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15話 強硬

三日後。


王城からの使者が到着した。


紋章入りの馬車。


王家直属の侍従。


逃げ道のない形式。



応接室には、ヴァルディエリ当主、ビアンカ、そして私。


侍従が一礼し、文書を差し出す。


「第一王子殿下より」


静まり返る室内。


封が切られる。




「正式な婚姻の打診」


当主が読み上げる。


感情はない。


ただ事実。




「平民ルチア・フィオレンツァを、王家の保護下に迎える」


保護。


実質的な拘束だ。


王家に入れば、拒否は難しい。




「……強引ですね」


私は言う。


侍従は微笑む。


「殿下はご寵愛の意を示しておられます」


言葉は柔らかい。


だが圧は強い。




「回答期限は」


当主が問う。


「十日以内」


短い。


あまりにも。


侍従が退室する。




扉が閉じた瞬間。


当主は即座に言った。


「五日で動く」


ビアンカが視線を上げる。


私は、わずかに笑った。




「殿下は十日を与えたつもりでしょう」


当主は淡々と続ける。


「ならば五日で盤を変える」




王家は期限を切った。


だがそれは、


“考える時間を与えた”という前提に立っている。



ならば。


考えさせなければいい。



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