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30/68

30.みんな恋愛下手。

「国王の身でありながら公務を放って離宮に引きこもり、そのあまりに浅薄な行動に王たる資格はない。実の息子に甘いがゆえに躾が出来なかった我々の責任だ、王族という血にこだわるべきでは無かった」

 拳を握り、表情に悔しさが滲み出る。それでも凄惨な現状を知り、居ても立っても居られないのだろう。


「アイラス陛下、再び王位に戻りましょう」

 ここでお父様が励ますように前王様の手を握る。


「グラン陛下を廃嫡し、王侯諸氏から養子をとって次期国王として育てましょう。実は若き貴族らはそのように動きつつあります、このままではアメリア王国が内乱状態になってしまいます。さらに軍部のクーデターの可能性も否めません、対処が遅れれば収拾がつかなくなります」

 そう言えばお兄様が言っていたな、若い貴族の間で王侯親族のヘンリー公爵家の次男を前国王の養子にし、グラン陛下を排除しようという動きがあるらしいと。


 お父様もその動きに賛同するという事だろうか?

 でもそれだと確実に利権争いが生まれる、しばらくの間は危険な状態が続くことになりそうだ。


 よし!私はもうメダリアの街から一歩も出ないぞ!


 後の問題は軍部の人だけだな。フランシソアは元に戻れたらあの軍部の将軍さんと付き合う気はある?

(・・・無いっス)

 結構イケメンで将来有望そうなのに?

(いやいやいや、私は今まで男性とお付き合いした事ないんだよ?いきなりハードすぎでしょ!!)

 そりゃそうだ、10年以上も指輪の中に閉じ込められていたんだからな。

(うーん、何というかあの二人好きあって無い気がする。私は恋愛経験ゼロだから根拠なんて無いけど、別の理由で一緒にいる感じがするのよね)

 まあ、私も恋愛経験が豊富じゃないから分からないんだよね。


「ねえ、ヨヒム。王妃と例の将軍って愛し合っているように見えた?」

「あ?・・・分かんねえよ。腕組んでいたからラブラブなんじゃねえの?」

 ヨヒムに聞いたのが間違いだった。腕組んでいるからラブラブ?らしい。


「クララは?」

「私に聞かないでよ。その・・・男の人とお付き合いした事ないんだから」

 やべぇ、私の周りには干上がった女しかいねえ。私も含めてだけど。


「ねえ、ベベル、王妃と将軍、えっと確かディランド=シャフタール将軍だっけ。二人は愛し合っているの?」

 私の質問に対して理解不能といった顔をしている。

「・・ねえ、こうすると愛し合っているように見える?」

 ベベルと腕を組んで同じ方向を向く。

「なななななな、お、おおおお嬢様、いいいいったい何を!!???」

 ん?何で動揺しているんだ?

 まあ、いいや。

「逆にこうした方が愛し合っているように見えるでしょう?」

 正面に立って目を合わせる。するとベベルが顔を真っ赤にして目を逸らす、あれ?もしかして私ってベベルに好かれてないのか?


「そうか、目を合わせてないって事か!確かにあの時二人とも同じ方向を向いていたけど目を合わせてなかった!」

 ヨヒムがようやく私が言いたい事を分かってくれた。

「・・・し、心臓に悪い・・・」

 小さくベベルの声が聞こえる、ベベルの方に振り向くとすでに私から離れている。

 あれ?嫌われてはいないと思うけど?この反応は意外だ。


「愛し合っていない?どういう事なのだ?」

 お父様も鈍いようだ。

「はあ〜ギルバルド様、私でもキシリアナが言いたい事が分かりましたよ。王妃とディランド=シャフタール将軍が恋仲ではなく、別の目的で一緒にいるかもしれないという事です」

「・・・え?」

 お父様も意外と鈍いようだ。

「お互いに利用し利用される仲という事ですね」

 ロナも何となく分かったようだ。

「王妃が人心を操る力も持っていてディランド=シャフタール将軍を操っている可能性もありますが、そうではなくお互いに協力関係だったら・・・」

 そこから先は誰も何も言わない。単なる私の想像だから確信はない、だけど可能性はゼロでは無いと思う。

「極論ですが・・・国を乗っ取ろうとしてませんか?」


「・・・」

 全員が沈黙してしまった。


「もしそれが本当なら何と悪しき魔女なのだ」

 前国王様が嫌悪感を隠せない様子だ。

「陛下、軍部に味方してくれる上の者はいますか?」

 お父様が深呼吸して冷静になる。そして現状打てる手を考えているようだ。

「ふむ、元軍閥長のハイド卿くらいか、いまだに私とやり取りをしてくれるのは。しかし既に現役を退いているからな・・・」

「それでも連絡を取りましょう。少しでも抑止力になるなら声をかけるべきです」


 確かディランド=シャフタール将軍は若手のカリスマ的なリーダーだと言っていた。

 正直言って今のグラン陛下は忠義を抱く対象とは思えない。血気盛んな若者が尊敬できない主君に服従なんて出来ないんじゃないのか?新たなリーダーを立てようと考える人がいてもおかしくない。

 王妃と軍部、お互いに利用価値があるから行動を共にしているんじゃないのか?


 憶測でも嫌な予感しかしない。フランシソアが戻って利用価値が無くなれば、簡単に斬り伏せてしまいそうだ。

 行動を早くした方が良いのかもしれない。

ペースが遅くて申し訳ありません。

次話の投稿は来週の土曜日になると思います。

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