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闘技場での出来事から四日後。
俺は今、家からカスミと一緒に大学校に向っている。
カスミは俺とミラがプレゼントしたかばんを背中に背負い朗らかに歩いてる。
そしてその腕の中には山吹が抱き寄せられていた。
カスミが上下に跳ねたりくるくると回転していたためか山吹の目は死んだ魚のような生気のないものになり果てていた。
つまり酔った、もしくは、目をまわしているということだ。
本当にこれでピラミッドの頂点部分に存在する魔獣なのかと思う。
そしてもう一匹の魔獣、白藍もいた。
だがその白藍は白藍で女の子を見ると飛びかかろうとする。
中にはなかなかの美人でも全く興味すらもたないのだが、これは初心そうだなと思った子には間違いなく突っ込んで行っていた。
伝説の期待を裏切らない光景だった。
何でこんな魔獣たちを召喚してしまったのだろうと本気で考えそうになる。
もう少し忍耐を身に付け、己を律してほしいものだ。
そんなこんなで辿り着き大学校内に入る。
ここでカスミとは一旦お別れ。
帰りはミラも含めて三人で帰る予定だ。
山吹はやっと解放されフラフラとした足取りで俺の靴の上にへたり込む。
白藍は女の子を探して忙しなくきょろきょろとしている。
本当に頭を抱えそうだった。
「カスミ、何かあれば大学校の方に来るんだぞ。俺ができることであれば対外なんでもしてあるから」
「兄さまはカスミを心配しすぎ! カスミだっていろいろ一人でできるんだから。けどカスミだけではできないことがあれば兄さまを頼るね」
そう言ってカスミは学園の方へ駆けていった。
俺は表情には出さなかったが心の中では号泣していた。
カスミの成長がうれしすぎた。
場所が場所なら堂々と涙を流していただろう。
それほどまでに感動していた。
カスミが見えなくなるまでどこにも視線を揺るがせることはなかった。
曲がり角を曲がっていきカスミが見えなくなる。
下に目を向け、未だに靴の上にへたり込む山吹を一蹴する。
「あふっ!」
空気が漏れる音がする。
一メートルほど転がり山吹は体を起こす。
「何をするんですか、レイ様」
「いや、それはお前が俺の靴の上にいたからつい」
「つい、でこの仕打ちですか!? おかしすぎですよ!?」
「姉さん、やられて当たり前なことしてましたよ」
「お前もお前で盛るな。駄犬。いや馬だから駄馬か」
「主、それはひどいですよ!」
愉快な話を一人と二匹はする。
本来なら恐れられて当たり前のトップクラスの魔獣。
それがこんなにも弄られているなど誰が想像できるだろうか。
これもそんな魔獣を従えることができた者の特権であった。
「とりあえず依頼を見に行こうと思うからまずは冒険者ギルドだな」
「分かりました、レイ様。早く行くわよ、駄馬」
「姉さんまでひどい!」
一人と二匹は歩を進めようとしたところで声をかけられた。
もちろん無視することはなく反射的にそちらを向く。
そこには声をかけたであろう男が一人と少女が三人の集団がいた。
「何か用でも?」
当然のことを口にする。
だが男からの回答はなくどう言うべきか悩んでいる素振りを見せていた。
そのような中一人の少女が俺に突っ込んできた。
あまりの勢いに何歩か後ろに下がるも耐えきる。
その少女は空の様に何でも吸い込みそうで、森の様に落ち着きを与えてくれるそうな碧い瞳に首の付けほどまでで切りそろえられた白い髪。
少し寸胴なところがあるが俺の背中に腕を回し、豊満な胸をこれでもかというほどに押し付けてくる。
あまりの出来事に思考が付いてこない。
そんな俺に少女の方から問われる。
「私のこと覚えてる?」
可愛らしく首を傾げて聞かれた姿に俺はさらに思考が停止いていく。
「覚えてるだと? いつどこでこんな子と会ったことがある? 会ってたらさすがに覚え……て……」
白い髪を持つ可愛らしい女の子っていえば俺の記憶では一人しかいない。
「もしかしてユリシア?」
「そうだよ! しっかり覚えていてくれてたんだね! 嬉しい!」
思い出せたのは偶然だった。
ミラが泣き崩れさえしなければ思い出していなかったのだ。
それほど前の記憶。
それに久しぶりに思い出し、会ってみたいなとは思ってはいたが、まさかここで会うとは思いもよらなかった。
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