第6話 SNSはじめて物語
翌週の土曜日。
五人は湊の家に集まり、いよいよ“淡路島SNS(仮)”の制作に取りかかった。
「よし、まずはアカウント名やな」
湊が言う。
「淡路島を世界に発信するんやから……
やっぱ英語のほうがカッコよくね?」
陽斗が胸を張る。
「英語……?」
凛が眉をひそめる。
「例えばやな……
“Awaji Island Official Beautiful Sunset Project” とか!」
「長っ!!」
全員が即ツッコミ。
「いや、なんかこう……海外っぽいやん?」
陽斗は全く懲りていない。
紗季がスマホを見ながら言う。
「“Awaji Beautiful Girls” とか?」
「それは紗季が出たいだけやろ!」
湊が即座に突っ込む。
「ちゃうわ!
“淡路島の魅力=美しいもの”って意味やん!」
紗季は頬を膨らませる。
悠真が静かに言う。
「……それ、海外から見たらアイドルグループやと思われる」
「うっ……確かに」
紗季がしゅんとする。
凛がメモ帳を開きながら、
「そもそも、英語にしたら伝わりにくくない?
淡路島って名前そのものがブランドやし」
と冷静に言う。
「せやな。
“Awaji”って書いても、読めへん人多いやろし」
湊も頷く。
陽斗はまだ諦めていない。
「じゃあさ、略して “A.I.” とかどうよ!
“Awaji Island” の頭文字で!」
「AIって……人工知能やん」
湊が呆れる。
「しかも検索したら絶対そっちが出てくる」
凛が冷静に刺す。
「うわ、確かに……」
陽斗が崩れ落ちる。
紗季がぽつりと言う。
「てかさ、英語にしたらカッコつけてる感すごくない?
うちら、そんなタイプちゃうやん」
その言葉に、全員が妙に納得した。
「確かに……
淡路島の良さって、背伸びせん“素の良さ”やもんな」
湊が言う。
「じゃあ、普通に日本語でええんちゃう?」
凛が提案する。
「日本語で……
“淡路島写真部” とか?」
陽斗が言う。
「いや、うちら写真部ちゃうし」
湊が即ツッコミ。
「“淡路島の光” とかどう?」
凛が言う。
「なんか……綺麗すぎへん?」
紗季が首をかしげる。
「高校生が“光”はちょっと……」
陽斗が笑う。
湊も苦笑する。
「確かに、ちょっとポエムすぎるな」
そこで陽斗が突然ひらめいた顔をした。
「じゃあさ……
“世界の淡路島 非公式アカウント” とかどうよ!」
一瞬の沈黙。
次の瞬間──
「ダッサ!!!」
全員が爆笑した。
「いや、逆にええやろ!
“非公式”って書いてあるのが高校生っぽいやん!」
陽斗が胸を張る。
「確かに……
背伸びしてない感じが逆にリアルやな」
湊が笑う。
凛も頷く。
「“世界の淡路島”って、ちょっと大げさで可愛いし」
紗季がスマホを見ながら言う。
「しかも、後で改名できるしね。
黒歴史として残しても面白いし」
悠真が静かに言う。
「……アカウント名、空いてる。
取れるで」
「よっしゃ!決まりや!」
陽斗が拳を握る。
こうして、
五人のSNSアカウントは
『世界の淡路島 非公式アカウント』
という、絶妙にダサい名前で誕生した。
「次、プロフィール文やな」
湊が言う。
「“淡路島の魅力を世界に発信します!” とか?」
陽斗が言う。
「いや、それは普通すぎる」
凛が首を振る。
紗季がスマホを見ながら、
「“淡路島のええとこ、勝手に紹介してます” とかどう?」
と提案する。
「それ、めっちゃ良くない?」
湊が笑う。
「“非公式”感があって好き」
凛も頷く。
悠真がぽつりと呟く。
「……“素人高校生5人が、淡路島のええとこ集めてます” とか?」
「それ、最高やん」
紗季が目を輝かせる。
陽斗が笑いながら言う。
「よし、それで行こ!
“素人高校生5人が、淡路島のええとこ集めてます”!」
湊が入力しながら、
(ほんまに……始まったんやな)
と胸が熱くなるのを感じた。
「よし、投稿第一号いくで!」
陽斗が叫ぶ。
「ちょ、待って。
写真選ばなあかんやろ」
凛が止める。
「紗季の夕陽バックのやつ、めっちゃ良かったで」
湊が言う。
紗季は照れながら、
「え、あれ?
あれは……まあ、ええけど」
と髪を触る。
陽斗がにやにやしながら言う。
「湊、紗季の写真ばっか選ぶやん」
「選んでへんわ!!」
湊が真っ赤になる。
凛が笑いながら、
「湊、また赤い」
と指摘する。
悠真が静かに言う。
「……撮っとこか?」
「撮るな!!」
五人の笑い声が湊の部屋に響いた。
こうして、
五人のSNSアカウント
『世界の淡路島 非公式アカウント』
は、最初の投稿を迎えた。
スマホ一台、知識ゼロ、英語も壊滅。
でも、情熱だけは誰にも負けない。
淡路島の光を集める旅は、
まだ始まったばかりだった。




