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世界の淡路島ですけど、何か?  作者: 双鶴


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第54話 数字が動き出す

「……え、増えてる」


朝の教室。

凛がスマホを見て、思わず声を漏らした。


紗季がすぐに駆け寄る。

「何が?……って、フォロワー!?

昨日よりめっちゃ増えてるやん!」


陽斗が飛び上がる。

「マジか!?どれどれ……

うわっ、ほんまや!なんで!?」


湊が落ち着かせるように言う。

「昨日のケーブルテレビの放送やろ。

見た人が検索してくれたんや」


美咲はスマホを持つ手が少し震えていた。

「なんか……すごいね。

こんなに増えるんや……」


悠真は画面を見つめながら、

小さく呟いた。


「……コメント、多い」



休み時間。

六人は机を寄せて、

SNSの通知を見ていた。


「“応援してます!”やって!」

紗季が嬉しそうに言う。


「“地元民です。ありがとう”ってのもあるで」

陽斗が読み上げる。


凛はコメント欄をスクロールしながら言った。

「なんか……優しい人多いね」


湊は腕を組んで言う。

「でも、ちょっと怖いな。

急に増えすぎると、なんか落ち着かん」


美咲は静かに頷いた。

「うん……

嬉しいけど、なんか不思議な感じする」


悠真は短く言った。

「……見られてる、って感じ」


その言葉に、

六人は一瞬だけ黙った。



放課後。

海沿いのベンチに座り、

六人は改めてスマホを見つめた。


紗季が言う。

「でもさ、嬉しいよな。

うちらの淡路島、ちゃんと届いてるってことやし」


陽斗が頷く。

「せやな。

なんか……認められた気するわ」


凛は少し考えてから言った。

「でも、無理して投稿するのは違うよね。

今まで通りでいいと思う」


湊が同意する。

「せやな。

数字に振り回されたら終わりや」


美咲は海を見ながら言った。

「うん……

“見せるため”じゃなくて、

“歩きたいから歩く”って感じでいたい」


悠真はその言葉に、

静かに頷いた。


「……それが、ええ」




帰り道。

夕方の空がゆっくり色を変えていく。


紗季が言う。

「なんかさ……

これからもっと増えるんかな」


陽斗が笑う。

「増えたら増えたで、ええやん」


凛は少しだけ不安そうに言った。

「でも……変わっちゃうのは嫌だな」


湊が言う。

「変わらんでええ。

六人で歩いて、撮って、書いて……

それだけで十分や」


美咲は小さく笑った。

「うん。

数字は数字やしね」


悠真は短く言った。


「……六人で、続けよ」


六人の影が並んで伸びていく。

フォロワーは増えた。

でも、歩く速度は変わらない。


それが、六人の“淡路島”だった。


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