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21.10年後の王都

「すっごいオシャレだ・・・」

 クララが少々引き気味だ。

 私達が案内されたのは新しくピカピカなホテルだ。私が王都にいた時にはこんなオシャレな建物はなかったと思う。

「夕食はどういたしますか?」

 ロナが受付に向かう前に聞いてきた。私達はお互いに目配せする、全員の意見が一致しているようだ。

「明日の朝食だけでお願い、夕食は外で食べます」

 いきなり王都の観光が出来るなんて思いもしなかった、頼まれたお土産の品定めしたいから願ってもないチャンスだ。


「それでは、明日の朝に迎えに参ります」

 ロナとコリスを見送り、メダリアには無いタイプのオシャレなホテルに入る。

「それじゃ、後でここに集合な」

「OK!」

「了解!」

 まさかそれぞれに個室まで手配してくれていた。自分の部屋に入ると、オシャレで綺麗な部屋だ。見晴らしも良く王都の象徴ともいえる王城が遠くに見える絶景だ。


 美しい景色を後に再び玄関ロビーへ向かう。すでにヨヒムとクララが待っており、どうやら私が最後だったようだ。

「おまたせ」


「おう」

「早く行こ」


 たいして待たせていないようで怒られなくて良かった。

「まずは買うのが面倒臭い化粧品から行くか」

 ヨヒムの提案に賛成だ、正直言って今の私は化粧をしないし香水なんてもっと使わない。10年前は詳しかったが、今では本当に縁がなくなった。


 過去の記憶を頼りにお店に向かうことにする。

「だいぶ王都も変わってしまったな」

 歩きながら見覚えのない建物やお店を眺めている。

「人が多すぎだろ」

 ヨヒムが苦笑いをしている。

「ここで店やれば毎日繁盛じゃない?」

 クララが冗談混じりにからかう。

「いやいや、毎日忙しいのは勘弁だよ、繁盛期ばかりだと身が持たん」

 鉄の女ヨヒムが何を言っているのやら。そうこうしているウチにお目当ての店に到着する。


「化粧品?」

 ヨヒムが私をジロリと睨む。

「あははは、違うねぇ?」

 確かに10年前はここに高級化粧品を売っていたお店があったんだよ!


・・・今ではオシャレなサロンになっているけど。


「じゃあ、滅茶苦茶目立つあの巨大な商業施設に行ってみるか」

 今度は運河沿いに高くそびえ立つ巨大な商業施設へと足を運ぶ。

「10年前はこんなの無かったんだよな」

 遠くからでも分かる程の巨大な建物だ。ヘタをしたら王城よりも大きいかもしれない。


「すげっ、6階建て?人が一杯いるけど大丈夫なの?崩れない?」

 クララが田舎者丸出し発言をする。

「おっ、酒もある。後で寄ろうぜ!」

 案内板をみてヨヒムが声を上げる。珍しい外国の舶来品はメダリアの方が多いと思うが、高級さと品数では間違いなくこっちの方が上だろう。

「えっと、化粧品は3階だね、行くよ」

 お目当ての香水が売っていればいいんだけど。広いフロアを進んで3階へ向かう。



「お、あれでしょ?」

 店の中に入ると1番目立つ場所に置いてあった。値段を見ると金貨2枚!?こんなに高いの!?

「・・・って、2人とも何で入ってこないの?」

  なぜか2人は入り口付近で私の様子を伺っている。そして手招きして私を呼び戻す。

「お前、スゲェな。場違いすぎて私にゃ無理だ」

 ヨヒムよ・・・アンタは顔は悪くないのだから化粧すれば美人に化けそうなのに。

「キ、キアお願い、代わりに買って来て」

 クララが人見知りを発動した!?


 仕方なく2人からお金を預かり、お土産メモを確認する。香水に口紅と買い物をしていく。ついでに自分用に石鹸も買っておく。

「ありがとうございます。こちらはサービスです」

 そう言われると店員さんからお店の店名が刺繍されたハンカチを3つ渡される。どうやら先程のやりとりを見られたようでヨヒム達の分もくれるようだ。さすがは王都、接客もサービスも超一流だ。

 ふと店名を見てみる。昔、私が行ったお店はここに移転していたようだ、少しだけ嬉しい気持ちになる。


「ほい、これ。これはアンタ達にって」

 2人にお土産を渡し、ついでにオマケでもらったハンカチを渡す。

「何で?」

 店員さんが気を使ってくれたのが分からないらしい。

「気を使われたんだよ、今度はちゃんと自分で入って買えよ!」

 よくそれで客商売ができるもんだ、2人は慌てて店内にいる店員さんに頭を下げている。

「やべー、王都のサービス半端ねぇ」

 クララも一応客商売なんだから少しは見習えよ。


 すると遠くで何やら騒ついている。

「あれって、王妃様?」

「また来たの?先週も来たよね?」

「綺麗〜」

「あれって、将軍様だよね?」


は?・・・王妃!?


 急いで人垣の隙間を抜けて近くへ見に行く。

 キラキラの服を着てグラマラスなスタイルをこれ見よがしに見せつける。豪華な装飾品に身をつけた絶世の美女が数人の男性に守られるようにこのフロアにやって来た。

 背が高く筋肉隆々の男性が隣に立ちエスコートしている。制服を着ており腕章には大鷹のマーク、もしかして軍閥の上の方の人間ではないだろうか?

 周囲の護衛の男性も軍人っぽい格好をしている。そんな屈強な男性に囲まれ、王妃は周囲に何の興味もなさげに隣の男性と腕を組んで歩いている。


 て言うかお前の旦那様はその男じゃないだろ!?


 そしてそのまま商業施設の職員の人に連れられて奥の個室に入って行った。

「ねえ、指輪」

(・・・うん、奴だ。この感じ・・チヒロだ)


 だいぶ風変わりしてしまったが、どことなく昔の面影は残っている。

(奴に気付かれるかもしれないからここを離れよう。私と同じ感覚なら何らかの違和感を感じているかもしれない)

 それは不味い、あんな屈強な軍人に襲われたら勝てっこない。


「あれが、王妃?派手だな」

 遠目で見ていたヨヒムが率直な感想を述べる。

「何か嫌な感じだね」

 おそらくクララは生理的に嫌いそうなタイプだ。


「とりあえずここから離れよ、お酒は1階だからそっちに行こうよ」

 2人を促して下の階へ移動する、次はヨヒムのリクエストで食料品を扱う1階へ向かう。



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