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傷痕

 読んで戴けたら、倖せです。

 隆一朗は病院から帰ると食卓の椅子に座って考え込んでいた。


「どうしたの? 」


 瑞基が訊いた。


「仕事に復帰したいけど、周りの人たちに酷い迷惑をかけたから」


「仕方ないよ

 好きでそうなった訳じゃ無いんだから」


「だけど、そう簡単には許される事では無いよね

 みんな、どうしていたんだろう? 」


「魁威(かい)さんに、相談してみたら? 」


 隆一朗は俯いて組んだ手に額を載せた。


「一人で悩んでも、どうしようも無いって事あるよ

 魁威さんなら、今のみんなの事情知ってるし、隆一朗の事情も解ってるから」


「魁威にも、随分迷惑かけた」


「でも隆一朗の意思でそうなった訳じゃ無いよ」


「とにかく、みんなに謝らなくたちゃ」


 瑞基は後ろから隆一朗の肩を抱いた。


「隆一朗…………………」


 瑞基は隆一朗の首に口唇を這わせた。


「オレもこの一年お預け食ってて、そうとう隆一朗に飢えてるんだけど」


「瑞基、今はそういう気分にはなれないよ」


 隆一朗が振り返ると瑞基は口付けた。


 甘えるように瑞基は舌を絡ませて来た。


 隆一朗は次第に抵抗力を奪われ、瑞基の背中に手を這わせた。


 瑞基は隆一朗をお姫様抱っこした。


「隆一朗、凄く体重落ちた

 めっちゃ軽くなったよ」


「瑞基、このお姫様抱っこどうにかならない?

 女性にはロマンかも知れないけど、男のボクには屈辱だよ」


「そうなの?

 オレにもロマンだよ

 愛する人を抱き上げられるって倖せ」


 瑞基は隆一朗の身体をベッドに降ろすと隆一朗の服を脱がせ始めた。


 隆一朗の裸を見た瑞基は思わず言った。


「あーあ、ガリガリ」


「瑞基、萎えた」


「ごめん

 でも、ほんとに痛々しいくらい痩せたから

 こんなんで仕事こなせるの? 」


「瑞基はどうなの

 ボクの心配して痩せたように見えるけど」


 隆一朗は瑞基が着ているシャツを剥ぎ取った。


 隆一朗の目が大きく見開かれた。


「どうしたの?

 この肩の傷痕」


 隆一朗は瑞基の肩に触れた。


 瑞基は自分の肩を見た。


「ああこれ、何でも無いよ」


「何でも無いって傷じゃ無いよね

 噛み付かれた痕みたいだ」


「気にしなくていいよ

 隆一朗、憶えてないだろ? 」


 隆一朗は目を見開き、問うように瑞基を見た。


「ボクが?

 ボクがやったの? 」


「オレあの時、相当な隆一朗莫迦(ばか)だって自分で思った

 口を血塗れにして一瞬笑った隆一朗見て、綺麗だってみとれてたんだから」


 瑞基は笑った。


「ボクはそんなに酷い状態だったんだ」


 隆一朗は瞳を震わせた。


「隆一朗が悪い訳じゃ無いよ

 隆一朗は見ない方がいいって言ったのに、オレが我慢できなかったんだ」


「ボクは、そんなキミになんて謝ればいい? 」


 瑞基は黙って隆一朗の髪を撫でた。


「瑞基、答えて

 ボクはキミにどう許しを乞えばいい? 」


「オレは隆一朗の傍にいられれば、それでいいよ」


 隆一朗は瞳を震わせ、瑞基を見詰めた。


 そして、瑞基の胸に項垂れた。





 玄関のチャイムが鳴った。


 瑞基がドアを開けると魁威と麗畏(れい)、樹良(じゅら)とマネージャーの木村氏が何年振りかで揃ってアパートに訪れた。


 魁威が仲介して隆一朗が謝罪する場を設けたのだ。


 隆一朗はリビングに立って彼らを待っていた。


「隆一朗! 」


 麗畏と樹良が駆け寄って隆一朗に抱き付いた。


「今まで何処に居たんだよ」


 隆一朗は戸惑った。


 隆一朗はもっと冷たい反応に覚悟を決めていたからだ。


 四十代半ばの木村氏が言った。


「そんなに辛かったなら相談してくれれば良かったのに」


 隆一朗は何が何だか、訳が解らなかった。


「都会の人混みで、人間関係に一人で悩んで抱え込むなら、ひとこと言って欲しかったよ、失踪する前に」


 隆一朗は魁威を見た。


 魁威は笑ってウィンクして見せた。


 隆一朗は取り敢えず、失踪していた事を真摯に謝った。


 魁威が言った。


「隆一朗は昔から、莫迦真面目な奴だったから、必ず帰って来ると信じてたよ」


 樹良が言った。


「オレもそう思ったから、諦めずに隆一朗が帰って来るの待ってたよ」


「俺もな」


 麗畏が言った。


「事務所には俺たちも一緒に謝ってやるから」


「みんな、本当に申し訳ありませんでした

 そして、有り難う」


 隆一朗は深く頭を下げた。





 読んで下さり有り難うございます。


 コロナウィルスのお陰で野菜が高いです。

 今日、スーパーへ食材買いに行きました。

 白菜の値段が少し安くなってたので、買いました。

 大根も、この前まで大根の端くれにもならないような貧弱な大根が高い値段で売っていました。

 今日は値段は同じだったけど、私の脚に負けない太さだったので買いました。

 茄子は相変わらず、貧乏人を嘲笑うかの様な値段でした。(TT)


 お肉と魚は月曜日は値引きの穴場です。

 半額のエビ買って晩御飯の花形スターにしましたとさ。

 すみません、話のネタが浮かばなくて。

 なんとも、貧乏くさかったですね。笑

 野菜と言えば姐御………………。

 もとい、水渕成分様の「野菜戦記2019」です。

 ベテラン主婦の知恵が詰まった作品です。

 よっ❗ 庶民の味方‼️

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― 新着の感想 ―
[一言] さすが魁威さん‼ これでバンドメンバーが揃って、隆一郎も活き活きと光り輝く舞台に!
[一言] 拙作のご紹介ありがとうございます。 隆一朗は本当に周囲の人間に恵まれていますね。
感想一覧
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