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17話 2階層

新はコボルトを倒した後、1階層を探索していると、下へ続く階段を見つけた。


1階層の終わり。


このダンジョンに入ってから、どれくらい時間が経ったのか。

数時間しか経っていない気もするし、何日も潜っている気もする。


景色はずっと似ていた。

どこへ行っても岩壁と通路と暗闇ばかり。明るさもほとんど変わらない。腹も減らない。眠くもならない。睡眠のいらない体になったせいで、区切りになるものが何一つなかった。


もし外でまだ数日しか経っていなくても、おかしくない。

逆に、自分が思っているよりずっと時間が流れていても、不思議じゃない。


考えても答えは出ない。


霊山は視線を下へ向け直した。


今やるべきことは一つだ。

進むこと。

そして、死なないこと。


霊山は静かに階段を下った。


しばらく進んだ先で、空気が変わる。


ここが2階層。


空気が少し、重く感じた。


霊山はすぐに戦おうとはしなかった。


前の失敗で分かった。

知らない相手、知らない場所に、勢いだけで飛び込むのは危険だ。


まずは情報。


霊山は岩陰や通路の曲がり角を使いながら、気配を殺して観察に徹した。


最初に見つけたのは、ゴブリン2体。

少し進んだ先では、またゴブリン。

別の通路ではワイルドウルフが2体。

さらにその奥で単独のワイルドウルフ。


1階層より、明らかにワイルドウルフが増えている。

だが、ゴブリンもまだ多い。


霊山はそのまま進み、まず単独のゴブリンへ憑りついた。


ゴブリンのステータスを確認する。


霊山はわずかに眉を寄せた。


レベルが上がっている。


1階層で見たゴブリンはLv1だった。

だが今の個体はLv2。

それ以外は、ぱっと見た限り大きな違いはない。弱いことに変わりはないが、少しだけ底上げされている感じだ。


階層が上がったからか。


霊山はゴブリンへの憑りつきを解いた。


次に、単独で動いていたワイルドウルフへ意識を滑り込ませる。


前より軽い。


その感覚に、霊山ははっとした。


青白い板が浮かぶ。


【スキル『憑りつくLv2』】

【対象:ワイルドウルフ】

【干渉率:中】


中。


霊山は息を呑んだ。


前にワイルドウルフへ憑りついた時、最初の干渉率は低だったはずだ。

なのに今は、中から始まっている。


レベルか。

魔力か。

それとも、憑りつくそのものの熟練か。

あるいは全部か。


断定はできない。

でも、自分が前より深く干渉出来るようになっているのは確かだった。


そのまま対象ステータスを開く。


こちらもレベルが上がっている。


1階層で見たワイルドウルフはLv2だった。

2階層の個体はLv3。

それ以外は、極端に別物というほどではない。全体的に一段上がっているだけで、種としての性質そのものは同じに見える。


2階層は、1階層より少しだけ底上げされている。


霊山はそう判断した。


ワイルドウルフへの憑りつきを解き、さらに奥へ進む。


ゴブリン。

ワイルドウルフ。

その割合はだいたい見えた。


ゴブリンが半分。

ワイルドウルフがそれに迫るくらい。

そして、問題はその先だ。


少し探して、見つけた。


コボルト。


細い通路の先。

壁際を警戒しながら進む、小柄な獣人の影。



霊山は慎重に憑りついた。



抵抗感はあったが、1階層で戦ったあのコボルトほどではない。


青白い板が浮かぶ。


【対象ステータス】


種族:コボルト Lv:4

HP:12/12

MP:10/10

攻撃力:7

防御力:3

俊敏:5

魔力:10


スキル:火球Lv1/短剣術Lv1


霊山は目を細めた。


弱い。


もちろん、ゴブリンやワイルドウルフよりは厄介だ。

だが、あの時戦ったコボルトよりは、はっきり下だ。


レベルは4。

それでも、あの個体ほどの圧はない。

火球も一段低い。

ステータスも全体的に1階層のコボルトより低い同じレベルなのにだ。


やはり、あれは特別に強かったのだ。


1階層で出会ったあのコボルトは、ただの通常個体じゃない。

2階層の通常コボルトよりも明らかに強い、例外だった。


レア個体。


その言葉が、霊山の中に浮かぶ。


前に勝てたのは、本当にぎりぎりだった。


霊山はコボルトへの憑りつきを解き、さらに奥へ進んだ。


情報はまだ足りない。

2階層へ来たばかりだ。

ここで浮かれて飛び込めば、また痛い目を見る。


ゴブリン。

ワイルドウルフ。

少ないコボルト。


その割合はだいたい見えた。

大体5対4対1ほどだろうか。

その他にもう新しいモンスターは居なそうだと気を緩めた。


そして、しばらくしてその気配に気づいた。


重い。


足音の一つ一つが、洞窟の床を鈍く鳴らしている。

ゴブリンでも、ワイルドウルフでも、コボルトでもない。

もっと大きい。もっと重い。


次の瞬間、通路の向こうから巨大な影が現れた。


太い腕。

厚い胸板。

手には削り出した岩塊みたいな棍棒。


オーク。


一目で分かった。

今まで見てきたどの魔物とも違う。


霊山は息を殺したまま、その巨体を見つめる。


逃げるべきか。

それとも、せめて情報だけでも取るか。


迷ったのは一瞬だった。


今の自分に足りないのは、強さだけじゃない。

情報だ。


霊山は一気に憑りつきにかかった。



コボルトよりも、さらに深い泥の底へ沈むような抵抗。

意識の膜が厚い。


青白い板が浮かぶ。


【スキル『憑りつくLv2』】

【対象:オーク】

【干渉率:低】


その下に、対象ステータスが開いた。


【対象ステータス】


種族:オーク

Lv:6

HP:28/28

MP:0/0

攻撃力:25

防御力:10

俊敏:5

魔力:2


スキル:棍棒術Lv2/怪力Lv1/頑強Lv1/体力回復Lv1


霊山は息を呑んだ。


強い。


コボルトより、明らかに一段上だ。

しかも、この重さではまともに動かせる気がしない。


今は無理だ。


そう判断した瞬間、霊山はすぐに憑りつきを解いた。


攻撃力特化で、魔法を持っていないため、霊体状態で負けることはないためかなり相性がいい相手といえるが、倒すには火力が足りなさすぎる。


レベルも高く経験値もかなり高いはずなので絶対に倒しておきたい。


でも、この階層でも、まずは情報を集める。

戦うのは、そのあとだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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