第21話 風を渡る橋、時代をつなぐCG
「今日、見せたいものがある」
悠真がそう言った瞬間、
五人は一斉に顔を上げた。
いつも静かな彼が、自分から切り出すなんて珍しい。
「え、悠真が“見せたい”って……何ごと?」
紗季が目を丸くする。
「ついに新作か?」
陽斗がニヤニヤする。
悠真は無言でノートPCを開いた。
その動きが、いつもより堂々としていた。
画面が光り、
淡路島の海が映し出される。
次の瞬間──
巨大な橋が、光の中から立ち上がった。
「これ……明石海峡大橋?」
凛が息を呑む。
悠真は小さく頷いた。
「……世界最長の吊り橋。
中央支間は1991メートル。
1998年開通」
湊が驚いたように言う。
「説明まで完璧やん……」
CGのカメラが橋の真下を通り抜け、
ワイヤーの一本一本が光を反射する。
海面には橋の影が揺れ、
風の流れまで再現されていた。
「これ……本物より綺麗なんちゃう?」
紗季が画面に顔を近づける。
「……本物の構造図、全部見た」
悠真は淡々と言った。
陽斗が叫ぶ。
「お前、いつの間にそんなガチ勢になったん!?」
映像は次に 大鳴門橋へ移る。
渦潮の上をまたぐ巨大な橋。
潮の流れが白く泡立ち、
橋脚にぶつかって渦が巻く。
「大鳴門橋は1985年開通。
渦潮の上に橋をかけるために、
潮流の計算がめっちゃ難しかったらしい」
悠真の声は静かだが、
どこか誇らしげだった。
凛が感心して言う。
「悠真、めっちゃ調べてる……」
「……淡路島の橋、全部“物語”がある。
それ、CGで見せたかった」
湊は思わず笑った。
「悠真、今日めっちゃ語るやん」
「語らせてやれや。今日の主役やぞ」
陽斗が肩を叩く。
映像はさらに続く。
北淡震災記念公園の“野島断層”を跨ぐ小さな橋。
洲本の海沿いにかかる白いアーチ橋。
島内の生活道路を支える短い橋たち。
「大きい橋だけやなくて、
“島の暮らしを支える橋”も入れたかった」
悠真が言う。
紗季が目を輝かせた。
「なんか……淡路島の“全部”が詰まってる感じする!」
凛も頷く。
「橋って、ただの道路じゃなくて……
島と島、人と人をつなぐものなんだね」
湊は静かに言った。
「悠真のCG、淡路島の歴史そのものやん」
陽斗は興奮して叫ぶ。
「これ絶対バズるって!!
“淡路島の橋、全部CGで再現してみた”で行こ!」
悠真は鼻息荒く言った。
「……もっとかっこいいタイトルがいい」
「鼻息荒っ!」
紗季が笑い、
全員が吹き出した。
その日のうちに動画を編集し、
CGをメインにした一本を投稿した。
投稿ボタンを押した瞬間、
五人は自然と拍手した。
「悠真、今日の主役やな」
湊が言う。
「ほんまや。
うち、ちょっと感動したわ」
紗季が笑う。
凛は画面を見つめながら言った。
「橋って、こんなに綺麗なんだって初めて思った」
陽斗が肩を叩く。
「お前、今日めっちゃかっこよかったぞ!」
悠真は少し照れながら、
でも確かに誇らしげに言った。
「……ありがとう」
淡路島の橋を渡る風が、
五人の胸にも静かに吹き抜けていた。
そして、
悠真のCGは、
淡路島の“歴史”と“未来”をつなぐ光になった。




