第59話 通知の正体
「……え?」
放課後。
陽斗がスマホを見て固まった。
紗季がすぐに気づく。
「どしたん?またフォロワー増えた?」
「いや……これ……
フォローしてきたん、誰やと思う?」
湊が覗き込む。
「有名人か?また?」
陽斗は震える指で画面を見せた。
“兵庫県知事”
凛が目を丸くする。
「……え、これ本物?」
「認証マークついとるし……本物やろ」
湊が言う。
美咲は思わず声を漏らした。
「え、え、え……なんで……?」
悠真は静かに呟いた。
「……通知、来てた」
紗季が両手で頭を抱える。
「ちょっと待って!
知事ってあの知事!?
淡路島のトップやん!」
陽斗は半分笑いながら叫んだ。
「なんでフォローしてくんねん!!」
休み時間。
六人は机を寄せて、
知事のアカウントを見つめていた。
凛が言う。
「でも……フォローだけで、コメントはないね」
湊が頷く。
「せやな。
たぶん“見てますよ”って意味なんやろ」
紗季は興奮気味に言う。
「でもさ、知事がフォローしてくれるってすごくない!?
淡路島の高校生がやってるってだけで!」
陽斗は頭を抱えたまま。
「いやいやいや……
なんか急に責任重くなった気するわ……」
美咲は少し不安そうに言った。
「うん……
なんか、見られてるって感じが強くなるね」
悠真は短く言った。
「……でも、変わらんでええ」
その言葉に、
六人は少しだけ落ち着いた。
放課後。
海沿いのベンチに座り、
六人は改めてスマホを見つめた。
紗季が言う。
「知事って、淡路島のことめっちゃ大事にしてる人やん。
フォローしてくれたってことは、
うちらのこと応援してくれてるってことやと思う」
陽斗はため息をつく。
「応援は嬉しいけど……
なんか緊張するわ……」
凛が優しく言った。
「でも、私たちは私たちだよ。
知事が見てても、見てなくても」
湊が頷く。
「せやな。
“高校生の淡路島”ってのが大事なんやし」
美咲は海を見ながら言った。
「うん……
数字とか、誰が見てるとかじゃなくて、
歩きたいから歩くって感じでいたい」
悠真は静かに言った。
「……みんなで、続けよ」
帰り道。
夕方の空がゆっくり暗くなっていく。
紗季が笑う。
「でもさ……
知事にフォローされる高校生って、なかなかおらんよな」
陽斗が苦笑する。
「ほんまやで……
明日からどうしたらええねん」
凛が言う。
「いつも通りでいいよ。
それが一番だよ」
湊が軽く笑った。
「せやな。
知事も、たぶんそれを見たいんやと思う」
美咲は小さく言った。
「うん……
“私たちの淡路島”って感じで」
悠真は短く言った。
「……変わらんでええ」
六人の影が並んで伸びていく。
フォロワーは増え続ける。
でも、
歩く速度は、いつもと同じだった。




