第25話 石垣の影に眠るもの(洲本城・二度目の訪問)
「洲本城、もう一回ちゃんと撮りたいねん」
湊がそう言ったとき、
陽斗が首をかしげた。
「え、前に行ったやん?
あれで十分ちゃうん?」
凛が静かに言う。
「前は“観光”として見たけど……
洲本城って、もっと深い歴史があるんだよ」
紗季がスマホを見せる。
「ほら、地元の歴史研究会の人が、
“洲本城の裏側ツアー”やってるらしいで!」
悠真が小さく呟く。
「……石垣、撮りたい」
こうして五人は、
二度目の洲本城へ向かった。
山道を登ると、
前に来たときと同じ景色が広がったはずなのに、
どこか違って見えた。
そこに、案内役の歴史研究者の男性が立っていた。
「よう来たな。
今日は“洲本城の本当の姿”を見てもらうで」
その声に、五人は自然と背筋が伸びた。
案内人は、
まず石垣の前で立ち止まった。
「これが“登り石垣”や。
全国でも珍しい構造でな、
山の斜面を利用して敵の侵入を防ぐためのものや」
湊が驚く。
「これ……ただの石垣やと思ってました」
「ただの石垣ちゃう。
洲本城は“海の城”でもあり“山の城”でもある。
淡路島が“国境の島”やった証拠や」
凛が息を呑む。
「国境……」
案内人は続ける。
「淡路島はな、
四国と本州の間にある“要衝”や。
ここを押さえた者が、
海を制したと言われとる」
陽斗が思わず言う。
「そんな重要な場所やったん!?」
紗季は石垣に触れながら呟く。
「なんか……重みあるなぁ……」
悠真は石垣の角度をじっと見つめ、
「……この形、CGで再現したい」と言った。
案内人は笑った。
「ええ視点や。
洲本城は“構造そのものが武器”やからな」
天守台に着くと、
淡路島の海が一望できた。
前に来たときより、
景色がずっと“意味を持って”見えた。
案内人が静かに言う。
「ここから見える海は、
ただの景色やない。
戦国時代は“命の通り道”やった」
湊はその言葉を胸に刻むように聞いた。
凛が呟く。
「淡路島って……
ただの観光地じゃないんだね」
紗季も頷く。
「うちら、知らんことだらけやったんやな」
陽斗は腕を組んで言う。
「なんか……もっとちゃんと紹介したくなってきたわ」
悠真は海を撮りながら言った。
「……歴史も、光も、全部撮りたい」
帰り道、
湊が言った。
「前に来たときと全然違うな。
同じ場所やのに、見えるもんが変わる」
凛が微笑む。
「知るって、そういうことだよね」
紗季が言う。
「うちらの動画も、
もっと“深い話”できるようになりたいな」
陽斗が拳を突き上げる。
「よっしゃ!次は神話や!
淡路島の“始まり”行こ!」
悠真が小さく頷く。
「……おのころ島、撮りたい」
五人の旅は、
観光から“歴史”へ、
そして“島の物語”へと
さらに深く潜っていく。




