02 繁華街〜遭難〜
今日だけで、何度僕は意識の破壊と創造を、繰り返すのだろう。そんなことを考えながら、改めて意識を創造することにした。
するとすぐに僕は、目から脳に送られてきたデータに、目を疑わざるを得ない状況となる。
(帰って、来た…のか……?)
眼球は、あの地球の夜、その繁華街によく似た、景色を捉えている。煌びやかに通りを彩るネオンライト、ルビーの様な情熱を帯びたアピールをするキャッチ、生まれたばかりの、寸分程しかない赤子の鍾乳洞の様な酔っ払いのおっさん。同じだ。
心の臓が躍動した。高1、去年のことだ。あの山本一斗と一度行ったことがある。自分にはまだ不相応であることも分かっていたが、そんなこと気にならない程、僕らには、それらが、宝石のような輝きを放つその様に、夢中になった。どうしたって憧憬の念を抱かざるを得なかった。
「――^――^」
なんだ?聴き馴染みのない言葉が、耳をよぎった。僕の額の傷が、少し滲んで痛い。
冗談だよな?
冗談?違う、確信をもってそう言える。これは本当に洒落にならないレベルの奴だ。先程までは、現実味のない話だった。あの神秘的な非現実的空間、そして、1人、その中に突っ立ている狂人。そして、人為的に起こされたであろう金縛りの超能力。有り得ない要素のオンパレードに、僕は心のどこかで、幻想だと、無謀にもそう信じる節もあった。
異星人の背丈は、平均して約1.7m程。人間と何ら変わらない風貌に、微細な温もりがある。使用言語は、分からない。
僕は、その異世界人の集団を、ただ、ただ、呆然と見つめるしかなかった。しかしその時、
(刻印者!?気味悪ぃな…なんでこんなとこにいんだよ…)
(うげぇ、突拍子もなく刻印者が湧いてでてくるなんてことも、ホントにたまにだけどあるらしいからね。ついてないわぁ、うちら。)
突如として、僕の脳内に17年間、ずっと近くにいた彼女が語りかけてきた。何故だかは知らない。僕の特殊能力か何かなのだろう。僕には何が何だか分からない。理解することは諦めよう。
しかしここだけは気になる。彼らの会話内容だ。『刻印者』、恐らく、僕のことだ。僕のこの額の傷、それは、ある種の彫刻の様にも見て取れる。何やら、その『刻印者』は、相当嫌われている様子だ。なんだってこの異世界とやらに、勝手に飛ばされて、嫌われなければならないんだ。気分はサイアク。
「...............!?」
(豌怜袖謔ェ縺�s縺�繧茨シ√&縺」縺輔→螟ア縺帙d縺後l��)
「ゔぉ゛ぇ゛!!」
なんだ。何なんだ今のは。気持ち悪い。100の方向から言葉が飛んできたような感覚。吐きそうだ。まさか、まだあの狂人レベルの怪物がいるのか?今度は傷を付けられる程度の話では済まないかもしれない。最悪、殺される。
僕の2m先には30人程の人だかりが出来ていて、鰯の群れのような規律性をもって、こちらを向いている。そして、僕の後ろから、男が群れの方に向かって歩いて行った。
「----^ー----」
引き締まった肉体、それに沿う様に作られたピチピチのスーツ。身長は、2mはあるのではないだろうか。見るからに、裏社会の人間だ。彼がリーダーなのかもしれない。刻印者を処分する集団、「滅刻隊」とでも言おうか。これはなかなかセンスがない名前を考えた。
「ふふっ」
自分でも笑いが出る。この絶対絶命の危機に、僕は吐くのを我慢し、地面に這いつくばり、冷ややかに笑っているのだ。
「-^^---^-----^---」
どうやら僕の処分の方向が決まったらしい。危機が去った鰯の群れは、僕を横目に散会していく。そして男はこちらを向いて言った。
「あんたぁ助けたるから、乗りんさい、車。」




