表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/66

57

クリックしていただきありがとうございます。

勧誘を一時的に引き受けて協力体制を築き上げてから数日後、俺は今森の中にいた。

黒いコートを羽織り両腰に二振りの刀をぶら下げ、二匹の召喚獣を顕現させていた。

後ろからだと髪色も黒ということもあり死神にしか見えない。

そんな姿をしていた。

そしてそんな後姿を見ているのは協力体制を組むことにした四人だった。

茶髪の男は左腰に鞘からでも分かるほど薄い両刃剣を身に付け、紫髪の少女は金属製の紫の篭手と紫のブーツを装備している。

白髪の少女は背中に碧い槍を手に持ち、金髪の少女は矢筒を背負い弓は手で持っていた。

俺と四人は完全な武装をしていた。

それにいつ何か起きてもいいように武器を手に持っての行軍だ。

開けた場所に出て辺りの安全を確認してから俺は声をかけた。


「ここら辺は大丈夫そうですね。そろそろ飯にしますか?」

「そうね、そうしましょう」


四人は固まって腰を下ろす。

俺は森を歩いている途中に拾い集めていた小枝などで焚火を起こし、同じく道中で見つけて狩ったウサギと鳥の皮を剥ぎ焚火の前で焼く。

これら工程の手際の良さにとても驚かれた。

俺としてはまだまだだと思っていたのだがそんなことはないとのこと。

それに解体や剥ぎ取りができる人が実は少ないということで都市部では非常に重宝されているらしい。

そんなことなら俺たちの村の人は基本剥ぎ取りや解体ができる。

出資しあって出稼ぎで店を出せば途轍もない財が成せそうな気がしてきた。

焼け具合を確認してから皆に配る。

調味料は持ってきていたため何もないより多少マシなはずだ。


「レティシア、第三王女のあなたには口が合わないかもしれませんが」

「そんなことはないわ。これよりもひどいものを食べたこともあるわ。それに私は第三王女だけど第三王女として扱ってほしくないの。だからユリシアもネオもリアも敬語じゃないでしょ?」

「分かった。公務などの時以外では対等でいるよ」


レティシアにそう言われ素直に受諾した。

すぐに自分の分を食べ終え、周りを警戒する。

だが引っかかるものは現れなかった。

もうしばらくは大丈夫そうだからまだ休憩、という選択肢はなく安全と思える時に移動して戦うことがないように動きたいと考えていた。


「これからオークとその集落を見に行くが準備は良いか?」


俺の問いかけに皆縦に首を振り、移動を再開させた。

今までの流れで不可思議な点がある。

それは新参者である俺がなぜ堂々とこのメンバーを率いているという点なのだがこれにはしっかりと理由があった。

何も大事なことではなく、ただ幼少のころから森に出て狩りなどをしていたという話をして、それを聞いた他の四人より森に親しみがあったからというだけだ。

まあ森と言ってもすべて一緒ではないので俺の知っている常識が通用するかは分からないため誰が引っ張っていこうと変わらないと内心では思っている。

それにオークなど直接見たことはなく、知識でしか知らないというのも一因である。

オークとは魔物で人間のような姿かたちをしており牙と豚の鼻のような顔を持つものだ。

一体の戦闘力はそこまで高くないが繁殖力がものすごく、集団で常に行動して数でものを言わす戦いをする。

オークにはメスなど存在せずオスしかいない。

そこで姿かたちが似ている人間の女を狙って攫い、死ぬまで苗床として利用していた。

そのようなことがあるためオークは非常に嫌われ憎き魔物として名を広めていた。

そのオークがグレイディアに繋がる街道の側にある森に大規模な集落を作っているという情報が入り緊急依頼が舞い込んできた。

本来なら騎士団の人たちが相手するような案件なのだが、騎士団は相手をすることができない状況だった。

何故なら西大陸北方で竜種が確認されたからだ。

事案としてはオークより龍種の方が重大ということでそちらが優先され増援に向ったからだ。

そのため俺たちは緊急依頼に志願し作戦決行日は明後日に控えていた。

それにもかかわらず俺たちは今オークの集落があるとされる森に来ている。

理由はメンバー全員がオークを見たことがないということと先遣部隊を送り偵察する案が浮上していなかったためだ。

所詮大学校の生徒や低ランクの冒険者。

経験不足でそこまで頭が回っていないと思えた。

別に他の連中が負傷しようが死のうがどうでもいい。

だが一時的にもチームを組みメンバーになったからには負傷などさせるつもりはなかった。

死なすなどもってのほかだ。

だから初めて見て動揺しないために、今日オークを確認してどうするかを話し合い、一日体を休めて決行日を迎えるという手順だ。

そのための今日の行動だったのだが森を進んでいくうちに騒がしさを感じた。

騒がしい方へ進んでいくと臭いが漂ってくる。

それが血なまぐさい臭いだと分かるのに時間はいらなかった。

何かが起きている。

直感で理解した。

歩みを早め、オークの集落と思しき場所に辿り着く。

何かを覆うように建てられた壁で中を見渡すことができず、外からでは状況が掴めない。


「俺が中を確認してくるから待っててくれないか?」

「そんな危ないことはさせられない」


ネオが反論する。

残りの三人も同じことを言いたげな顔をしていた。


「じゃあ全員で行くってのか? そっちの方が危ないぞ!」

「そんなに私たちのことが頼れないの? ただのお荷物でしかない?」


レティシアが放った言葉に言い返せなくなる。

それすなわち肯定ということであった。


「それなら大丈夫よ。心配しなくてもいいわ」


少しの空白の後レティシアが言葉を続けた。

その言葉には自信がみなぎっていた。


「だって……私たちは今年の特待生組だから」


初めて聞く内容に目を丸くする。

特待生ということはあのラグナ・インテンスよりも強いということだ。

これには期待が持てそうだった。

それなら自分の身は自分で守れるだろう。

考えを瞬時に反転させる。


「じゃあ行くか。どうなっているかは分からないから油断はしないように」


最後まで読んでくださりありがとうございました。

評価や感想をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ