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カタコユリ荘 春の選抜カレー大会  作者: しらら
カタコユリ荘 春の選抜カレー大会
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26/44

イナゴ軍団

   


「デキレースかよ~~」

「組織票じゃねぇの?」

「そいつらのカレー何の特徴もなかったじゃん」

 イナゴどもはとにかくイチャモンを付けたいらしい。


 タマ先輩がタチバナ先輩に手書きの集計表を渡した。アーモンドみたいな目でサッと見て、タチバナ先輩は再び口を開く。


「要望が上がったようなので、多少の群細を発表致します。№1カタコユリ カレー五人衆は、一位票は一つもありませんでした。獲得した四十三ポイントはすべて二位票によるものです。票数だけで見ると最も多くの方に支持されています」


 ええっ? え――と? 

 一位票は二ポイント、二位票は一ポイント。

 投票者は……見た感じで六~七十? その過半数……四十三人が二位に五人衆カレーを入れたって事? 

 組織票でこんな事出来ない、だって半分はポプラ寮の男子だ。


「ちなみに一位票は結構割れていて、四位の佐原手(さわらで)ルカさんのカレーも惜しい所に付けていました」


 果々子の隣のテーブルの、赤い花柄ヒジャブの女子が、両手を頬に当てて大袈裟に身を振った。

「まぁ嬉しい。指示して下さった皆様ありがとう。でも私のはネパールのタルカリ式……いわゆる水分の少ないドライカレーだったから、普通のカレーと同じ感覚で掬われるとあっという間に無くなっちゃうのよね。本当はもっと多くの方に味わって頂きたかったわぁ」

 残念だと口にしている割にニコニコしている。


 果々子は大きな芝居の中に放り込まれているような気がして来た。

 デキレースはデキレースかもしれない。でも票操作ではない。もっと巧妙な誘導だ。そして、

(どこからどこまでが毎年繰り返される『パターン』なのだろう……?)


「うん、うちはいつもの癖で()()()()多い目に作り過ぎちゃったかな。それで食べて貰えた人数が多かっただけかもねぇ」

 ビタミンカステラ先輩が、寸胴糊カレーグループをディスった口で、白々しくそんな事を言った。

 出ていた六個の鍋の中で一番大きな鍋がNo.1の札の付いた五人衆カレーだ。遅れて来た果々子の口にも入った。普通に美味しかったから二位に入れた。

 そうだ、どんなに美味しく作ろうと、投票者は()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。


 八人前でも、味を見る為に掬うだけなら十分皆に行き渡る。そこに『美味い物だけ腹いっぱい』って輩が侵入するとあっという間に破綻する。


 イナゴ軍団の半分が複雑な顔になって口をつぐんだ。五人衆カレーを上位に押し上げたのは自分たちだとやっと気付いたのだ。

 上位になるべき美味しいカレーを片端からガバガバさらって審査のテーブルから下ろしてしまった。

 その口が『デキレース』などと言えるものか。





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