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16話 名を与える

正式な養子手続きは、五日で進められた。


迅速。


合法。


記録も残る。


王家に通達が届く頃には、


すでに成立している形。




ヴァルディエリ家私室。


証人立会いのもと。




「本日をもって養女とする」


当主の声は低い。


重い。


署名。


印章。


蝋が押される。




その瞬間。


法的拘束が発生する。




「今日より、ルチア・ヴァルディエリ」




ビアンカの指先がわずかに震える。


だが、涙はない。


令嬢だ。




「……ようこそ」


かすれた声。



私は彼女を見る。


「囲われるつもりはないわ」



「存じております」


彼女ははっきりと言う。


「対等に、隣に立っていただきます」



当主が書類を閉じる。


「王家には、明朝通達する」


静かに。



「抗議は来る」


私が言う。



「来させる」


当主は返す。


「そのために動いた」



私はそこで初めて理解する。


これは防御ではない。


誘導だ。



王家に圧をかけさせ、


その圧を証拠と組み合わせる。



第一王子は、


平民を奪おうとした。


三大貴族家の養女をも。



構図が変わる。


守られただけではない。


盤がひっくり返る。




夜。


屋敷の空気は静かだ。


だが城では違う。


王子の執務室に、通達が届く。



蝋封が破られる。


文面を読んだ瞬間。


沈黙。




「……養子?」


低い声。



机が静かに叩かれる。


怒りは爆発しない。


だが。


計算が狂った。




戦は、表へ出た。


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