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一応2部投稿しますが元々書く予定だった範囲を2部から3部に変更しているので実質1部と3分の1です。

改稿では短縮しようと思います。

 クー姉様に頼むと決まったので早速クー姉様への使者を送ろうとした所で思い出した。


 すっかり忘れていたが今日から街規模で行われるイベントが始まっている。その為、女性の使用人達は休暇でいないのだった!?

 シルバは尋問中、マルカさんは運悪く今日が休暇だ。

 他の使用人に頼もうにも使用人の数が通常の半分である現状信頼できる使用人程現場を離す訳にはいかなかった。


 そうなると必然的にまだ持ち場を離れても構わない人間に頼むことになるのだが、


「あいつは信用できないんだよな」

「大丈夫ですよ。良い人ですから」

「悪い奴ではないのは分かってるんだけどなぁ。あいつ、なんていうか抜けてるだろ?」

「「「……」」」


 僕の言葉に弁護してあげたいが出来ずに全員目を逸らした。


 年の差が倍も離れているのにここまで僕らに評価されていない使用人の名はクラルク。

 夏明け早々マユキが来た時に勝手に片付けを行ってしまったあの男である。


 この寮(いえ)にいる使用人の中で最年少の使用人であり、周りからの認識が”ドジっ子見習い執事”である。


 性格は真面目で頑張り屋。

 なのにやる事なす事空回りする星の元で生まれているのではと疑いたくなるぐらいにトラブルを起こすやつで未だに使用人の試験に受かっているという話を信じられないぐらいミスが目立つ。

 ただし女性受けは良く女性使用人達の精神安定剤としてなら有用なやつである。


 そんな使用人を使者として送らないといけないと分かった瞬間の不安を理解してくれるだろうか。

 只でさえ最初の印象から悪い奴に大事な書状を預けて送った僕の気持ちが!

 これなら自分で行けばよかったとさえ思えてくるのだ。


「心配なのはわかります。しかし彼もまたシルバの親族なのですから彼を信じ待ってあげるべきでしょう」

「……そうだな」


 ユリに諭されてようやく気持ちが落ち着いた。


 頼んだのは使者とはいえただのお使いだ。

 子供でもできる事なのだから幾らあいつでも失敗しないよな。


 ……よし、もう忘れよう。


「あの……」

「お姉さんどうかした?」

「ただでさえ記憶がない私の身元捜しをしてもらっているのにこんな迷惑にまで巻き込んでしまって本当に申し訳なくて」


 お姉さんには既にリア達から知り合いと名乗った男達が身内の者ではなかったのと何者かに狙われている事をざっくりと伝えている。

 それからこのように責任を感じてしまったらしく落ち込んでしまっていた。


「こんなことになるとは誰も予想できない事なんだから気にしなくていいですよ」

「ですです。お姉さんは私達をドンと頼ってくれればいいんですよ」

「このまま放っておく訳にもいきませんしね」


 ユリは何も言わないが僕らの言葉に頷いていた。


 実際街で出会ったあの瞬間にこの状況を想像しろという方が無理なのだからしょうがない。

 それにもうすぐクー姉様にバトンタッチするのだから僕らに迷惑がかかる事ももうないだろう。


「ウィレム様、クーデリア様の使いの者と名乗る方が来られました」


 そんなことを言っている間にどうやらもうその時が来てしまったらしい。

 イベント中で大変だろうからもっと時間が掛かるものだと思っていたのだが、思ったより早く面会できたようだ。

 

 クラルクは無事にクー姉様への使いを果たしたのだろう。

 結局、不安はただの杞憂でやればできる子だったようだ。


「それで使いの者はなんて?会ったほうがいい?」

「いえ、使いの者はこちらを渡したらすぐに帰られました」


 使用人から渡されたのは封のされた手紙だった。


 使用人は僕に手紙を渡すと一礼入れてすぐに持ち場へと立ち去っていき、みんなの視線が手紙に集まる。


 僕も内容が気になって早速その封を開けた。


『ウィレムへ

 事情は理解した。その女性をこちらで保護するのは構わないのだけれど生憎、今はそちらに人手を回す余裕もないほど忙しいの。悪いけどその女性を連れてきてくれ。場所は一緒に同封しておく

           クーデリア』


 読み終えた後もう一枚入っていた手紙を見るとそこには校内の地図に指定場所がチェックされていた。


 地図に記されている場所は最後の審判本部ではなく学園内の空き教室となっている。


「こっちから出向かないといけないんですね」

「それよりもなんでこんな所を指定したんでしょう?」

「それは本部も受け渡せる状況じゃないからですよ」

「あ、そっか」


 リエラは信憑な表情で手紙を見つめリアの安易な質問には珍しくユリが答えた。


「ただこんな場所に呼ぶのは不可解ですね」


 そうなんだよな。

 ユリの指摘通り地図に記されている場所は人気のない外れた場所を示している。

 最後の審判の本部からも大分離れている。受け取り場所としてはあまり良い場所とは思えないのになぜこんな場所を態々指定したのか……クー姉の意図が全くわからなかった。


「でもこの手紙が偽物ではないよ」

「なんでですか?」

「この手紙のここを見て」


 僕の指差したのはクー姉様の名前の横。

 そこには王家の家紋が押されていた。


「これは王族の者しか使えない家紋で複製できないものなんだ」

「じゃあウィレム様も持ってるんですか!」

「あ……いや、貰えるのは王国の仕事を任される時だから僕はまだ貰ってないんだ」

「す、すいません」


 此方こそすごく期待した目で実物見たいと訴えていたのにごめんな。


「この手紙は普通の貴族が偽装できる代物じゃないから間違いないよ」

「それでは指定した場所に向かわれるのですね」

「そうだね。態々ここを指定したのもクー姉様の事情があるんだろうし元々こっちが頼んでるんだから行かないとね。三人とも護衛を頼むよ」

「「「はいっ!(了解です)(御意)」」」


 それから搬送中に襲われる可能性も考慮して入念に準備をした後(主に制服の着替え)、僕達はお姉さんを連れて指定の場所に向かった。


 今、街はお祭りで人で溢れかえっている。

 何かしかけてくると思うのは当然で警戒しながら進んだのだが、道中リアが随分やる気を出して逆に不審者になっていたのを除けば問題なく学園までついてしまった。


 もうあれからだいぶ時間が経っている。

 午前中の交渉が失敗に終わったのは相手も気づいているはずなのでクー姉様に渡す前に何らかのアクションを予想していたが拍子抜けだった。

 それともまだこちらの動きに気づいていないのだろうか?

 そうであるならそれはそれでラッキーなだけなので構わないが……なんか背過ぎがスッと冷えて来る。


 なんかとんでもない見落としでもしているようだ。


(まぁ、もう間もなく指定された部屋につく。このまま僕らで匿っていられないのだから後の事はクー姉様に任せよう)


 遂に指定の部屋に来た。


 普通の教室だ。

 学園の内側にあるため外への窓はなく内側の窓にも目張りがされているので中はどうなっているのか覗く事ができないようになっている。

 その暗さから空き教室で授業でも使わないような教室ではあるが。


 人気がないので密会としてならいい場所かも知れない。


「クー姉様、来ましたよ」


 扉を開けると中は真っ暗だった。

 一応外から声を掛けてみたが、反応はない。


 室内に人がいるような気配はなく間違いなく無人だと思えた。


「私達のが先に来てしまったのでしょうか?」

「そうかもな。時間もまだ早いから中で待っていようか」

「そうですね」


 明かりをつけたがやっぱり中は無人で早く来てしまったのだと僕らは中で待つことにした。


 5人は室内に足を踏み入れると―――。


 不意に重力が無くなった。


「「「「うん?(はい?)(ちょっ?!)(あら?)」」」」


 声を出したのは僕だけではなかった。


 違和感の正体を確認する為下を見ると、


「のわぁぁぁっ!?」

「いやぁぁぁっ!?」

「きゃぁぁぁっ!?」

「わあぁぁぁっ!?」


 床が消滅していてウィレム達は吸い込まれるように落下していくのだった。












 ……因みに全くの無言で天井に張り付いていたユリも後を追う様に落下していった。





来る日も来る日も勉強勉強でもう参ってしまいます。

資格が欲しいとは思うけど本気でその職に就きたいとは思っていないから勉強に苦痛しか感じませんね。


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