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14話 リベンジマッチ


霊山はゴブリンなどを狩ったりしながら、MPが全回復するのを待っていた。


霊山は板を閉じ、暗い通路の奥へ視線を向けた。


狙う相手は決まっている。


コボルト。


前は逃げるしかなかった。

だが今は違う。憑りついた相手の数字が見える。どこが上で、どこが足りないかが分かる。


だったら、もう一度やる価値はある。


霊山は慎重に通路を進んだ。


ゴブリンをやり過ごす。

ワイルドウルフの気配も避ける。

今は無駄に消耗したくない。


しばらくして、あの組み合わせを見つけた。


開けた空間。

中央にコボルト。

その右にワイルドウルフが1体。


前より1体ワイルドウルフが少ない。

ついてる。運すら今は俺の味方だ。


まず、最初から決めていた通り、コボルトへ憑りつきを使う。


重い。


やはり深い泥の底へ沈むような抵抗。

意識の膜が厚い。


青白い板が開く。


【対象ステータス】


種族:コボルト

Lv:4

HP:14/14

MP:20/20

攻撃力:13

防御力:3

俊敏:10

魔力:16


スキル:火球Lv2/短剣術Lv1


やはりだ。



他の魔物に比べても全体的にステータスが高い。その中でも魔力が、特に高い。

しかもMPをかなり持っている。

あの火球が厄介な理由が数字で見えた。

しかし、その分防御力が低い。

付け入る隙はある。


霊山はすぐに憑りつきを解いた。


支配できない相手の中に長くいる意味はない無駄なMPと時間を消費するだけだ。

見るだけで十分だった。


次の瞬間、右側のワイルドウルフへ飛び込む。


入り込んだ感覚は確かにあった。


【スキル『憑りつくLv2』】

【対象:ワイルドウルフ】

【干渉率:低】


まずはここからだ。


霊山はすぐに闇魔法を流し込んだ。

意識の奥へ、黒い靄を深く沈める。

抵抗を鈍らせるために。


【闇魔法を発動しました】


ずしりと重かった体が、ほんの少しだけ軽くなる。


【干渉率:低 → 中】


よし。


高までは行かない。

だが、中なら動かせる。


それで十分だった。


霊山はさらに闇を広げた。


コボルトの視界。

そして、今自分が入っているワイルドウルフの視界すら。


全部、まとめて塗り潰す。


【闇魔法を発動しました】


世界が黒く沈んだ。


視界が消える。


だが、霊山はすぐに気づいた。


見えないのに、分かる。


鼻先に濃く残る獣臭。

土と血と焦げた毛皮の匂い。

その奥に混じる、乾いた獣人の臭い。


嗅覚強化。


前回憑りついたときに、スキルは使えないが、常時発動するものに関しては憑りついた際に使えることに気が付いたのだ、だからこその勝機。


いた。


コボルトの位置が分かる。


一方的だ。


霊山はワイルドウルフの脚を蹴り出させ、一直線にコボルトへ飛びかかった。


暗闇の中、コボルトが焦った息を漏らす。

次の瞬間、牙が肩口へ食い込んだ。


血の臭いが濃くなる。

コボルトが悲鳴を上げ、短剣を振り回す。

だが、適当に振り回された短剣などには当たらなかった。


それでもコボルトはまだ動ける。


霊山はワイルドウルフの顎へ力を込め、さらに深く噛ませようとする。

だがコボルトは体をひねり、コボルト自爆覚悟で火球を至近距離で叩きつけてきた。


爆ぜる熱。

焼ける肉。

その衝撃の一部が霊山にも返る。


【HP:8/14 → 5/14】


一気に危うくなった。


それでも、コボルトも無傷じゃない。

血の臭いと焦げた毛皮のにおいが充満する。

片腕の動きが鈍っている。


まだ押せる。


霊山は暗闇の中、匂いだけを頼りに距離を取り、もう一度飛び込んだ。

だが、相手も馬鹿じゃない。


飛びかかって攻撃した瞬間、コボルトは攻撃された場所めがけて反撃を繰り出す。


切り裂かれる感触。


【HP:5/14 → 4/14】


攻撃を仕掛けてきた方向から、暗闇でもしっかりと狙ってくる。

幸いかすり傷でダメージはそれほど食らわなかった。


一方的に優位なわけじゃない。

見えなくても、コボルトはちゃんと反撃してくる。


ギリギリだ。


霊山はなおも食らいつこうとする。

だが、次の火球はもっと近かった。


暗闇の中、ほとんどゼロ距離で放たれた火球が、ワイルドウルフの胸を焼いた。


【HP:4/14 → 1/14】


意識が白く揺れる。


もう後がない。


それでも、今逃げたら届かない。


霊山は最後の力でワイルドウルフの体を前へ押し込んだ。

コボルトの喉元へ、牙をねじ込む。


コボルトもまた、最後の力で短剣を振るう。


相打ちだ。


このまま巻き込まれたら終わる。


霊山はコボルトの短剣がワイルドウルフに到達する直前、間一髪で憑りつきを解除した。


ふっと体が軽くなる。

次の瞬間、さっきまで使っていたワイルドウルフの体が、喉を裂かれたコボルトと一緒に床へ崩れ落ちた。


両方とも、もう動かない。


危なかった。


ほんの少し遅れていたら、死んでいた。


その時、青白い文字が視界いっぱいに弾けた。


【レベルが上がりました】


【ステータス】


名前:霊山 新 Lv03/20 → Lv04/20

種族:ゴースト


HP:1/14 → 16/16

MP:11/21 → 25/25

攻撃力:0 → 0

防御力:2 → 3

俊敏:19 → 24

魔力:16 → 20


熱い。


途切れかけていた意識が、一気に引き戻される。

削れ切っていたHPも、使い切りかけたMPも、全部満ちた。

しかも、器そのものが広がったような感覚。


助かった。


そして、勝った。


前は逃げるしかなかった相手だ。


それに、勝った。


しかも、ただ運だけじゃない。

ステータスを見て、勝ち筋を組んで、ぎりぎりのところで勝った。


灰色の残滓が、静かに霊山へ吸い込まれていく。

冷たい感覚と一緒に、確かな実感が残る。


俺はもっと強くなって、早く進化するぞ。


そう、決意を固めながら、次の戦いの場を求めて2階層へと向かった。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

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