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世界の淡路島ですけど、何か?  作者: 双鶴


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第37話 夜の島に、光が降る

「なあ……夜、撮りたい」


悠真がそう言ったのは、

祭りの準備を見に行った帰り道だった。


陽斗が振り返る。

「夜?星とか?」


「……光が、昼と違う」

悠真は短く言った。


凛が微笑む。

「いいね。

淡路島の夜って、すごく綺麗だよ」


紗季が手を叩く。

「よっしゃ!夜の撮影会や!

山の上とか行ったら星めっちゃ見えるで!」


湊は空を見上げながら言った。

「夜の淡路島……

まだちゃんと見たことないな」


こうして五人は、

夕方から山の展望台へ向かった。



山道を登る途中、

空はゆっくりと色を変えていった。


橙色。

薄紫。

深い青。


「なんか……空がグラデーションしてるみたいや」

紗季が呟く。


陽斗は息を切らしながら言う。

「夜って、こんなにゆっくり来るんやな……」


凛が微笑む。

「“夜になる瞬間”って、

意識しないと見逃しちゃうよね」


湊はその言葉に頷いた。

「せやな……

こういう時間、大事にしたいわ」


悠真はすでにカメラを構えていた。

「……光、変わる」



展望台に着くと、

そこには“静寂”があった。


風の音だけが聞こえる。

街の灯りが遠くに瞬いている。

海は黒く、静かに広がっている。


そして──

空には、星が散りばめられていた。


「うわ……」

紗季が息を呑む。


「これ……やば……」

陽斗が言葉を失う。


凛はそっと手を胸に当てた。

「淡路島って……

夜もこんなに綺麗なんだね」


湊は空を見上げたまま言った。

「星って、こんなにあったんやな……

街じゃ見えへんのに」


悠真はカメラをゆっくり動かしながら、

「……光が落ちてくる」と呟いた。



五人はしばらく無言で星を眺めた。


沈黙は重くない。

むしろ、心が満たされるような静けさだった。


紗季がぽつりと言う。

「なんか……今日の夜、忘れられへんわ」


陽斗が頷く。

「俺、星とか興味なかったけど……

これはすごいわ」


凛が微笑む。

「夜の淡路島って、

昼とは全然違う顔してるよね」


湊は静かに言った。

「光の流れって、

昼も夜も綺麗なんやな……」


悠真はカメラを下ろし、

空を見上げたまま呟いた。


「……また撮りたい」



帰り道、

山の空気は少し冷たかった。


でも、

五人の歩く影はどこか温かかった。


紗季が言う。

「次はどんな“光”撮る?」


陽斗が笑う。

「俺、夜の海とかも見てみたいわ」


凛が頷く。

「淡路島の夜、まだまだあるよ」


湊は空を見上げながら言った。

「ゆっくり探していこ。

焦らんでええ」


悠真は小さく言った。

「……夜、好き」


その言葉に、

四人はそっと微笑んだ。


淡路島の夜は静かで、

星はまだ、

五人の上に降り続けていた。


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