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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

母さんに新しい先生が来るまでお預けと言われた数十日後、この村では見たことのない十代後半から二十代前半ほどの青い髪の女性が訪れていた。

優しげな瞳に美しい顔立ちが特徴だ。

だがそれよりも肩甲骨辺りまで伸ばされた髪はとても艶やかで美しく、女は髪が命という言葉がその通りだと確信させられる。

深窓の令嬢。

この言葉が当てはまるそんな女性だ。

そんな彼女がこのような田舎の村に来た理由それはとても単純だった。


「すみませーん」


家の玄関から高い声が届く。

それに母さんが反応し玄関へ向かい戸を開ける。

俺も興味本位でついていく。


「こんにちは、私はミランダ・アストルと申します。この紙を見て来させて頂いたんですが、先客の方が居られたりしますか?」


そう言い終えると手にしていた紙を母さんに渡す。

俺には何の紙か分からないが、魔法の教師の募集要項だと当たりをつける。


「いやあなたが最初よ。わざわざこんなところまで来てくれてありがとうね。私はラン・スミスディア。今回の依頼者です。どうぞ良しなに」

「こちらこそよろしくお願いします」

「自己紹介はここまでにして、ミランダさん、あなたは募集要項に書いてある必須項目はできるという認識でいいんですね?」

「はい、そうでないと来ません」



必須項目?

なんだそれ?

脳内で思わずつぶやく。

俺には何を言っているかさっぱりだった。

二人の会話に割って入り、疑問解消のカギの紙を見せてもらうため、母さんに手を伸ばした。


「お母さん、その紙見して」


母さんは躊躇することなく俺に見せてくれる。

紙にはこのような内容が書かれていた。


『極魔法および召喚魔法の指導ができる方募集。食事三回の住み込み。月給百万コル。必須項目、極魔法および召喚魔法どちらも使用可能なこと。待遇や条件については要相談。』


俺は目を疑った。

召喚魔法はまだしも極魔法まで組み込んでいるとは思わなかった。

この世界の魔法は初級・中級・高等・極・極大・神級の六つにランク分けがされており、初級は生活程度と軽い攻撃の魔法で神級魔法は字のごとく神が天変地異を起こすようなの大規模魔法という位置づけだ。

神級魔法を使えたものは歴史上三人しか確認されておらず、今は誰一人存命していない。

ゆえに幻の魔法とも言われている。

今の魔法使いが使える最上位の魔法は高等魔法止まりが多く、極魔法を使える者は一握りしかいない。

そのため軍や私兵には極魔法が使えるだけで重宝され、安泰な生活が送れるとまで言われている。

そのような人材を募集に出していたのだ。

よくこの依頼書に目が留まり来てくれたものだ。

それにしても月給百万コルという多大なお金を払えるのかそのことも気になっていた。

いくら前に名を馳せていたといっても出費が痛すぎるんじゃないかそう思わざるを得ない。

そんな俺のことをお見通しとばかりに、


「蓄えは使えないほどあるから大丈夫よ」


と一言。

どうやら想像以上のお金がありそうだ。

母さんはミランダの方へ向き直り会話を再開させた。


「ごめんなさいね、話を止めてしまって。極魔法を見せろとは言わないわ。あなたからは十分強者の雰囲気が漂っているから。それに一番初めに来てくれたしね、雇おうと思うわ」

「ありがとうございます。精一杯頑張らせていただきます。では奥様、奥様の実力を拝見したいので少し付き合って頂けませんか? 授業の方針を決めたいと思いますので」


そう言うとミランダは母さんを外に連れ出そうとするが呼び止められる。


「何か勘違いをしているかもしれないけど、あなたが教えるのはこの子、レイよ」


その言葉にミランダは唖然とする

何でも自分の目の前にいるのは五歳ほどの男の子で到底魔法なんか使えそうになかったからだ。

なので当然のことを口にする。


「奥様、さすがにこの子に魔法を教えるのは早いかと。それに極魔法などもってのほかですよ」

「その点は大丈夫よ。レイはもう中級魔法レベルなら普通にこなせるから」

「奥様、ご冗談を。五歳ほどの子供が中級魔法を普通に使うなど聞いた子もありませんし、見たこともありません」

「ならレイ、見せてあげなさい」


そう言われ俺は庭に出て中級魔法である炎の槍を一つだけじゃなく五つ作り出す。

その光景にミランダは目を見張る。

ありえない、そんな思いでいっぱいだった。

この世界で五歳児が魔法を使えるだけでも異例なのに、それを使えるだけではなく複数出現させる。

ミランダ自身も天才と呼ばれ今まで育ってきたが目の前にいるこの子供はそんな自分をあっさりと凌駕している。

自分が天才ならこの子は化物だ。

そんな考えにしか辿り着かない。


「ね、これで理解できたでしょ?」

「……はい」


母さんの問いかけにミランダはただただ頷くことしかできなかった。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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