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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

残酷なシーンがあります。苦手な方はご注意ください。

壁をなぞるように進み、入り口を見つけ出す。

俺を先頭に両脇に山吹と白藍、その後ろを四人の順に侵入する。

中に入るとさらに臭いがきつくなる。

見渡す限り立っている者は存在せず、すべて骸と化していた。

それにすべての死体に共通して胴体に穴が開いていた。

串刺しにされ、その串を抜かれたように。

この光景はきつい。

あまりにも残虐に殺されていた。

それに死体を見て気付いたことがある。

それは一つの死体に小さい穴や大きな穴まで様々な大きさの穴が開いていることだ。

拷問の様に苦痛を味合わせてから殺すことで殺しを楽しんでいるようにも思えた。

あまり長居してはいけないと本能で悟る。


「速くここから出るぞ!」


指示を飛ばす。

だが一歩遅かった。


「おやおやこれは第三王女ご一行にレイナルド・スミスディアではありませんか」


俺よりも高い身長に大胆に開かれた胸元から除く肉体は細身ながらも日々の鍛錬が確認できるほどに仕上がっている。

このような特徴で思い当たる人物など一人しかいない。


「ラグナ・インテンス、どうしてここにいる? それにお前がこいつらをやったのか?」

「こいつら? ……ああ、この醜いオークのことか。そうさ、俺が殺ったさ!」

「決行日は明後日じゃなかったか?」

「一人で倒せる相手をどうして手を借りてまで待たないといけないんだ? そんなの時間の無駄だよ」


確かにラグナ・インテンスが言っていることは間違っていない。

一人で壊滅させることができるなら早い方が良い。

正論に反論するのは難しい。


こうして会話を交わしているうちに大きな影が迫っていた。

俺から見て正面、ラグナ・インテンスからだと後ろだ。

近くでくたばっているオークの二倍ほどの身長に恰幅。

この集落のリーダーであることは明らかであった。

そんなオークは高く掲げられた右手に木をそのまま引っこ抜いたような棍棒らしきものを持ち、それをラグナ・インテンス目掛けて振り下ろそうとしていた。

そのような状況であるのにもかかわらず不快な笑みを浮かべる。

それを見た途端背筋に嫌な汗が流れる。

いやな感じしかしなかった。

後ろを振り返りもせず放たれた水の棘、いや化け物の顔があるワームのようなものがリーダーのオークを跡形もなく喰らった。

そう貫いたではない。

隙間がないほどに増殖したワームのようなものが喰らったのだ。

ワームのようなものはオークを喰らったことにより紅く染まっていた。

異形。

そう呼ぶのにふさわしいものと変わり果てた。


「どうだ、すごいだろう!! 俺はなにも魔力操作などしていない。こいつが勝手に動いて俺を守ってくれるんだ! 俺に死角などない」


ラグナ・インテンスは前回よりもさらに成長していた。

成長スピードがおかしすぎる。

こんな短期間でここまで強くなれるとは到底ありえない。

だが目の前の現実がそれを否定する。

俺の理解を超える範疇の出来事が起きている。

それだけしかもう分からない。


「途轍もなく強くなったようだな」

「強くなってなどいない。これが俺の実力だ」

「そういうならもうそれでいい。今ので最後か?」

「いや、まだ残っている」


そう言ってワームのようなものがどこかに向かって伸びていく。


「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ」」


複数の悲鳴が同時に響く。

声が上がった方向はワームのようなものが向かって行った方向だった。

そちらへ向かおうとするも先に俺の目の前に三人の女性が連れてこられた。

三人のうち二人はまだ悲鳴を上げれるほどに目に生気が宿っている。

だがもう一人は全く生気が宿っておらず、おなかには異様な膨らみがあった。


「人質がいたのか!?」

「そうみたいだな」

「助けてくれたのか!」

「そうだ。今から助けてやる」


事態は動いた。

突如、三人の女性の腹から紅いワームのようなものが生える。

驚愕のあまり動けずにいた。


「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」


痛々しいそんなものでは生ぬるいほどの号哭が響き渡る。

声を上げなかった生気が伴っていない目の女性から生えたワームのようなものにはオークの胎児だと思われるものが貫かれていた。

成熟しきっていないそれは不気味なほどに気持ち悪く動いていた。

そんなことをお構いなしに大腿部、上腕、脛、前腕、肩、胸の順に棘が生える。

触手のようなものが現れるごとに上がる悲鳴。

耳を塞ぎたくなるほどの声音は後ろにいる四人の顔を青白く塗り替えるには十分だった。


「助、けて……」


俺を求める声が上がる。

だが簡単には動けなかった。

硬直状態からは抜け出しているが、動くとすぐに致命傷の攻撃を浴びせ命が奪われる可能性が高かった。

だから叫ぶしかなかった。


「ラグナ・インテンス、お前はどういうことをしているのか分かっているのか!?」


はらわたが煮えかえるほどの怒気を声に乗せる。

それほどまでに目の前で繰り広げられている光景は許せなかった。

ラグナ・インテンスから見ても俺が激怒しているのは分かっているだろう。

それでも冷静で単調に答えてきた。


「どういうことをしてるかだと? そんなもの理解してなければしていない。これは救済だ。オークに犯された女が今後も平然に暮らせるとでも? そんなものは無理だ。快楽の虜になった慰み者にしかならない。そんな女に成り下がるぐらいなら現時点で楽にしてやるのが良いじゃないか」

「ふざけるな! そんな理屈が通じるか! それに楽にさせるなら苦痛を与える行為など矛盾してるじゃないか!?」

「そんなことをする理由など一つしかない」


何となくその先の言葉が読めてしまった。

聞きたくないそんな願いが先行する。

だが現実はそんな願いなど跳ね返してしまう。


「そんなの俺が楽しむためにしているのに決まってるじゃないか」


俯き前傾姿勢になった両肩が柄を握る両手によって震える。

柄が折れるのではないかと思えるほど力強く握りしめる。

こんなことが許されていいのか?

いや、許されることではない。

ならどうする?

許されないことをしたなら罰を執行するのが妥当だ。

ならどのような罰を執行する?

三人も命の危険に晒しているのだ。

極刑しかありえない。

ではその極刑とは何だ?

極刑とはすなわち死刑。

なら死刑を執り行う人物が必要だ。

それは誰だ?

そんなの俺しかいない。

俺がラグナ・インテンスを殺す。

自問自答の果てに辿り着いた答え。

俺の脳内はラグナ・インテンスを殺すことで溢れていた。

他の考えが入る余地すらない。

静かにゆっくりと二振りを抜刀する。

それを見たラグナ・インテンスは満面の笑みを浮かべる。


「そうだ。それでいい。堕ちろ! 堕ちてしまえ!」


そう言って止めとばかりに三人の女性の喉と頭部からワームのようなものを生やし、号哭を上げることなく絶命させる。

その遺体を俺の前にワームのようなもので投げ捨て積み重ねる。

投げ捨てられたことにより生えていたワームのようなものは消失し、鮮血が勢いよく流れ出る。

遺体にを中心に広がった紅い池はちゃぷちゃぷと音を奏でられる程度には溜まっていた。

顔を上げる。

その顔に色などなかった。

ただ何かを壊すためだけに存在する機械のような表情だった。


「レイ様! 気をしっかり持ってください!」

「主! 飲まれてはダメです」


従魔二匹が懸命に何か呼びかけてくるが全く頭に入ってこない。

だが俺にとってそんなことは些細なことで気にする価値もなかった。

今すぐにでもなさなければならないことはラグナ・インテンスの抹殺。

それだけしかない。

刀の切先を地面すれすれまで下げ、小さな歩幅で進み、少しずつラグナ・インテンスとの距離が縮める。

そのスピードはとてもゆっくりでどんな攻撃でも浴びせられそうであった。

そんな俺が近づいてくるにつれ歓喜の笑みを浮かべる。


「いいぞ! その調子だ! あとは俺に斬りかかってくるだけだ!」


ラグナ・インテンスが煽ってくる。

俺は煽られているに気付かず、やはり斬ればいいんだなと鵜呑みにしていた。

ラグナ・インテンスの表情は相変わらずで両手を広げその時を待っていた。

間合いに入り桜花を振りかぶる。

一人ではどうしようもないほどに溢れ返る殺意が抑えられなかった。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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