第33話 これは支援
金貨1枚を両替する為にまずはサルベニ商会へとやってきた。時刻はまだ夕方だから開いてるはず。
中には入ると冒険者の時とは違って、商会の人が話し掛けてくる。
「騎士様。おお! その胸に輝くのは銀獅子勲章! こちらのお部屋にどうぞ」
周りの人の視線が俺に集まり、少し恥ずかしいが悪い気もしない。
その人の後をついて行くと、冒険者の時には入れてくれたこともないような、豪華な調度品が飾られた部屋に通される。
こ、こんな待遇になるんだ……両替に来ただけなのに……
フカフカそうなソファーに腰を掛けるとズボッと身体が沈みバランスを崩しそうになる。
案内してくれた人は正面に座ると話し掛けてくる。
「今日のご用件は?」
「今日は、両替に……」
そう言って金貨1枚を渡す。
「かしこまりました。銀貨100枚でよろしいですね?」
「はい」
と返事をするとその人は部屋を後にし3分程でずっしりとした小袋を持ってくる。
「銀貨100枚でございます。お客様に耳よりな情報がございますがお時間はよろしいですか?」
「いやちょっ急いでるで……」
「左様ですか。5分。ほんの5分のお時間もございませんか?」
5分か……5分ぐらいなら……俺は瞬間移動が使えるし……
「5分なら……」
そう言うとその人はニッコリと笑って話し始める。
「騎士様という物は何かと物入りと伺っております。私共サルベニ商会は騎士様を日々この国を守る為に奮闘されている騎士様を応援するという目的で騎士様支援制度というものを用意させていただきました」
「支援制度?」
「ええ。支援です。これは私共が騎士様にお金を用立てます。例えば銀貨10枚を1年間借りた場合、毎月銀貨1枚の返済をして頂くという訳です」
「それって借金ですよね……」
「違います。支援です。本来なら月の返済は銀貨2枚のところ銀貨1枚な訳ですからね」
「死んだ親父が借金だけはするなって……」
「ですからこれは借金ではありません。支援なのです。一考をしてはどうでしょうか?」
いやいや借金はしたらダメ。
「け、結構です」
「左様ですか。またお困りになればいつでもいらして下さい。担当のハーザンを呼べと受付で仰って下されば結構です」
「……分かりました」
ということで商会を後にする。
冒険者の時なんて借金のお願いなんてされたこともなかったけど、やっぱり騎士は凄いな……
そうだ、今から穴に行かなきゃ。デュークも待たせてるし。
手には銀貨100枚の入った袋を持って穴の前に立つ。
真っ黒で小さな穴が俺のことを待っていたかのように見える。
銀貨30枚は手元に残そう。そうすれば、食事代は余裕で賄える。
『銀貨3枚で強化されたスキルが引ける銀フェスが恒常化されました』
……まあ紙一杯になって嵩張るしそっちの方がいいか。
ということで銀貨30枚入れて強化された方を引く。
紙10枚が穴からでてきた。
1枚目……おい……こんなことあっていいのかよ!?
俺の手の中にあった1枚目の紙には★★★★★という表示があり、そこには限界突破と書かれている。
まじか!! やってしまった!!
その紙には『ステータスの限界を突破します。(特)を10枚集めると(極)に進化』と書かれている。
おお!! 今まで役に立たなかった無駄引きした紙が役に立つ!! 捨てずに取って置いて良かった!!
あとの9枚は★★と★だったが新追加である、魅了耐性と石化耐性はともに(中)を引くことができた。
さあ、これで胸を張ってデュークのとこに……
……ちょっとまて……まだ70枚あるんだぞ。銀貨は……
限界突破を重ねる……重ねるとどうなるだ? 限界突破+もしかして(極)の上が……
まだ資金に余裕があるなら行くべきだ!!
――10分後。
……まあ★★★★★だもんな。そう簡単に重ねるられないよな……
鑑定眼!
ウェブ・ステイ
Lv50
HP3500
MP1000
力SS
頑丈S++
素早S
魔力S
魅力S
運A
スキル:★★★★★絶対防御・限界突破★★★★悪食++・千里眼++・死者蘇生(仮)+・瞬間移動++・魔法反射・一回限りの復活★★★光属性付与(上)鑑定眼(上)闇属性付与(中)審美眼(中)魔眼(中)重力制御(中)★★火属性付与(上)水属性付与(特)風属性付与(上)土属性付与(上)雷属性付与(上)氷属性付与(上)★猫目(上)
強化:★★★運強化(上)高速機転(中)★★第6感強化(上)反射神経強化(上)★筋力強化(極)体力強化(極)動体視力強化(特)瞬発力強化(特)魔力強化(特)魅力強化(特)聴力強化(特)視力強化(特)嗅覚強化(特)味覚強化(特)経験値アップ(極)
耐性:★★毒耐性(上)出血耐性(上)呪い耐性(上)麻痺耐性(上)魅了耐性(中)石化耐性(中)
???:天国への階段
銀貨100枚の結果がこれ。元々持っていた紙も合わせて、筋力強化と体力強化が(極)になった。魅了耐性も石化耐性も手に入った。
……どうしよう……
サルベニ商会の人はこれは借金じゃないって言ってたよな……
そうこれは支援なんだ。サルベニ商会が騎士を助ける為の支援。
その支援に甘えてもいいだろう。そうこれは支援。
――30分後。
店に入るとデュークと同期の見習い騎士2名がテーブルを囲んでいた。
そしてデュークが話しかけてくる。
「ウェブさん。遅かったじゃないですかぁ。早く食べましょ。ここの蟹美味しいんですよ」
デュークの他に見習い騎士2名と飲み明かし、銀貨9枚、銅貨30枚の支払いを終えたのだった。
これは支援なんでセーフ……




