夜明け
読んで戴けたら倖せです。
隆一朗の声が聞こえる。
「あの央って少年、随分手を焼いてるみたいだけど
珍しいね、厄介そうな相手にはいつも完全無視を決め込むのに
彼は特別なの? 」
「俺が中学の頃、白血病で死んだクラスメイトが居たのを覚えているか? 」
「ああ、覚えてるよ
随分ショックを受けているみたいだった
葬儀から帰ってから、一週間くらいろくに食事も摂らないで、部屋に閉じ籠ってたね」
「そうだったかも知れない
想い出すんだ、央を見てると」
「似てる? 」
暫く沈黙が続く。
聖流の力無い声が言った。
「生まれ変わりはあると思うか? 」
「随分、宗教的な質問だね
聖流らしくない」
聖流は軽く笑った。
隆一朗が訊いた。
「処で、あの人はそんなに弱っているの? 」
「さあね、一緒に暮らしてる訳じゃないから、単純に息子が心配なだけかも知れないし」
「ボクは、あの家には帰れないよ
たとえ、あの人が許してくれていたとしても」
聖流は暫くタバコがくゆるのを眺めてから言った。
「俺も、そう思う」
瑞基は目を覚ましていたが、起き上がるタイミングをすっかり逃してしまっていた。
隆一朗と聖流の会話も気になった。
『隆一朗と親父さんとの間に、何があったんだろう? 』
「瑞基、起きて」
瑞基はわざと眉間に皺を寄せ、目をしばつかせて、いかにも今起きました感を演出した。
「あれ、みんなは? 」
「帰ったよ
ボクらも帰るよ」
瑞基はのろのろと起き上がった。
頭がガンガンする。
見ると、ソファーに聖流が座り、その背凭れに隆一朗が脚を交差させて腰掛けていた。
『なんか、絵になる兄弟だなあ』
瑞基は暫く、ぼんやりと二人を眺めていた。
「悪いね聖流、こんな時間まで」
「いいさ
瑞基くんだっけ、聖詞を頼むよ」
隆一朗がくすりと笑った。
「ボクは手がかかるからね」
二人が帰路に着く頃には、外はすっかり明るく、太陽を待つばかりだった。
「瑞基は何故、家を出たの? 」
「それ訊いちゃう? 」
「できれば聞きたいね」
「できれば話したく無い」
「そう……………」
暫く二人は無言で歩いていた。
その内、陽が登り始めた。
「瑞基、綺麗だよ
景色が飴色に染められた」
瑞基は辺りを見回した。
確かに、アスファルトや家々、庭の草木が淡い金色に輝いていた。
それは一瞬の煌めきだが、確かに存在する力強さに満ちていた。
「本当だ、こんな景色初めて見た」
瑞基は何気に隆一朗を見た。
目を細めて景色を見詰める隆一朗は胸が震えるほど美しかった。
そよ風が、隆一朗の飴色に輝く銀髪を無造作に揺らす。
「隆一朗、昨日の朝はごめん」
隆一朗は少し驚いているようだったが、直ぐに微笑みを浮かべ言った。
「非常に効いたよ、あれは……………」
「だから、ごめんて」
「大丈夫、根に持って一服盛る様な事はしないから」
「盛るって、何を盛るの? 」
「そうだね、瑞基にはやっぱり下剤かな」
「ひでえ! 」
二人は笑い合い、光に向かって歩き出した。
何故だろうか、瑞基は隆一朗の人間的な表情を見るのが嬉しかった。
読んで下さり有り難うございます。
昨日は余りに長かったので、打ち終わる頃は居眠りするわ、フラフラするわで力尽きて、一言しか後書き書けませんでした。泣
そう言えば、新作の為に読んでる簡単な心理学の本にこんな質問がありました。
新聞の束があります。あなたは何に活用しますか?
とか、こんな感じの質問でした。
私はちり紙交換にだす。
娘は窓拭き、靴を乾かす時に敷く。
答えを見たらジグソーパズルにするは、天才とか、そんな答えで、私と娘の答えには近いものすらありませんでした。
娘と私は心理学に貧乏人の発想は無いと云う結論に達しました。
それでは、また明日。




