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お久しぶりです。

試験の結果はまだ発表されていませんが自己採点の結果不合格が濃厚となりました。

投稿を控えて読者の皆様を待たせたというのに不甲斐ない限りです。

取り敢えず復帰の意味とリハビリの意味も込めて一部急いで書きました。


 腹を満たした僕らはようやく部屋から出て地下道へと足を踏み入れた。


 地下道は下水道のような狭い通路ではなかった。

 部屋の中も結構な広さがあったが地下道は広すぎるほど開いた空間の中に道が作られていると言った感じであった。

 隣の通路が見えてる地下って……。


「ウィレム様どうかしましたか?」

「いや、何でもないよ」


 この光景が可笑しいと思うのは僕だけらしくリア達は平然とこの光景を受け入れていた。

 こんな所でワールドギャップを思い知らされる。


 先行する四人を余所に僕は隣の通路との間を覗くと地面の見えない絶壁に頬が引きつった。

 べヒモスよりも異世界転生した衝撃が来るとは思わなかった。


 それからは特に代わり映えのない風景が続いた。


「ウィレム様」

「敵か?」

「はい。前方の角に人の気配があります」


 僕は急いで進行を止めた。

 気配のある場所はアリッサから聞いている出口の進路上を塞ぐ。無関係の可能性は薄いな。回り道をする訳にもいかないとなるとここから敵の包囲に入る事になる。


 曲がり角まで言って全員を見回して頷いたのを確認すると意を決して敵の前に飛び出す。


「おやおや、私は実に運がいい」


 姿を見せた敵は俺達を見て心底嬉しいのか微笑んだ。

 その微笑みの歪み様に戦闘狂に遭遇したと思ったが身体付きから戦闘を主としているよう部は見えない。


 相手は30を超えたぐらいに見える男が一人だけ。

 他に人影らしい物は無かった。


「貴方に受けた恨みを自分自身で晴らせるのですからね」


 そう言って男はなぜか僕を指さした。


「ウィレム様知り合いですか?」

「……いや、覚えがないんだが」


 改めて男の顔を見ても記憶の中で該当する人物はいない。

 首を捻る僕の後ろでアリッサが声を上げた。


「まさか司祭様?!どうしてあなたがこんな所に!?」

「どうして……だと?そんなもの決まっている。貴様に私の大司教への道を閉ざされたからだ」


 そう言って指を指すのはやっぱり僕?!

 そう言われてもまったく身に覚えがないのだが。


「それに貴様もだ。醜い獣め」

「……?」


 今度はユリを指すがユリも恨まれている様なのにやっぱり身に覚えがないのか首を傾げている。


 仕方なくアリッサに男の素性を訪ねることにした。


「誰なの?」

「首都の教会を任されている司祭の一人です。名前は確かクゾーだったかと」


 司祭というと教会の関係者か。

 教会の地位はどういう階級でなっているか知らないけど教会を任されているっていう事はそれなりに地位の高い人物って事だよな。

 素性を聞いても尚更知らないな。教会の関係者との接点は大司教とその周りにいる教会連中しかいない。


「お前には盗賊団討伐の功績を掻っ攫われたからな」

「盗賊団だと!?」

「そうだ。あの日、貴様が第三騎士団を呼び寄せ解決した日はようやく育った果実を収穫する直前だったんだ。それをパーにされたことで俺は司祭の地位も教会の管理も外されたんだぞ」


 クゾーは憤りを身体で訴える様に拳を握り締める。


「それからはまさに転落人生だったよ。出世して馬鹿にしていた同期に追い抜かれることになるわ。妻に逃げられるわ。俺の人生とは思えない負け犬の様な時間だ。管理職からたらい回しにあってこんな所で学生の口封じなんて下っ端の下っ端の仕事を任されたがまさか元凶が対象だとは思わなかった」


 先程まで怒りで力んでいた表情が緩まって歪んだ笑みを浮かべる。

 その表情は教会の物というよりも犯罪者のような笑みだった。


 男の転落人生なんか興味がなく、そんな事より気になる事がある。


「育った果実。とはどういう意味だ」

「そのままの意味さ。あの盗賊団は俺様が集めさせて支援していた出世のための道具だったんだよ。上の連中は教会がより重宝されるための功績を欲しがっていた。王都を脅かす盗賊を騎士団よりも先に見つけて対処したとなれば騎士団の地位は下がり教会の名誉が増える。それをやった俺は昇進確実だ。

 バガンリュースの野郎は金は掛かるがそれに合った力はあったからな。被害が大きい分見返りも期待できたのに……馬鹿な王子の行動の所為で逆に騎士団の必要性を高めただけで終わった」


 ……あの事件はこの男が仕向けたのか。


「それにそこの裏切り者もだ。お前のことも報告で知っているぞ。随分と高い請求をされたのに易々と寝返りやがってこの尻軽女が」


 そうかそうか。

 こいつが元凶だったか。


 血が沸騰するのを感じる。

 手が自然と木刀へと延びる。

 動いていないはずの筋肉が膨張していていつでも動けるようにスイッチが入った。


「ユリ、こいつ強いか?」

「……ギリギリレベル。普通ならリエラに任せるべき」

「でもこれはお前か俺がやるべきだろう?」

「……」


 隣にいるユリの圧が高まったのを感じてやりたがっているように思えて牽制する。

 ユリにはできるだけ実力を隠しておいてもらいたいのは双方の一致だ。


「リア、リエラ。下がってくれ」

「ウィレム様!?」

「ここは私がっ」

「いいから下がれ!」

「「ッ!?」」


 僕は木刀を持って前に出た。後ろではアリッサが騒いでいるがユリがどうにかしてくれるだろう。


「まさか王子自ら戦うのですか?馬鹿だとは思っていましたが本当に馬鹿ですねえ。子供が大人に勝てると思っているのですか」

「あぁ、おじさんの輝かしい功績に更に子供の王子に負けたっていう汚名を追加するから」


 ぴくっ、と男の眉が反応する。

 随分と功績を気にしている様だ。


 向こうは武器らしいものを持っていない。

 素手か、それともユリみたいな隠し武器か。


 体格も力も不利で武器は未知数。

 唯一勝てる気がするのはユリがギリギリレベルだと言ってくれたことだけ。


 それでも僕は敢えて強者として男を挑発した。


「来なよ。馬鹿な王子に負ける間抜けな司祭様」

「クソガキが後悔させてやる」


 武器も分からないのでは射程も分からない。なのでなのでまずは相手の出方見て様子を見よう。……なんていう考えを半年前の僕ならしていた。


 しかしそれはこの世界の戦いでは寧ろ危険な思考だとこの半年で考えを改めさせられた。

 この世界の身体能力は前世の世界より高いのはもう分かりきった事だがそれを僕はチンピラがプロのボクサーぐらいになっただけだという認識でいた。

 身体能力が高ければそれだけ警戒もするが戦いの本質は変わらないとさしてこの事を軽視していたともいえる。


 では何が誤りだったのかと言えばこの身体能力の差がそのまま人間としての死ににくさを底上げしているという事だ。


 前世で仮に拳銃を僕が持っていてチンピラとプロのボクサーを相手にした場合対応は変わらない。どちらも拳銃で撃ってしまえば致命傷を与えられる。

 前世の身体能力の差は所詮細胞の膨張レベルでしかないのだ。


 だがこの世界の身体能力は前世の細胞レベルなんて話にならない程身体能力に差が出る。

 指先一つで銃弾を弾くなんて簡単にやってのける人間が五万と……は言い過ぎだが相当数いる。


 ……つまり何が言いたいのかというとこの世界は所持している武器を警戒するより相手の身体能力を十全に使われてしまう事の方が危険なのだ。


「来ないのならこっちか、ブベッ」


 クゾーが喋っている途中で大きくのけぞった。

 身体が後弯して咄嗟に顔を抑えるクゾー。


 倒れなかったもののその場から二歩後ろに下がりこちらから視線が外れた。


「ぐぅっ、いったい何、ガッ」


 男が視線を外したと同時に走り出して近づいたのを気づかせる間もなく後頭部に木刀を振り下ろした。

 この威力を前世でやったなら間違いなく殺人になりそうな攻撃を与えたがこの世界ではこの程度なら死ぬ事はない。


 実際クゾーはまだ膝をついた程度で意識もしっかりしている。

 なので当然攻撃の手を止めない。蹲って姿勢が下がりより攻撃しやすくなったクゾーの胴体目掛けて放った蹴りがクゾーが咄嗟に避けようとして逆に顎クリーンヒットして後方に飛んで倒れ込む。


 運悪く僕の位置からではクゾーの状態が見えず今度は踏み込む事ができず様子を窺うがクゾーは起き上がってこない。

 身体がピクピク動いているから生きてはいる様だけど。


 恐る恐る近づいて覗き込むとクゾーは白目で気絶してしまっていた。


 え!?もう終わり!?


「お見事です。ウィレム様」


 そこへユリが称賛しながらやってくる。


 ユリが来たとゆうことは本当に終わったという事か。

 なんというかあっという間だった。


 訓錬ではこんな簡単に勝てるどころか勝つのだってリアに何とか勝ち越している様な物なのでなんだか拍子抜けだ。


「ユリ。お前の評価を疑う訳じゃあないんだけど……本当にこの男強かったのか?」

「強いとは言ってません。ウィレム様と同レベルぐらいでギリギリ勝てるぐらいだと言いました」

「……」


 まぁ、ユリのレベルからしたら僕は誰がどう見ても弱いもんな。仕方ない。


「今回のは単にこの男が初手で先手を取られたのと劣勢からの対処を全く心得ていなかった為に起こったラッキーです。実際に接戦になったらもっと危険だったと思います」

「ユリがそう言ってくれるんだったらそうなんだよな」

「ですがここまで圧倒して勝てたのもまたウィレム様の実力。確実にウィレム様は力を付けておられると自信を持っていいかと思います」


 そう言われると悪い気はしないな。


「それで……この男はまだ息がありますが殺しますか?」

「いやそれはいい。身ぐるみだけ奪ったらその辺に転がしていこう」

「分かりました」


 ユリはそう言うと男の懐をあさり出した。

 出来れば食料があるといいな。部屋で食べたのでは全然足りなかった。

 それが無ければせめてアリッサとお姉さんの為の護身用に武器を持っていてもらいたいのでそれに合った武器でもあればいいんだが。


「ウィレム様凄かったです」

「お疲れ様でした。ウィレム様」

「ありがとう」


 リア達の労いの言葉にこたえて木刀を腰に戻した。








もう一部はもう少し待って下さい。

就活もしないといけませんので(急)。

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