第32話 叙勲
アレジオと二人で副団長の前に立つ。
村から帰還した俺達は副団長に任務完了の報告にやって来たのだ。
なにも活躍していないアレジオがドヤ顔で副団長に任務報告を始める。
「……ということで、村は三司祭のうちミザールによって支配されていたのを不肖アレジオ・ファフナーがこの手によって解放しました。またウェブも私の足手纏いにならない程度の活躍を……」
真実を知ってる俺が横にいるのに口からまあ出るわ出るわデマカセの数々。
それを黙って目を閉じて黙って聞いている副団長。
アレジオの報告が終わると副団長はゆっくりと目を開く。
「アレジオ君、君は私の調査という命令を無視し、新人であるウェブ君を危険に晒してまで、自らの功を取ったということか?」
いつものどこか笑っている目で低い声でアレジオにそう言った副団長。
アレジオは負けじと反論をする。
「わ、私は、騎士です。虐げられている平民がいれば動かざるをえません。我が実力を持ってすれば三司祭の討伐など容易いことです。副団長は私の実力をご存知ないので?」
アレジオがそう言うと副団長は
「君の実力を知っているからこそ、三司祭を討伐できたことが到底信じられないのだが」
と言い放った。
それを聞いてアレジオは真っ赤な顔して「失礼します!」と副団長の部屋を一人出て行った。
副団長は肩をすくめて俺に話し掛ける。
「ありがとう。君のおかげで長年騎士団が追っていた三司祭の一人を倒すことができた」
アレジオの説明だとアレジオ一人が活躍して討伐をしたというような感じだったが……
「アレジオの報告、あれは流石に無理があるよ。それでも団長はアレジオの言うことを信じそうだけどね」
副団長は俺にそう呟く。俺はなにも言わず頷いた。
――1週間後。
「アレジオ・ファフナー」
アレジオは団長に名前を呼ばれて誇らしげな顔をして騎士団の騎士全員が集まっている講堂の壇上に上がる。
「ウェブ・ステイ」
俺の名前も呼ばれ、団長とアレジオが待つ壇上に上がる。
団長が講堂に集まった騎士達に向けて演説を始める。
「この二人の勇敢なる騎士は、我々が長年追っていた邪教徒の三司祭のうちの一人、ミザール・フォン・ガシャデールの討伐を果たした。よってここに勲章を授ける!」
団長の隣に立つ副団長がお盆のような物を持っており、その上に二つの銀の獅子の形をした勲章が置かれている。
すると団長はアレジオの胸に勲章を付け握手を交わす。アレジオに「さすがフィン参謀の弟だ。今後の活躍も期待しているぞ」と声を掛ける。
そして俺の前にきてアレジオと同じ銀の獅子の勲章を俺の胸につけ握手を交わし「いい教育係だな。アレジオに感謝をしなさい」と一言言った。
邪教徒を討伐に成功した俺達はアレジオが言っていたように三司祭のうちの一人を倒したということで叙勲となった。
当初、今回の叙勲はアレジオ単独になる予定だった。
そうあの報告の後、団長に報告しに行ったアレジオの言うことを間に受けた団長は、アレジオにのみ特別勲章である銀獅子勲章を授与するということになりかけたらしい。
しかし、副団長は勿論、実の兄である参謀のフィン・ファフナーにすら反対をされるという結果になり、両者銀獅子勲章を叙勲ということになった。
叙勲式が終わり、寮に帰ると胸に輝く銀の獅子の勲章をつけた俺にデュークが話し掛けてくる。
「かっこいいですね。銀獅子勲章」
「ふふ。これは出世コースだね。デューク君」
「そういや功労金出たでしょ?」
そう勲章と一緒に功労金で金貨1枚を貰った。
「金貨1枚でしょ? この間言ってたお店いきましょうよ。ウェブさんの奢りで!」
「ああ……」
俺がそう返事をした時だった。
『★★★★★限界突破が期間限定で追加! このスキルを引くと(特)以上に能力を強化することができます! ★★魅力耐性、石化耐性も恒常で追加されました。是非引いて下さい!』
と例の穴の文字が俺の視界に表示される。
「デューク。ちょっと用事があるから先に行っててくれ」
「わかりました。先行きますね」
なあに金貨1枚全部引くわけじゃない。ちょっとだけ引いてデュークと合流すればいいんだ……
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