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三度目の正直を必ずこの手で  作者: 池春 藤斗


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クリックしていただきありがとうございます。

腕を振り下ろす。

両手には漆黒と純白の刀を携えている。

戦闘相手は何かしらの魔法を放つために詠唱をしている。

魔法は一発一発が広範囲に高威力の攻撃が打てるが剣士ほどのスピードはない。

いや、ないとは言い切れないが劣るものだ。

そのため魔導士が剣士と戦うなど通常避けなければいけないところなのだが、そのことを気にしていない様子で詠唱を続けている。

余程自信があるらしい。

なら真綿で絞めていくようにジワリと仕留めていこうじゃないか。

桜花に魔力を乗せ斬撃を飛ばす。

まずは一厘ほど魔力だ。

視覚化された斬撃は戦闘相手に最短距離で向っていく。

それは戦闘相手に届きダメージを与える。

そうなる予定だったが水の膜で邪魔をされる。


「速いな」


少し驚きながら呟いた。

試験時ではもう少し時間がかかっていた気がする。

あの日からそこまで日にちは経ってない。

それに魔力も以前より多くなっている気もする。

よく分からないことが目の前に起きていた。

それでもこの二振りを持っている俺が負けるわけがない。

そんな自負から次第に桜花に乗せる魔力量を増やしていく。

一厘から二厘、二厘から三厘という感じで。

その間戦闘相手は攻撃する様子もなく防御力を誇示するかのように斬撃を受け続けていた。

五十発放った。

全体の魔力の五分まで引き上げたが牙城を崩すことができなかった。


「試験時とは別人だな」

「当たり前だろう。お前が不正をしていたから俺は負けたのだ。俺が正面から堂々と戦って負けるなどありえないのだ」

「ならその鼻をへし折ってやるよ」

「無理だな。その前にお前の足元には赤い水溜りができているだろうからな」


そう言うと戦闘相手、ラグナ・インテンスが反撃を始めた。

試験時と同様、水の膜で棘を作り出し俺を刺してくる。

だがここも前とは違った。

一本の棘で刺してくる攻撃だったが、一本の棘が途中で枝分かれを繰り返し俺に襲い掛かる。

この事実に驚愕し大きく飛び避ける。


「おいおい、どうした? それだけ離れたところまで避けなければならないものだったのか?」


嘲笑いながら尋ねてくる。

余程俺の行動がお気に召したようだ。

それよりも俺が感じたのは成長スピードの異常さだ。

もともとこれぐらいの実力を持っていたというのならば疑問を持つのはおかしいことだ。

しかしそれなら試験時に使っていてもおかしくないだろう。

技術面は断定できない。

だが魔力量が前よりも明らかに増加している。

うすうす感じていたが攻撃されて確信できた。

このことに俺は笑みがこぼれる。

試し切りにはちょうどいい存在が現れたからだ。

それにタイミングよく水の膜から大砲のようなものが作られ砲弾が打ち出された。

俺の体など平気に飲み込めるほどの大きさだ。

砲弾は俺に近づき間合いに入る。

そのタイミングを見計らい菊花を上から振り下ろし魔法を斬り捨てる。

砲弾は左右真っ二つになり後ろへ飛んでいくも霧散する。

闘技場にどよめきが起きる。様々な言葉が飛び交う。

そんな中俺は体に魔力がみなぎるのを感じていた。

勘のいい奴が俺を見ていたら二振りの刀の特徴を理解できていただろう。

菊花は魔法を斬る刀ではない。

魔法の源、魔力を食らう刀だ。

そして食らった魔力を使用者の魔力に転換できる代物だ。

それに対して桜花は使用者の魔力を使い斬撃を飛ばしたり、切れ味の向上や多種多様の属性に切り替えることなどができる代物だ。

吸収と放出。

相反する特徴。

ゆえに二振り同時に扱うのが一番効率が良い。

途轍もなく優れた二振りの刀。

だがじゃじゃ馬なのだ。

少しでも魔力のコントロールを少しでも間違えると膨大な魔力を吸収しすぎて耐えきれなくなり魔力暴走による自爆や魔力を奪われすぎて枯渇し生命活動の低下などを引き起こす。

優れた武器にはそれなりのリスクが伴うというわけだ

この世に何のリスクもなく強さを手に入れることなどまずない。

少しのミスが死を呼ぶ。

そんな二振りの刀だが俺は今のところ適切に扱うことができている。

これもミラや父さんに小さいころから教え込まれた成果だった。

父さんはこの二振りの刀をくれた時にこう言っていた。


「初めから決めていたことだからだ。剣術が優れようと優れまいとお前が生まれた時から成人祝いにこれをやろうと思っていた」


と言っていたがそんなことはないだろう。

魔力のコントロールができなければ死んでしまう可能性が高い武器を渡すとは思えない。

父さんは俺を愛してくれていた。

だからこそ俺を信じて託してくれたのだろう。

そんな刀を使っているんだ。

負けるわけにはいかない。

もし負けてしまえば父さんの名を汚すことになる。

それだけは避けなければならない。

俺はラグナ・インテンスに向けて駆けた。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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