第11話 砂流船祭
自分も祭り参加したいですね()
バレンは墜落した瓦礫を使い、穴を掘って埋める。
金属の柱を立て、操縦桿をそこに引っ掛けた。
膝を地面に着いて、両手を合わせて握り拳を作る。
目を瞑って暫く祈った。
………………
「それで、凍てつく砂漠は見つかったか?」
バイロリッヒは、にこやかにバレンに事の粗筋を聞く。
「あぁ、見つけた。 この国の西側、砂岩峡谷に洞窟への隙間があった。よく見たらすぐに見つかる。もし行くなら気を付けてくれ、気持ち悪いミミズ貝が居た」
「そいつは素晴らしいな。ありがとな、ユッシェは……友人は居たか?」
バレンはポーチに入れていたドッグタグを差し出した。
「彼も先に見つけていたよ。教えた入口の近くだ」
「そうか、ありがとな。俺も行ってみるか」
次に依頼元の夫婦の家に向かった。
「おお、綺麗だな……」
「確か、数珠でしたよね。少し、机をお借りしてもよろしいでしょうか」
「是非とも」
バレンは早速作業に取り掛かる。
黒輝石の真珠は黒曜石だ。硝子のような石で脆い、注意しながら糸を通すための穴を掘る。
他の珠は、市場で手に入れた森林諸国の長寿木を使って作る。
加工は木の方がやりやすかった。
糸は緑を使う。
夜、数珠が完成した。安産祈願の数珠だ。
「できましたよ。 あとは貴方達の思いです」
「ありがとうございます……わざわざ危険な」
「私も楽しめましたから、気にする事はありません」
バレンは夫婦に別れを告げ、宿に帰る。
「元気な子が産まれると良いなぁ」
バレンはそう言って眠りにつく。
翌朝
依頼がまだ届いていないので暇つぶしに市場を散策する。
そこでバイロリッヒに出会った。
「バレン、丁度いい所に」
「明らかに探してる挙動だったぞ……なんだ?」
「2日後、砂流船祭があるんだ」
「そうだね、そういえば耳に挟んだな。 それがなんかあるのか?」
「参加する」
「バイロリッヒは蒸気浮揚船でしょ……」
「勇敢な船乗りなら砂漠を走れるならどんな船でも参加していい!! 」
「それと私になんの関係が……」
「付き合え、狩りだからな。狩りをボッチでやるのは自殺行為だ」
「砂漠滑走できるのか?」
「着陸用の橇を使えば良いだろう」
「適当すぎやしないか」
砂流船祭、それは勇敢な船乗りが、年に数回この砂漠を泳ぎやってくる砂鯨を狩る祭りである。
元は王国を護るための物だったが、狩の道具が進歩するにつれて祭りのようになったのだ。
この王国を護る序でに、船乗り達の収入源にもなる。
「報酬は山分けだ」
「私が出る幕はあるのか」
「砂鯨が攻撃してきたらあの船でも耐えられない。防御魔法、あるだろ?」
「分かった、私の友人に素材屋を営んでる奴が居る、そいつのためにもやってみるか」
「へへっ、なら早速準備だ。2日後、王国東門に集合だ」
─2日後─
早朝、まだ地平線もほんのりと明るい程度の時間帯。
東門に大量の砂流船が集う。
中には蒸気浮揚船も紛れており、バイロリッヒのような稼ぎ目当ての者も少なくない。
「バレン、眠れたか?」
「あぁぐっすり寝たよ」
「俺もだ」
目的地へ向けて形様々な船の船団が発進する。
「なぁ、バイロリッヒ。蒸気浮揚船なら自力で航行できるが、砂流船はそうはいかないだろう」
「砂鯨が泳ぐとき砂は流砂の比じゃないくらい流動する、船をそいつに噛ませるんだ。あとは鯨にロープを引っ掛けとけば良い」
「帰る時は?」
「夕暮れまで待つ」
「砂流船の欠点だな」
船が次々に減速を始める。
朝方の流砂の流れが突然変わり、地響きが船団を襲う。
「来るぞ」
砂が大爆発を起こしたように舞い上がり、砂鯨が姿を現す。
見上げるような……岩のような背中、群青色の腹。
轢かれれば命の保証は無い。
「おい……あの古代船の倍のデカさはあるぞ……」
「これでも幼体期を終えたばかりだ。 砂漠で幼体期を過ごし、成体になると海へ行く。だがあの巨体だ、進路に人の住む町があれば」
砂流船士の1人が大声をあげる。
「さぁ!砂流船祭の、始まりだァ!」
「バレン、準備は良いな」
「はい、防御は任せてください」
バイロリッヒ「おいおい、そんなちっこい体でそんなデカい荷物運べんのか?」
バレン「こいつにとっては普通だぞ?」
バイロリッヒ「俺は北の都市に行くが、お前は?」
バレン「あぁ、新しい依頼だ。ここからずっと南」
バイロリッヒ「あそこか、用心しとけよ。最近良いニュースを聞かないからな」
バレン「まぁ、その時はその時だ。」
バイロリッヒ「森林諸国、先祖の戦争後最初に異種族間の交流があった地だ」
次回 森林諸国




