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伊藤くんの、アドレス。



う、そ!信じられないっ


助かった安堵感。そしてそれが大好きな人だった。私は言葉なんて出てこなかった。




伊藤くんのおかげで、男の人はあっさりとどこかへ消えて行った。


困ってる時にサラッと助けてくれる伊藤くんて、やっぱりかっこいい。そして、事を荒立てないで解決しちゃう伊藤くんて、やっぱりすごいなぁとか、あらためて思う。



けれど…


その時の私は、そんなことを思う気持ちの余裕なんてなくて


「あ…ありがと…」


小さな声でそう伝えることしか出来なかった。


こんな時、笑顔の明るい声でありがとうが言えたらいいのに。


落ち込んでた気持ちと、怖かった気持ちが全然抜けなくて、伊藤くんの目を見ることすら…出来なかった。



そうしたら伊藤くんが


「家まで…送りましょうか?」


そんなことを聞いてくれた。


後になって思えば、きっと恋愛上手な子は送ってもらったりするんだろうな…なんて思うけど


その時の私は、疲れてるって言ってた伊藤くんに送ってもらうなんてなんだか悪い気がして


「ううん。大丈夫。伊藤くん疲れてるって言ってたし、帰ってゆっくりして?明日会えなかったらさみしいから。」


そう答えた…


そうしたら


「あ…じゃあ、何かあったら連絡してください。何もないのが1番だけど…」


そう言って、伊藤くんはケータイのアドレスを紙に書いてくれた。



思いがけない出来事。伊藤くんの優しさが嬉しくなって、私の顔も少し、ほころんだ…。



家に帰ってからあらためて伊藤くんがくれたメモを見る。


伊藤くんの字、男の子っぽいっ!

あぁ、どうしよう、アドレス教えてもらっちゃった…


嬉しさでいっぱいになる。


けど…伊藤くんからは私のアドレス聞かれなかった。

心配だったから教えてくれただけで…特別な意味なんてないってことだよね…。


嬉しくなったり不安になったり。いろんな気持ちが押し寄せてくる。



けど…“今日はありがとう”のメールくらいなら、してもいいかなぁ。あーでも、伊藤くん疲れてるって言ってたし、もしかしたら今日は早めに寝てるかも…


男の子とメールくらいした事あるけど、いつも男の子の方からメールをくれてた。だから…自分からなんてどうメールしたらいいのか、タイミングすらわかんないよ…


そんなことを考えながら、メールを作っては消して…を繰り返しているうちに、気付けば夜中の0時になっていた。


あーあ、もう、こんな時間。夜遅過ぎてメールしたら迷惑だよね。うん、寝よう寝よう。明日…会ったらお礼言おう。


そんなことを思いながらベッドに入った。けど…助けてくれた時のことを思い出してドキドキして


けれど、“大好き”って私の気持ちは、全然伊藤くんに伝わらなかったことを思い出すと、胸がチクチクと痛くなって…


頭がモヤモヤとして、眠れない夜を過ごした…。




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