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世界の淡路島ですけど、何か?  作者: 双鶴


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第62話 揺れる六人

「なんか……変な感じやな」


放課後の帰り道。

紗季がぽつりと言った。


昨日の進路面談の余韻が、

まだ六人の間に残っていた。


湊が歩きながら言う。

「変って……何が?」


「うーん……

なんか、みんなが“未来”の話し始めたやん。

それがちょっと怖いっていうか」


陽斗が苦笑する。

「分かるわ。

俺なんかまだ何も決まってへんし、

置いてかれてる気する」


凛は静かに言った。

「置いてかれてるんじゃなくて……

それぞれが動き始めただけだよ」


美咲は海を見ながら呟いた。

「でも……

“六人で歩く今”が終わるかもしれんって思うと、

なんか胸がぎゅってなる」


悠真は少しだけ歩く速度を落とした。

「……終わらん」


その言葉は短かったけれど、

誰よりも強かった。




学校の帰りに寄った公園。

ベンチに座ると、

夕方の風が少し冷たかった。


紗季が言う。

「なあ……

もしさ、進路バラバラになったら、

うちらどうなるんやろ」


陽斗が頭をかく。

「そんなん考えたくないけど……

まあ、そうなるよな」


凛は手を組みながら言った。

「でも、離れることが悪いことじゃないよ。

それぞれの道があるってことだし」


湊は少し考えてから言った。

「せやけど……

“六人で淡路島歩く”ってのが、

当たり前じゃなくなるんやなって思ったら……

なんか寂しいわ」


美咲は小さく頷いた。

「うん……

私も、そう思った」


悠真は空を見上げながら言った。

「……未来は別々でも、

今は六人や」


その言葉に、

六人は静かに息を呑んだ。



しばらく沈黙が続いたあと、

紗季が無理やり明るい声を出した。


「なあ!

とりあえずさ、今は今を楽しも!

未来のこと考えて暗くなるの、もったいないやん!」


陽斗が笑う。

「せやな。

俺ららしくないわ、こんなん」


凛も微笑む。

「うん。

“今”を大事にしよ」


湊が頷く。

「せやせや。

未来は未来で考えたらええ」


美咲は少しだけ笑った。

「うん……

六人で歩ける今、ちゃんと味わいたい」


悠真は短く言った。


「……歩こ。

この六人で」


---


帰り道。

夕暮れの空がゆっくり色を変えていく。


進路はバラバラ。

未来もバラバラ。


でも、

“今は六人で歩いている”

という事実だけが、

静かに胸を温めていた。


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