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御久し振りです。
投稿遅れてしまい申し訳ありません。
今回の黒幕はアレクだった。
アリッサからもたらされたその情報に動揺よりも納得してしまっている自分がいた。
薄々、そう薄々ではあるが今回の件に僕の兄弟の誰かが関わっているかも知れないという気がしていたのだ。
待ち合わせに指定された教室に怪しいと言われても行くと決めたのはあの手紙には王家の家紋が押されていたからだ。この紋章にはそれだけの信頼性があり、同時にそうそう偽装できるものではない。なのに罠だったとなれば身内の誰かが黒幕か、片棒を担いでいると至ってもおかしくないだろう。
そしてリアにも説明した通り家紋を持っているのは国王から国の仕事を任されている兄姉達だけである。中校舎に入学したセレナ姉様がカーラ姉の領地の仕事を任された時に貰っていたのを最後にそれ以下の兄妹は貰っていない。その中には継承権の2位と3位の双子の兄様もいるが例外なく貰えていないはずだ。
そこから怪しい人を絞ったら他を抑えて圧倒的な怪しさでアレク兄様が浮かんでいた。
アレク兄様は食堂で合った通り王族至高主義みたいな思考で昔から自分中心で何を考えているのか全く分からなかったが最近更に訳分かんなさが増している。
ただアレク兄様は継承権第一位。
何もしなければ国王に成れるのに態々こんなことする意味があるのか、という引っ掛かりがあった。
これが2位だったら間違いなく疑っていただろうが根拠は何一つなかったからもしかしたら程度だったのに本当に黒幕だったとは……我が兄ながら随分と似合ってはいる。
「ええぇ―――!?アレク王子ってあの食堂であったウィレム様の実兄ですよね?!」
「王族が関わっているんですか!?」
思考に耽ってしまったが僕の代わりに見事なリアクションを決めてくれる子はいるから無反応って事にはなっていない。
ユリは無反応、お姉さんは記憶が失ってるからどう反応していいか分からずにいるのでもし三人だったらアリッサが赤っ恥を掻くところだったに違いない。
お陰でアリッサは僕ら無反応組を気にすることなく続きを語り続ける。
「私の派閥がアレクの派閥の傘下として属しているのは知っていますね?
現在傘下の派閥にはある命令がされています」
そう言いながらアリッサは胸元から見知った物を取り出した。
知ったのはつい最近だが忌まわしき記憶と共に記憶しているので間違えるはずがない。
「大麻か」
「タイマカ?違いますよ。これの名前は”マリファネ”です。最後の審判には依存性毒薬と呼ばれ、学園の暴行事件の原因となっている代物ですよ」
大麻であっているがこの世界では伝わらなかった。いや、薬物の名前なんてどうでもいい。
それよりも兄は薬物にまで関わっているのか?!
「全貌は知りませんが派閥の中堅に当たる派閥にこれと同じものが箱単位で配られ中毒となった貴族に高値で売りつけているのは間違いない事です。
最後の審判の警備が厳重になってからは大っぴらな活動は控えているようですがそれでも活動は定期的に続いています」
「なぜアリッサはそれを知っている。君の派閥はまだ1年だけ兄の派閥に所属してはいても派閥では下位も下位だろう」
「……ナタリアがその売人だからですよ」
アリッサは心底嫌そうにナタリアの名を口にした。
「夏季休み明けにナタリアが貴方に接触した事があったのを覚えてますか?。あの頃は大、中校舎に比べて小校舎に対してあまり売りさばけていなかったのであなたやマユキに売ってきっかけにしようとしていたようです。
あまりに相性が悪かったのか最後の方は忘れていたようで心配する必要もなかったですが。その後食堂で暴れた最初の生徒に売っていた貴族が小校舎の生徒に対して売り上げた事を漏らしていて知る様になりました」
なんてこともないように言うが僕もマユキも売人の標的になっていたのかよ。
知らぬ間に薬物中毒とか笑えない。
「アレク兄様は何を考えているんだ」
「知らないわ」
「部下なのに知らないんですか?」
「向こうの認識は部下じゃなくて子飼い派閥の一つよ。切り捨てても痛くないような末端の末端にまで伝わるわけないでしょ。それに中毒被害者の中にはアレクの派閥の子も含まれている。邪魔だと判断されれば同じ派閥に所属していても安全ではないのよ」
「仲間にも危害を加えてるんですか⁉︎」
リアが信じられないものでも見るようにアリッサを見ている。
彼女にとっては仲間とは背中を預ける相手だ。
自分の命を預けて自分も仲間の命を預かる。お互いに信頼しているのを疑わず裏切るなんて考えは一切ない。
故に部下だろうが派閥の末端だろうが仲間であるという認識の相手に対して何の非もなく切り捨てられるのが考えられないのだ。
その考えは素晴らしいものだ。
普通ならリアが正しい。
しかしこの場でリアに賛同する者はいなかった。
これまでの環境の差なのだろうから仕方がない。
「あなた随分と恵まれてたのね。でも覚えときなさい。貴族っていうのは基本自分の利を第一に考えるものなの。友達を作るのにも友達の付き合うのも利害を考えて行動する。いくら仲が良くても家の害になったりすれば別れるし邪魔をするなら敵対する。それが格差のある関係なら敵対どころか潰される。それが貴族の普通よ」
「………」
アリッサは丁寧に説明するがリアにはどうにも理解できていないらしくピンとしていない顔をした。
良くも悪くもそれがリアである。
寧ろこんなリアだからこそ僕は彼女を信頼している。
アリッサがこちらに訴えるような視線を送ってきたので首を横に振って返した。
「でもそうなるとお姉さんはその件に関わっている可能性が高いですね」
「そうだな」
今の話を聞いた限りだと犯人が同じならお姉さんは何か証拠を掴んでしまったと考えて良さそうだ。
「しかしアレク兄様はどうやって街まで持ち運んでいるんだ?だいぶ前から最後の審判は入手経路について調べていたのに見つからずにいる。まさか街の中で育てているのか?」
「それは分かりません。姉に届くのは買い取る貴族と既に出来上がったマリファネのみ。それ以上のことを知っているのは派閥の上層の側近の者達ぐらいだと思います」
「そうか」
入手経路は分からないままか。
「兄様は関わっていなくて側近の奴らの独断で動いてるってことはないよね?」
「……期待を裏切るようですみませんが」
アレク主導で動いているのは確定だと申し訳なさそうに告げられる。
実の弟にまで手を挙げている相手を敵と認識するための最終確認だ。
しかし王族の権力争いで殺し合いをする歴史も多いのは知っていたがいざ自身が実の兄に殺されかけているという状況に直面すると何とも虚しいな。
「それじゃあもう一ついいか」
「はい」
「半年程前に最初に取引現場を押さえられた件に関わっていた売人は誰だったか分かるか」
「あの件ならもう売人は落とし前をつけられて退場してますよ」
「本当だな」
「あまりナタリアを庇いたくありませんがあの件は上からの命令を無視してお金欲しさに暴走した者の犯行でナタリアは関わっていません。基本命令以上のことはしませんでしたから」
でも売人という時点で同罪ですから気にしないで斬ってくれて構いませんよ、とアリッサは淡々と言ってのけた。
本当にこの子は義姉の事が嫌いなのだな。
売人はもう処理済みか……良かったような一発殴りたかったような。
「しかしナタリアがあの件に関わってないというと僕が君を怒る理由がないのだが」
てっきりそれで怒られると渋っていたと思ったがそうではないらしい。
「……その前にここからの脱出方法について説明してから私のここへ来た理由と一緒に話す」
アリッサのここに来た理由と僕が起こる理由が一緒?
気になるがアリッサはまだ話す気はないのが伝わってくる。
後で話してくれるなら構わないかと了解を示す。
が、その前にユリが待ったをかけた。
「先程話さなかったのになぜ話す気に」
「同じじゃないわ。ここからの脱出経路じゃなくて脱出するための障害については教えるだけよ」
納得したのか後ろに下がる。
「あのウィレム様」
「森から出る方法は教えないけど道中魔物は教えておくって事だよ」
「なるほど」
リア達も理解したようでアリッサに視線が戻る。
「この部屋から出てから地上に戻るには私の知っている限り四箇所の経路があるけど使えるのは二つだけだわ」
「残りの二つは?」
「片方は敵地に着くから」
「敵地は無理ね」
「もう一つは下水を泳ぐ経路だからよ」
「「「「異議なし(いわ)」」」」
下水を泳ぐと聞いて女性陣の意見が一致した。
今迄静かだったお姉さんまで声を上げるほど嫌らしい。
当然僕も賛成だが、
「だから脱出は残りの二つのうちのどちらかになるわ」
「でもそうなると待ち伏せも当然この二つを重点的に守るよね」
「そうでもないわわ。相手は私が知っている脱出経路の数を知らないはずだから行かない二つや私の知らない脱出経路にも人員を割かないといけない筈よ」
人員を割くとはいっても相手は学園最大派閥。
人員は余る程いるのだからどのルートでも結構な人数の待ち伏せが予想される。
「それと待ち伏せの相手は使用人やアレク直属の部下達だけなはずです」
速攻で否定された。
どうして人員を使わないんだ?
「それで事足りるからに決まっているでしょう。こちらはまだ未成熟の子供が5人に大人が1人だけなんですから」
言われてみればその通りだ。
こちらは前世だと四年生2人と一年生3人で大人が数人との相手って時点で絶望的な状況だよな。
身体能力が高いから忘れてしまっていた。
改めて考えるとこれってかなりピンチだよな。
ユリの強さや王族の自分は殺されやしないだろうという希望的推測で少し楽観的に考え過ぎていた。
ユリでも対処できない敵が出るかもしれないし、王族だろうが関係なく殺戮許可が出てるかもしれない。
そもそも自分の安全ばかりでリア達の事を考えていなかった。
我ながら器が小さい。
僕の戦闘力はリエラに一度も勝てないレベルだ。
これからの戦闘にどれだけ関われるか分からないのだからせめて全員が無事に生還するために考える事をやめない様にするのが今の僕のやるべきだろうに。
「兎に角脱出には抗戦が避けられません。今の内に覚悟だけはしといた方がいいですよ」
アリッサの言葉に全員が頷く。
その心境は分からないが各々自分のやるべき事を改めて決めたのだろう。
表情が引き締まった気がした。
このまま脱出に移りたくもあるがその前に、
「落とされた理由についてを話してくれるな?」
最後の一つ。
アリッサが頑なに話したがらなかったここへきた理由。
もういいだろうとアリッサに目で訴えると額を強張らせて頷いた。
そんなに拙い事なのだろうか。
いったいどんな理由なのか少し怖くなってきたな。
全員がアリッサが話すのをじっと待つ。
「ーーー」
話し始めたその理由は自分の予想の斜めをいくものであった。
試験後に急いで書きましたが今日も模試があったので投稿できずにいました。
そして試験の結果ですが1点足らずに不合格という漫画かよ!って展開になりました。
……また1カ月後に再試です(悲)。




