法を使わなくても高となっていた。
そして、これは大発見なのだが、憑りついていたゴブリンがレベルアップしたのだ。
そしてこん棒術もLv2に上がっている。
つまりは、憑りついた対象も経験値を受け取っているし、スキルの熟練度も上がっているということだ。
そして、ついに俺のレベルが上がった。これでまた、憑りつける魔物の幅が増える。
今の自分なら、ワイルドウルフも高干渉まで持っていける。
相棒のようなゴブリンから憑りつきを解除する。
ワクワクしながら、ワイルドウルフに憑りつき、闇魔法を使う。
【スキル『憑りつくLv2』】
【対象:ワイルドウルフ】
【干渉率:高】
速い。
強い。
単純な身体能力なら、ゴブリンよりずっと上だ。
けれど、少し拍子抜けだ。
スキルは、牙と爪と嗅覚強化しかないし、しっくりくるのは結局ゴブリンの方だった。
手がある。
棍棒が持てる。
棍棒術と投擲がある。
しかも、ずっと憑りついていて愛着もある。
ワイルドウルフはステータスは強い。
でも、憑りつきでスキルが使えるようになった今では、ステータスもいいが、有用なスキルの方が大切に感じた。
しかし、圧倒的なステータス差の前にはスキルも無力だ。
霊山はゴブゴブのもとへ戻り憑りつき直した。
オークを倒すのはあきらめた方がいいのか、と悩んでいる、その時だった。
【スキル熟練度が一定に達しました】
【憑りつくLv2 → Lv3】
霊山の意識が止まる。
上がった。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
けれど、すぐに理解する。
ずっとずっと憑りつきを発動し続けていたのだ。
その積み重ねが、ここへ届いたのだ。
霊山はすぐに表示へ意識を向けた。
【スキル『憑りつくLv3』】
【相手の精神に入り込み行動に干渉する】
【MP消費は対象の強さに依存する】
【新効果】
【高干渉状態の憑依対象の戦闘系ステータスを、使用者自身のステータス分だけ強化します】
霊山は息を呑んだ。
今まさに悩んでいたところだ。
どのぐらい強化されるのか、まずは確かめる必要がある。
霊山は、今まさに憑りついているゴブゴブへ意識を向けた。
次の瞬間、青白い板が切り替わる。
【対象ステータス】
種族:ゴブリン(ゴブゴブ)
Lv:3
HP:13/13
MP:0/0
攻撃力:12(+4)
防御力:10(+4)
俊敏:37(+29)
魔力:24(+24)
スキル:棍棒術Lv1/投擲Lv1
霊山は目を見開いた。
HPとMPは増えていない。
だが、戦闘に必要な数値だけが跳ね上がっている。
攻撃力と防御力は4ずつ上昇。
それだけでも十分大きい。
だが、何よりも大きいのは俊敏だ。
魔力はゴブゴブは魔法が使えないので意味はない。
ふっふっふと笑いが込みあがてくる。モンスターではない神だと言いたくなる気持ちが分かってしまった。
握らせた棍棒の重みが違う。
足の踏み込みが違う。
立っているだけで、体の芯に通る力が違う。
ここまで揃えば。
霊山の脳裏に、オークと会った時の光景が蘇る。
あの時は、ステータスを見て「無理だ」としか思えなかった。
今は違う。
勝てるかもしれない、と思える。
いや。
勝つ。
いつの間にか武者震いしていた。
この武者震いが自分のものなのか、ゴブゴブのものなのか分からなかった。
霊山は、震えるゴブゴブの体で棍棒を握り直した。
……ゴブリンで、オークに下剋上だ
心の中で、霊山はそう呟いた。
青白い板の光が消える。
オークを探しに、霊山は静かに、けれど力強く歩き出す。
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