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世界の淡路島ですけど、何か?  作者: 双鶴


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第66話 六人で初詣

元日の朝。

空気はきりりと冷たく、

吐く息が白くほどけていく。


「寒っ……!」

陽斗が手をこすり合わせる。


「でも、冬の朝って好きやわ」

紗季がマフラーに顔を埋めながら言う。


神社へ続く参道には、

まだ人がまばらで、

石畳の上に落ちた木漏れ日が

淡い金色をつくっていた。


凛は息を整えながら言った。

「朝の神社って、なんか落ち着くね……」


湊は鳥居を見上げる。

「せやな。

空気が澄んでる感じするわ」


美咲は手袋の中で指を組み、

「なんか……

“新しい年が始まった”って感じするね」

と小さく呟いた。


悠真は静かに頷いた。

「……六人で来れてよかった」


その声は、

冬の空気に溶けるように柔らかかった。



境内に入ると、

木々の間を抜ける風がさらりと頬を撫でた。

どこかで焚かれているお焚き上げの煙が、

ほんのりと甘い匂いを運んでくる。


「なんか……ええ匂いやな」

湊が言う。


「分かる。冬の神社って感じ」

紗季が笑う。


陽斗は手を合わせながら、

「よし、願い事するで」

と気合いを入れた。


凛は静かに目を閉じ、

美咲は胸の前で手を組み、

悠真は少しだけ顔を上げて空を見た。


誰も願い事を口にしなかった。

でも、

“何を願ったのか”は、

なんとなく分かる気がした。


六人の影が、

並んで石畳に落ちていた。



おみくじを引くと、

紗季が歓声を上げた。


「見て見て!大吉や!」


「お前、運強すぎやろ」

陽斗が笑う。


凛は小さく微笑んだ。

「私は中吉。ちょうどいいかも」


湊は苦笑しながら紙を見せた。

「末吉やったわ……まあ、ぼちぼちってことやな」


美咲はおみくじを胸にしまいながら言った。

「私、小吉。でも……なんか嬉しい」


悠真は紙を折りながら言った。

「……吉。

悪くない」


紗季が言う。

「みんな違うの、なんかええな。

“六人六色”って感じ」


陽斗が笑う。

「せやな。

うちららしいわ」



帰り道。

冬の光が少しずつ強くなり、

神社の屋根がきらりと輝いた。


美咲が言う。

「なんか……

今年も六人で歩けたらいいね」


凛が頷く。

「うん。

進路はバラバラでも、

こうして集まれるといいな」


湊は手をポケットに入れながら言った。

「せやな。

無理に合わせんでも、

自然と集まれる関係がええわ」


紗季は笑う。

「うちら、そういうとこあるよな。

なんか気づいたら一緒におるっていうか」


陽斗が言う。

「せやせや。

“気づいたら六人”って感じや」


悠真は静かに言った。


「……今年も、六人で」


その言葉に、

誰も返事をしなかった。


でも、

六人の歩幅は自然と揃っていた。


冬の光が、

六人の影を長く伸ばしていく。


新しい年が始まった。

六人で迎えた、その事実だけで十分だった。


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