爽やかイケメンと、伊藤くん。
…サイテーだ。ミスを連発して、泣き出して、伊藤くんに…あらぬ疑いをかけさせて、おまけに…仮病で早退までした。
バイトの制服から着替えてもなお、私は落ち込んだ気持ちを立て直せないまま駅まで歩いていた。
歩いてたらどんどん情けなくなってきて、また、涙が出始める。
もう、嫌われちゃったかもしれない。
けれど、やっぱり伊藤くんに…会いたいなぁ…
トボトボと歩いていたら駅に着いた。
だけど電車に乗る気分にもなれなくて、なんとなくそばにあったベンチに座った。
どのくらい時間がたったかわからない。ただ、伊藤くんのアドレスを眺めていた。
伊藤くんに会いたい。伊藤くんに会いたい。伊藤くんに…
ただ、伊藤くんに会いたかった。
そんな時
「どうしたの?」
誰かに声を掛けられた。
「キミ、さっきからずっと泣いてるよね。どうしたの?」
爽やかイケメン、そんな感じの男の人だった。
「いえ、別に…」
「彼氏に振られでもした?よかったら、気晴らしに俺とカラオケでも行かない?」
……ナンパだ。人が落ち込んでる時くらい、そっとしておいてくれたらいいのに…
私は、なにも言わずにその場を立ち去ろうとした。そしたら
「おい。待てよ。人が優しくしてやってんのに、その態度はなんだよ」
その男の人は、立ち去ろうとする私の肩を掴んで、いきなりキレ始めた。
「俺の誘いを断るとか、マジむかつく!」
そして、握り拳を振りかざした。
………殴られる!!
そう思って目をぎゅっと閉じた瞬間!
グイッ!!!
ダダダダダーーーーーー
誰かに腕をグイッと掴まれて、その場から連れ去られた。
え?
私の手を掴んでいたのは、伊藤くんだった…




