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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

顔合わせと契約が成立しミランダが仰天してから一時間後、俺とミランダは庭に出て互いが向き合うように距離をとって立っていた。

それまでは住み込みでの仕事になるため、母さんがミランダに家の配置やミランダの部屋などを案内していた。

案内と言っても豪勢な家ではなく、ありきたりな大きさのため時間もかかることはなかった。

不便なこの地への長旅の疲れもあるだろうからと指導は明日からの予定にするはずだったが、一時間ほど休みを頂ければ大丈夫とミラが言い張り本日からのスタートとなった。


「じゃあレイの攻撃能力を知りたいから今の段階で一番自信のある攻撃魔法を私に撃ってきて。一番って言っても庭や建物に被害は出るものはダメだからね」

「わかった。じゃあ行くよ!」


宣言してから魔力を魔法に転換していく。

魔法を使うには魔力が必要となる。

魔力量が多ければ多いほど魔法の回数や規模、質の制限がなくなっていき、少なければ少ないほど制限されてしまう。

そのため魔力量の多さも一種の才能と考えられている。

俺は先程見せた中級魔法の炎の槍を選択した。

相手は俺よりも格上の魔法の使い手。

俺の全力をもってしても傷つけることはできないだろう。

その炎の槍にありったけの魔力を注ぎ込む。

暴発して自爆しないように丁寧に丁寧に。

そして臨界点に達するかもと思ったところで一気に撃ち放つ。

炎を見ていたミランダはすかさず水のシールドを展開。

俺の魔法に対抗するためだ。

炎と水。

普通に考えれば水が圧倒的に有利だ。

だがミランダには焦りが見えていた。


「まさかここまで膨大な魔力を込めるなんて」


そう小さく呟き、苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。

炎の槍と水のシールドがぶつかること数秒、ミランダの周りには一瞬白い水蒸気が立ち込めるもすぐに消え、何もなかったかのように静寂だけが存在していた。

もしあの時に消費する魔力を増やしていなければ炎の槍に貫かれていただろう。

想像するだけで身震いがする。

そしてそんな魔法をあっさりと使えてしまう圧倒的な才能を持つレイに対して畏怖や嫉妬など様々な感情が渦巻く。

それでも私はこの子の教師なのだからと邪念を振り払い指導を始めた。


「レイの実力はわかったわ。私が教えるまでもなくあなたは強い。それでもまだまだ成長できるわ。その手助けもしっかりとしてあげる。それに道を踏み外さないようにしっかりと教育もしてあげるからそのつもりでね」

「はい。よろしくおねがいします」

「こちらこそよろしくね」


ミランダのその表情はとても晴れやかで、つい見惚れてしまうほどにその笑顔は美しかった。

五歳の俺でもこのようになってしまうということは大人の男性が見れば大変なことが起きていたに違いない。

大人が居なくてよかったとホッとしていた。

それにその笑顔が俺にだけに向けられていたことが非常にうれしかった。

そこから数時間、ひたすらミラに向けて魔法を撃つだけの時間が続いた。

魔法の種類も炎だけでなく、水や風、土などの違う属性に、形も槍だけでなく矢や球など様々なバリュエーションで行った。

その間に指導らしい指導はなくのびのびとやっていた。

ここまで魔法の撃ち続けたことは初めてだが、この充実した疲れはくせになりそうだ。

そんなことを思っているとミランダから繰り出された言葉に驚きを隠せなかった。


「今日でだいぶ魔法の打ち込みをやったからしばらくは良いでしょう。なので明日からは魔法の勉強をやるからそのつもりでね」

「えっ?」

「だから明日からは魔法の勉強だからそのつもりでね」


ふいに放たれた言葉に耳を疑ったが、どうやら聞き間違いではないらしい。

大々的に魔法を使えると思っていた俺にとってこの話は非常に残念でしょうがなかった。

それに齢五歳の俺に魔法の勉強をさせるのかよと思ったが口に出さないことにした。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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