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14話 解錠

「監禁はやめなさい」


その言葉が、静かに落ちた。


ビアンカは動かない。


視線だけが揺れる。




「条件です」


私は続ける。


「養子の話を進めるなら」


理で語る。


感情を混ぜない。



「……監禁ではありません」


反射的な否定。


だが声が弱い。


自分でも分かっている。


鍵をかけていたのは事実だ。



「夜に鍵が鳴らなかった」


私は告げる。


彼女の瞳が見開かれる。


逃げなかったことも。


気づいていたことも。


すべて、理解されている。




「あなたは越えない」


私は静かに言う。


「理性がある」


その評価に、彼女の呼吸が乱れる。




「だから選びなさい」


一歩近づく。


「囲うのか、守るのか」




沈黙。


長い沈黙。




「……守ります」


低い声。


震えているが、逃げない。




「ならば、鍵は不要です」



彼女の指が、ゆっくりと握られる。


迷い。


恐怖。


欲。


それらが交錯している。




「……解きます」


ようやく落ちた言葉。


誓いのように。



その夜。


扉は閉まる。


だが金属音は鳴らない。


二度と。



私は窓辺に立つ。


月光が淡く差し込む。


閉じ込められていない夜は、思いのほか静かだった。




ビアンカは背を向けたまま、言う。


「ですが」


低い声。


「外出は制限いたします」




思わず小さく笑う。


「全部は渡さないのね」




「……わたくしも、弱いのです」


正直な声。



私は答えない。


代わりに、距離を詰める。


今度は、彼女が逃げない。




「養子の件は考える」


静かに告げる。


「だが私は、駒ではない」


「存じております」


彼女ははっきり言う。


「対等に、隣に立っていただきます」


その言葉に、わずかな熱が混じる。



監禁は終わった。


だが戦いは始まったばかりだ。


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