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2/2話目です。順番にお気を付けください。
時間もちょうどいいぐらいになりギルドを出て闘技場へ向かう。
山吹も当然ついて来ている。
それにしても何も話さずただついてくるだけの山吹に違和感を覚える。
いつもならもう少し話しているような気がしている。
「なあ山吹。今日は静かだな」
「レイ様、それはあまり話しかけない方が良いかと思いまして。私たちのような存在が人間の言葉を解せるのはごく少数しかおりません。ゆえに変に目立ってしまうと考えていたのですが……」
至極真っ当な返答だった。
俺に気を使ってとのことだったらしい。
本当に気の利く従魔だ。
「いろいろ考えてくれていたんだな。ありがとう」
「レ、レイ様! お礼など必要ありません。仕える者として当然の配慮をしたまでのこと」
「そうだったとしてもここは素直に受け取っておけ」
「ありがたく頂戴しておきます」
何か山吹にとって都合がいいイベントは起きないだろうか。
そんなことを考えていた。
試験でした約束も未だ果たせておらず、召喚はしているが俺だけで戦うつもりだ。
思う存分に戦えないストレスがたまる一方だ。
どこかにそうそう倒れない相手はいないものか。
物騒ながらこのような思いが脳内を駆け巡っていた。
闘技場に到着し中に入る。
中央部には見覚えがありすぎる影が佇んでいた。
「遅かったな」
俺よりも身長が高く、見た目は細いが肉付きがよさそうな体格。
それに俺とは真逆の雰囲気を纏う男。
ラグナ・インテンスが俺を睥睨しながら告げる。
「そんなことはないと思うが。それよりもあいつらは何だ?」
この闘技場内には俺とラグナ・インテンスだけでなく見知らぬものが存在していた。
それも一人二人ではない。
数十人という規模だ。
「こいつらはお前が行うであろう不正を見逃さないように雇ったものたちだ。気にしなくても良い」
「そんなに俺が不正をしたと思っているのか。それに今回もすると?」
「前科があるからな。対策は必要だろう?」
気持ち悪いほどの笑みを浮かべてくる。
不正をしようとしまいが負ければ不正をしたといちゃもんをつけて奴らを動かすだろう。
それに観客席にも人が入っている。
満席には程遠いがそれなりにいる。
今日のことをあの後吹聴して回ったのだろう。
本当にめんどくさい奴だ。
「これは試験じゃない。だから持てる技術を行使してもいいのだな?」
「そんなの訊くまでもないだろう。真っ当に戦って勝つのは俺なのだから。全力でかかって来ようが来まいがそれは変わらないんだから」
「そうか……なら遠慮なくこれを使わせてもらうよ」
俺は腰に差していた刀二振りを抜刀する。
何もかも奈落へ引きずり込むような漆黒と穢れなど知らない純白の二振り。
基本刀や剣は一本で持つ方のが良いと言われている。
それでも俺はこの刀たちを抜くときは二振り同時だ。
二振りで一対の刀。
色も特性も相反する二振りの刀。
ゆえにどちらかを抜くならもう片方も抜くのが一番良い。
それにただ良いだけではなく俺自身のためでもある。
実はこの二振りの刀はじゃじゃ馬なのだ。
それを使いこなすのに二振りが良いというのもある。
簡単に言えば身を守るためだ。
それほどまでにじゃじゃ馬なのだ。
「山吹、お前は手を出すなよ。不正したと文句を言われても困るしな」
山吹は鳴き声を上げ大人しく後ろへ引き下がる。
戦闘態勢が整い、静寂が一時を支配する。
あまりの静かさに自身の鼓動が聞こえる。
目を瞑りその音を聞く。
十回脈打った鼓動を数えた後、静寂を破った。
「そろそろやろうか、ラグナ・インテンス」
不敵に笑みを浮かべる。
それも今まで見せたことがないほど獰猛なものでもあった。
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