夢
読んで戴けたら倖せです。
水滴が堕ちる。
波紋が広がる。
水面に横たわる隆一朗は、辺りが暗闇である事に気付く。
『また、ここか………………』
水面を歩く音がする。
それはゆっくりと、こちらへ近付いて来る。
「キミか………………」
「ご挨拶だね」
見るとそこには、六年前の隆一朗が、いや、聖詞が隆一朗を見下ろしていた。
手首から血が滴り落ちる。
「また、ボクを責めに来たの? 」
「それを望んでいるのは君だよ」
聖詞は隆一朗の横に腰を下ろした。
「ボクは君自身への憎しみから生まれたんだ
君はずっと、自分の中の時を止めてしまった
あの時のまま彼女を愛し、自分を許せないで凍結している
僕も…………………」
隆一朗は起き上がって聖詞を見詰めた。
聖詞は言った。
「もしも君に新たな恋愛感情が生まれたら、君の時間は流れ始めるかもしれない
僕にも新たな力が得られるかもしれない
そしたら、もっと残酷に君を苦しめられる」
「そう……………………
それならボクも甘んじて、それを受け入れるよ」
「ショウタイムの始まりだよ
今夜もまた、君の最も忌まわしい瞬間へ………………」
瑞基は敏感に目を覚ました。
見るとやはり、隆一朗の手が空に伸ばされ、何か言っている。
瑞基は隆一朗の肩を掴むと、激しく揺り起こした。
「隆一朗、起きて! 」
『早く起こさないとまた、辛い夢を見てしまう! 』
しかし隆一朗は、頑固に起きてはくれなかった。
取り憑かれた様に悪夢に縛り付けられ、どんなに身体を揺すっても、隆一朗は叫び続けた。
『何故隆一朗の彼女は、隆一朗を置いて自殺してしまったんだろう? 』
隆一朗は身体を仰け反らせ、空に手を伸ばし叫んだ。
「いやだーーーーっ!! 」
「隆一朗!! 」
『どれほどの長い時を、この哀しい瞬間を繰り返して来たんだろう? 』
そう思うと瑞基は自然と涙が溢れた。
瑞基の涙は、頬を伝い隆一朗の頬に堕ちた。
隆一朗は目を見開き、怯える様に震えながら瑞基を見上げた。
「隆一朗、起きた? 」
涙を流す瑞基を見て、隆一朗は我に返って慌てて起き上がった。
「ごめん、起こそうって頑張ったんだけど、間に合わなかった」
隆一朗は瑞基の頬を指先で拭うと、顔を覗き込んだ。
「何故、泣いてるの? 」
「泣いてないよ」
瑞基は目を伏せた。
隆一朗は瑞基の頭を抱き寄せた。
「ボクの為に泣いてくれてるの? 」
瑞基は抱き寄せられるまま、隆一朗の胸に顔を埋めた。
ほんのりとコロンの苦い香りがする。
「だから、泣いて無いって」
隆一朗は瑞基の頭を優しく撫でた。
二人は暫くの間そうしていが、やがてどちらとも無く眠りに堕ちて行った。
読んで戴き有り難うございます。
ここまで展開らしい展開も無くて、読んでくださっている皆様退屈だろうなあ、と。
でも、ここの部分が後の展開に繋がっているんですよお。
すみません、ご苦労かけます。m(_ _)m
ヴィジュアル系ロック雑誌を読んでいましたら、掃除の話をしていまして、皆様水回りが汚いのは嫌だと言っておりました。
ヴィジュアル系のお兄様方は大抵一人暮らしで、カッコいい兄ちゃんがどんな顔して便所掃除してるんだろうと想像したら、笑えました。
まさか、あの派手な衣装で便所掃除はしないでしょうが、銀髪や金髪の麗しいお兄様方の水回りを掃除する姿が見てみたいですね。笑




