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13話 ステータス

憑りついているゴブリンへ意識を向けた瞬間、青白い板が静かに浮かび上がった。


【対象ステータス】


種族:ゴブリン

Lv:1

HP:7/7

MP:0/0

攻撃力:4

防御力:2

俊敏:5

魔力:1


スキル:棍棒術Lv1/投擲Lv1


見えた。


霊山は一瞬だけ息を忘れたような感覚に襲われる。


これが、今憑りついているゴブリンのステータス。


凄い。


数字として見えるだけで意味が違った。

今までは感覚でしかなかった差が、はっきりと形を持ったからだ。


しかも、スキルまで見える。


棍棒術。

投擲。


この情報アドバンテージがあるだけでどれだけでかいことか。

これである程度相手の攻撃などを予測することが出来る。


憑りついた体でスキルを使おうとしてみる。


霊山は棍棒を軽く握らせてみた。

振ることはできる。

狙った方向へ殴らせることもできる。

だが、それは腕を動かしているだけだ。棍棒術という“技”を使っている感覚はない。


霊山はゴブリンの視界で通路の先を窺った。


しばらく進んだ先で、低い唸り声が聞こえた。


今度は1体だけだ。


黒い毛並み。

低い姿勢。

赤い目。


黒狼。


地上で倒した相手だ。

だが今の霊山には、ただ“強い”で片づけるつもりはなかった。


ステータスを確認を確認するために、黒狼に憑りつきを発動する。


先ほどまで、ゴブリンに憑りついていたので、抵抗感から体が重く感じる。


だが、コボルトのような絶望的な重さでもない。

最初の黒狼の時より、少しは慣れたのか、はたまた別の要因か。前よりはっきりと“入った”感覚があった。


青白い板が浮かぶ。


【対象ステータス】


種族:ワイルドウルフ

Lv:2

HP:14/14

MP:0/0

攻撃力:8

防御力:4

俊敏:9

魔力:2


スキル:牙Lv1/爪Lv1/嗅覚強化


こいつワイルドウルフって名前だったのか。

勝手に黒狼と名付けてしまっていた。


正式名称。

そして、ステータス。


その情報を得て、同格寄りの相手。

そう思った。


無策で飛び込んでいくのはきつい。

でも、勝てない相手ではない。


霊山はその現実を見たうえで、黒い闇を意識の奥へ流し込んだ。


【闇魔法を発動しました】


抵抗を鈍らせる。


ずしりと重かった体が、少しだけ軽くなる。

ゴブリン相手ほどではない。

それでも、十分だった。


憑りついていたゴブリンが、正気を取り戻し、こちらを攻撃しようと狙っている。

だが、基礎のステータスが違う。


ワイルドウルフの牙が、倒れたゴブリンの首筋へ食い込む。

柔らかい肉を裂く感触。

その一瞬、霊山は逆向きの意志を全力で押し込んだ。


それだけで、ゴブリンは動かなくなった。

どれだけ、ステータスが大切かがよく伝わってきた。


ゴブリンをは倒したが、維持にもMPはかかるし、ずっとワイルドウルフに憑りついているわけにはいかない。

しかし、どうやってワイルドウルフを倒そうかと考えていると、ひびの入った岩塊があるのが見えた。


霊山はワイルドウルフの首を無理やり横へ捻った。

高速で突っ込んでいた体が、わずかに進路をずらされる。


その先には、天井から鋭く突き出した石柱。


避けろ、とワイルドウルフの本能が叫ぶ。

だが、霊山はさらに強引に首を押し込んだ。


ワイルドウルフの肩と首筋が石柱へまともにぶつかり、骨のきしむような感触が伝わる。

その痛みの一部が、霊山自身にも返る。


「――ッ!」


声は出ない。

それでも、霊体の奥が激しく揺れた。


重い。

だが、致命傷じゃない。


天井から、ぱらぱらと小石が落ちてきた。


けれど、今ので終わりじゃない。


今度は助走をつけ、もう一度体を石柱に叩きつけた。

さっきよりも重い衝撃。


【HP:9/14 → 8/14】


天井近くでひび割れていた岩塊が、さっきの衝撃をきっかけに外れた。


落ちる。


霊山は瞬時に憑りつきを解除した。


次の瞬間、岩塊がワイルドウルフの背を直撃した。


重い音。

砕ける骨。

短い悲鳴。


土煙が晴れた時、ワイルドウルフはもう動かなかった。


しばらく、その場に音がなかった。


霊山はゆっくりと、自分の奥に残る痛みを確かめる。


勝った。

某狩りゲーをやっていてよかった。

地形なども利用出来れば、こちらの大きな力となるな。


立ちのぼる灰色の残滓が、静かに霊山へ吸い込まれていく。

冷たい感覚が心地よかった。


霊山は青白い板を呼び出した。


【ステータス】


名前:霊山 新 Lv03/20

種族:ゴースト


HP:8/14

MP:14/21

攻撃力:0

防御力:2

俊敏:19

魔力:16


スキル:霊体/憑りつくLv2/闇魔法Lv1/物理攻撃無効/進化ガイド/霊子吸収

称号:ファーストデッド


レベルは上がっていない。

当然だ。

ワイルドウルフ1体を倒したくらいで、そんな都合よく進むわけじゃない。


それでも、無駄じゃなかった。


相手のステータス。

自分との差。

そして、勝ち筋の作り方。


全部、前よりはっきり見える。


霊山は通路の奥へ視線を向けた。


次に狙うべき相手は、もう決まっている。


コボルト。


前は勝てなかった。

干渉率も低いまま、闇魔法を使っても届かなかった。

けれど今は、少なくとも“何がどれくらい強いのか”を見て判断できる。


同じ失敗を、そのまま繰り返すつもりはない。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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