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バイトと、ミスと、溢れた涙…。



次の日のバイト。



昨日、結局眠れなかった。けれど、バイトは頑張らないと!


そう思ってバイトにインしたのに…お客さんのオーダーを聞き間違えるミスをしてしまった。


「大丈夫ですよ。3分で作り直します。お客様にそう伝えてください。」


キッチン担当の伊藤くんの言葉。こういう時、やっぱり伊藤くんはすごく頼りになる。

ミスをして焦った気持ちが、少しホッとする。


けれど、もう、気をつけなきゃっ


そう気を引き締め直した時…

伊藤くんに話しかけられた。


「このハンバーグ注文してるお客さん…ライスの注文がないですけど大丈夫ですか?」


「あ、ごめんなさい!ライス付きでお願いします。」


あぁ、また、こんな初歩的なミスっ

私の気持ちはますます焦る。


…「桐谷さん。9番席のお客様、いつもガーリック抜きに変更されるけど…今日は普通のオーダーになってますが大丈夫ですか?」


「あ!すみませんっ!ガーリック抜きで願いしますっ」



…「桐谷さん…ここのテーブル、1人分オーダーが足りないですけど大丈夫ですか?」


「すっすみませんっ個数を間違えてましたっ」



どうしよう、焦れば焦るほどどんどんミスは増えていく。



……あっという間に忙しさのピークが過ぎた。



私がしてしまったたくさんのミスたちは、ほとんど伊藤くんのおかげでお客さんに迷惑がかかることはなかった。


あんなに忙しい中、他の人のミスにすぐに気付ける伊藤くんのすごさを改めて実感する。


そしてあんなにミスを重ねたのに、怒らないでずっと冷静だった伊藤くんのすごさもまた、実感した。


やっぱり、伊藤くんてすごい。やっぱり、伊藤くんてかっこいい。


けれど…それに比べて私は…こんなにミスばかりして。伊藤くんに呆れられちゃったんじゃないかな…手間をかけさせてばかりで、嫌われてたらどうしよう…




どんどん不安になってくる。



店内も落ち着いたから、一言伊藤くんに謝りに行った。


「あの…今日はミスが続いてすみませんでした。それと…昨日はありがとうございました。」


不安でズキズキ痛む心を抑えて伊藤くんにそう伝えた。すると、伊藤くんは…


「え?あぁ。調子が悪いことは誰でもあるでしょう。それより…顔色が悪いですが大丈夫ですか?」


思いがけない優しい言葉。


「!!」


「え!?ちょっ、ちょっと…」



張り詰めていた不安な気持ちが、伊藤くんの言葉で一気にほぐれた。

さらに、私の顔色まで気にかけてくれた優しさに、心が震える。だから…


…あり得ないことに…

私は泣き出してしまった…




気持ちが張り詰めていた分、一気に溢れた涙は止まらない。



けれど、今はまだバイト中。



だんだん他のスタッフにも、私が泣いていることを気づかれ始めてしまった。


サイアク……


「え?桐谷さん、泣いてる?どうした?伊藤に何か言われたのか?」


店長に気づかれ、そう言われてしまった。


私はブンブンと首を横に振る。けれど、涙は全然止まってくれなくて。


「なにもなかったらこんなに泣かないだろう。おい、伊藤、おまえ何をした。」


「い、いや、俺は、なにも…」


「ちっちがうんですっ。お、お腹が…痛くて…」


やっと出た言葉がそれだった。お腹なんて本当は全然痛くない。けど、そんなイイワケしか出てこなかった。


「あぁ、腹痛か…それなら店のピークも過ぎたし

桐谷さん、もう今日は上がってもいいよ。」


「すっすみませんっ。じゃあ、ごめんなさい。上がらせて…いただきます…」


そう言って、私はバイトを早退した。





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