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世界の淡路島ですけど、何か?  作者: 双鶴


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第17話 始まりの島の、始まりの神宮

「なあ、淡路島って“日本の始まり”って言われてるやん?」


湊がそう言うと、凛がすぐに頷いた。

「国生み神話だよね。

最初に生まれたのが淡路島って」


紗季が目を輝かせた。

「せやせや!

その中心が“伊弉諾神宮”やん!

行ってみよ!」


陽斗は「神社って動画映えするん?」と首をかしげたが、

悠真が静かに言った。

「……あそこ、空気が違う。

撮る価値ある」


その一言で、五人は自然と決まった。

伊弉諾神宮へ向かう。




鳥居をくぐった瞬間、

空気がひんやりと変わった。


「……静かやな」

陽斗が小声で言う。


「うん。

なんか“守られてる”感じする」

凛が囁いた。


境内の木々は太く、

幹には何百年もの時間が刻まれているようだった。

風が吹くたび、葉がさらさらと揺れ、

その音がまるで古い物語を語っているように聞こえた。


紗季は思わず息を呑んだ。

「ここ……すごいな……

なんか、胸の奥がぎゅってなる」


湊は案内板を読みながら言う。

「伊弉諾大神が“幽宮”として余生を過ごした場所って言われてるらしい。

つまり……日本の神話の“終わり”であり“始まり”でもある場所や」


陽斗が目を丸くした。

「なんかスケールでかすぎて分からんけど……

すごいってことは分かる」


悠真はカメラを構えながら、

「……光、柔らかい」

と呟いた。


湊が笑う。

「久しぶりに出たな、その言い方」


悠真は少し照れたように視線をそらした。




本殿の前に立つと、

五人は自然と背筋が伸びた。


「なんか……手ぇ合わせたくなるな」

紗季が言う。


「うん。

動画のこととか、色々お願いしたくなる」

凛が微笑む。


陽斗は真剣な顔で手を合わせた。

「フォロワー増えますように……」


「そこかい!」

全員がツッコむ。


湊は静かに手を合わせた。

(淡路島の良さ、もっと伝えられますように)


悠真は目を閉じ、

(……良い動画が作れますように)

と心の中で呟いた。




境内の奥にある夫婦大楠の前で、

紗季が言った。


「この木、樹齢900年やって……

すごすぎひん?」


凛がそっと幹に触れた。

「生きてるって感じする……

ずっとここで、島を見てきたんだね」


陽斗は木の大きさに圧倒されていた。

「こんなん、ゲームの世界やん……」


湊はスマホで撮りながら言う。

「淡路島の歴史って、

こういう“静かな重さ”があるよな」


悠真は木漏れ日を見上げ、

「……ここ、好き」

と小さく言った。


紗季が笑う。

「分かるわ。

なんか落ち着くよな」




帰り道、湊が言った。

「今日の動画、どうまとめる?」


凛が答える。

「淡路島の“始まり”を紹介する感じがいいと思う。

派手じゃないけど、大事な場所だから」


紗季が笑う。

「うちは“陽斗の願い事”カットでええで」


「なんでや!」

陽斗が叫ぶ。


悠真は静かに言った。

「……音、綺麗に録れてる。

風の音も、葉の揺れる音も」


湊は頷いた。

「よし。

淡路島の“根っこ”を紹介する動画にしよ」


夕暮れの空は淡い金色で、

境内の静けさがまだ胸の奥に残っていた。


淡路島を世界に知らしめる旅は、

またひとつ、深い場所へ踏み込んだ。


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