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世界の淡路島ですけど、何か?  作者: 双鶴


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第15話 淡路島の夜は、笑いと湯気とちょっとした事件

「フォロワー……30人になってる!」


湊の声に、全員がスマホを覗き込んだ。


「ほんまや!友達以外の人もおる!」

紗季が跳ねる。


「“知らん人”がフォローしてくれたってだけで、なんか嬉しいな」

凛が微笑む。


陽斗はガッツポーズ。

「よっしゃあああ!ついに外の世界に届いたんや!」


悠真は静かに頷いた。

「……いいね、10件。

今までで一番多い」


数字は小さい。

でも、5人の胸は大きく膨らんでいた。


そんな中、紗季が言った。


「今日な、うちの近所……大人の酒盛りの日やねん」


陽斗がニヤッと笑う。

「出た、あの“年に数回のカオス祭り”!」


「カオス言うな!」

紗季がツッコむ。


凛が微笑む。

「でも、あの雰囲気好きだよ。

なんか“島の夜”って感じで」


湊も頷く。

「大人ら、あわぢビール飲んでめっちゃ盛り上がるしな」


「今日はうちが全部作るで!」

紗季が胸を張った。




夕方、紗季の家の庭には、近所の大人たちが続々と集まってきた。

すでにあわぢビール片手にご機嫌な父親たち。


「紗季ちゃん、今日も頼むでぇ〜!」

「玉ねぎの天ぷら、楽しみにしとるぞ!」


紗季は割烹着姿でキビキビ動き、

玉ねぎの天ぷら、3年フグの唐揚げ、タコ天を次々と揚げていく。


ジュワァァァ……

香りが庭いっぱいに広がる。


「紗季ちゃん、天才か!」

「これ店出せるやろ!」

「ビールが止まらんわぁ!」


父親たちは完全に出来上がっていた。


母親たちは呆れ顔。

「アンタら飲みすぎ!」

「子どもに迷惑かけんといてよ!」


父親たちは「いや今日は祭りや!」とさらに盛り上がる。


縁側では、湊たちが紗季の用意した“淡路島ソウルフード食べ比べ”を開始していた。


タコ飯、生しらす丼、淡路島牛丼、生さわら丼。

湯気と香りが混ざり合い、夜風に乗ってふわりと漂う。


「うわ……全部うまい……」

湊が感動する。


「淡路島、ほんま食の宝庫やな」

凛がしみじみ言う。


陽斗はすでに3杯目。

「止まらん!!」


悠真は静かに言った。

「……全部、良い」


紗季は得意げに笑った。

「せやろ!淡路島の食材は最強や!」




その時、紗季が凛に耳打ちした。


「なあ凛……今日、盛り上げるためにさ……

例のアレ、着よか?」


凛が目を丸くする。

「え、ほんまにやるの?」


「やるやる!大人ら酔ってるし、どうせ覚えてへん!」


そして──


メイド服の紗季と凛、爆誕。


「いらっしゃいませ〜♡」

「本日のおすすめは淡路島の海の幸で〜す♡」


父親たちが一斉に立ち上がった。

「おおおおお!?なんやこれぇぇぇ!!」

「紗季ちゃんと凛ちゃん、可愛すぎるやろ!!」


母親たちが即座に怒鳴る。

「アンタら、やめなさい!」

「父ちゃんたちも、いい加減にしてよ!」


父親たちは正座させられた。


湊と陽斗は顔を真っ赤にして固まっていた。

悠真は静かに目をそらした。


紗季は笑いながら言う。

「悪ノリや悪ノリ!」


凛も照れながら、

「たまには……いいでしょ?」

と小声で言った。


男子3人は一斉に崩れ落ちた。




翌日、湊の家で動画編集。


「大人の酔っ払い部分は全部カットな」

湊が言う。


「当然や!」

紗季が即答。


「で……その……メイドのとこなんやけど……」

陽斗が言いにくそうに言う。


湊も耳まで赤くしながら続けた。

「……あれ、めっちゃ可愛かったで」


悠真も小さく言った。

「……似合ってた」


紗季と凛は一瞬固まり、

次の瞬間、同時に真っ赤になった。


「な、なにそれ……!」

「そ、そんなこと言われたら……嬉しいやん……!」


照れながらも、

2人は完全にご満悦だった。


最終的に、

子どもたちの食べ比べと料理風景だけ

を丁寧に編集して投稿した。



「……いいね、11件」

湊が呟く。


「増えてる!!」

陽斗が叫ぶ。


「友達以外の人も見てくれてる!」

紗季が喜ぶ。


凛も微笑む。

「うん。

少しずつだけど、ちゃんと届いてるね」


悠真が静かに言った。

「……次も、良いの作ろう」


淡路島の夜は、

今日も美味しく、賑やかで、ちょっと恥ずかしくて、

そして最高に楽しかった。


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