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世界の淡路島ですけど、何か?  作者: 双鶴


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第56話 届いたのは、ひと言だけ

「……あれ?」


昼休み。

美咲がスマホを見て、小さく声を漏らした。


紗季がすぐに反応する。

「どしたん?またフォロワー増えた?」


「ううん……

あの有名人の人から、コメント来てる」


陽斗が椅子ごと回転する。

「マジで!?DMの返事!?」


「DMじゃなくて……

投稿のほうに、やけど」


湊が覗き込む。

「どれどれ……」


画面には、

短いひと言だけが残されていた。


“淡路島、ええとこやで。頑張りや。”


凛が目を丸くする。

「……これ、本物だよね?」


「本物やろ。認証マークついとるし」

湊が言う。


陽斗は頭を抱えた。

「うわー!DMの返事は来てへんけど、

コメントはしてくれたんか!」


紗季が笑う。

「なんか……めっちゃ淡路島の人っぽいな、この感じ」


美咲は画面を見つめながら言った。

「短いけど……嬉しいね。

ちゃんと見てくれてたんや」


悠真は静かに頷いた。

「……十分や」




放課後。

六人は海沿いのベンチに座って、

改めてコメントを読み返していた。


陽斗が言う。

「紹介はしてくれんかったけど……

まあ、そらそうか。忙しい人やし」


湊が肩をすくめる。

「むしろ、コメントくれただけで十分やろ。

普通はスルーやで」


凛は海を見ながら言った。

「なんか……あったかいよね、この言い方」


紗季が笑う。

「“頑張りや”って、めっちゃ淡路島の人の言い方やん。

なんか親戚のおっちゃんみたい」


美咲は少し照れながら言った。

「でも……見てくれてたって思うと、

ちょっとだけ自信つくね」


悠真は短く言った。

「……うん。

続けよ、って感じする」




帰り道。

夕方の空がゆっくり暗くなっていく。


陽斗が言う。

「なんかさ……

“有名人に見られてる”って思うと、変な感じやな」


凛が笑う。

「でも、私たちは私たちだよ。

今まで通りでいいと思う」


湊が頷く。

「せやな。

背伸びしたら、うちららしくないし」


紗季が言う。

「“頑張りや”って言われたし、頑張ろ!」


美咲は小さく笑った。

「うん。

なんか……嬉しいね、こういうの」


悠真は静かに言った。


「……見てくれる人が増えても、

六人で歩くだけや」


六人の影が並んで伸びていく。

返事は来なかった。

でも、

そのひと言だけで十分だった。


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