第24話 土の色、風の匂い、島の畑で
「海の朝、めっちゃ良かったなぁ」
紗季が言うと、凛が静かに頷いた。
「じゃあ次は“畑”だね。
淡路島って、海だけじゃなくて農業もすごいんだよ」
湊が言う。
「玉ねぎの産地やしな。
農家さんの話、ちゃんと聞いてみたいわ」
陽斗は「農作業とか絶対しんどいやん……」と嘆き、
悠真は「……土の色、撮りたい」と小さく呟いた。
五人は島の北側にある棚田へ向かった。
棚田に着くと、
視界いっぱいに広がる段々の畑が、
朝の光を受けて金色に輝いていた。
「うわ……めっちゃ綺麗……」
凛が思わず息を呑む。
「写真で見るより迫力あるな」
湊が言う。
紗季は風に揺れる苗を見て、
「なんか……生きてるって感じするなぁ」と微笑んだ。
そこへ、作業中の農家さんが声をかけてくれた。
「おー、学生さんか。
今日は見学か?」
陽斗が元気よく答える。
「はい!淡路島のこと紹介する動画作ってます!」
農家さんは笑って、
「ほな、手伝ってみるか?」
と鍬を渡してきた。
「えっ、マジで!?」
陽斗が固まる。
農作業は想像以上にハードだった。
陽斗は鍬を振り上げては、
「重っ!!」と叫び、
紗季は器用に苗を植え、
凛は丁寧に土をならし、
湊は真剣に農家さんの話を聞き、
悠真は土の色と光の角度をずっと撮っていた。
農家さんが言う。
「淡路島の玉ねぎはな、
この土と、この風と、この光で育つんや。
どれが欠けてもあかん」
湊が頷く。
「“環境そのもの”が味を作るんですね」
「せや。
観光地だけ見ても島は分からん。
こういう“暮らし”があってこそや」
凛はその言葉を胸に刻むように聞いていた。
作業のあと、
農家さんが玉ねぎを丸ごと焼いてくれた。
皮が黒く焦げ、
中はとろとろで甘い。
「……なにこれ……めっちゃ甘い……!」
紗季が目を丸くする。
「これが淡路島の玉ねぎや」
農家さんが笑う。
陽斗は涙目になりながら叫ぶ。
「玉ねぎで泣いてるんちゃうで!
うますぎて泣いてるんや!!」
全員が笑った。
悠真は焼けた玉ねぎの断面を撮りながら、
「……光、綺麗」と呟いた。
帰り道、
湊が言った。
「海の朝と、畑の朝……
どっちも“淡路島の暮らし”やな」
凛が微笑む。
「こういう場所を紹介できたら、
きっと島の魅力がもっと伝わるよ」
紗季が言う。
「うちら、ええ方向に進んでる気するわ」
陽斗が胸を張る。
「次はどこ行く!?
島の“裏側”もっと知りたい!」
悠真は静かに言った。
「……城、撮りたい」
湊が笑う。
「よし、次は洲本城の“裏側”やな」
五人の旅は、
観光から“島の物語”へと
さらに深く潜っていく。




